著者 : マリオン・ジマー・ブラッドリ
エイランがガイウスと引き離されて三年が過ぎた。一度は再会しながらも結ばれなかったガイウスへの思いを断ち切るために、巫女の修行にいそしんでいたエイランだが、修行中、ケルト人とローマ人の血を継ぐ者が一族の導き手となるという予言を得た。そして、その年の豊穣の祭で偶然ガイウスと巡りあったとき、予言を信じたエイランは、巫女のいましめに触れることを承知でガイウスと…壮大な歴史ロマン第二弾。
紀元一世紀のブリテン島。ローマ軍の侵攻によりケルト諸部族は次々と平定され、いまや島はローマ化の一途をたどろうとしていた。そんななかで、ケルト穏健派の大ドルイド僧の孫娘エイランは、ローマ人の青年士官ガイウスと出会い、恋に落ちた。しかし、対立する民族の血をひくゆえにふたりは結ばれず、エイランは巫女になる道を選ぶが…。滅びんとするケルト人の運命を描き、〈アヴァロンの霧〉の前史をなす三部。
最愛の妻たる美女ヘレネーを誘惑されたことに腹を立てたスパルタ王は、トロイアに宣戦を布告。ふたつの都市の間に、ついに戦いの火蓋が切って落とされた。おりしも、滅亡の予兆のごとき大地震がトロイアの街を襲来。しかも不吉なことに、太陽神の神殿では神の御使いたる大蛇が死んだ。混乱の中で、カッサンドラーは、神々までがトロイアを滅ぼそうとしている夢を見るが…。トロイア戦争に想を得た大叙事詩、堂々の完結。
男と女の心を誘惑し、罪な恋のとりこにする愛の女神アプロディーテー。あろうことか、この女神の御名においてあなたを愛す、と口ばしりながら、カッサンドラーに迫る美貌の神官が現われた。しかし、太陽神アポローンに仕える彼女は人間の男に愛を捧げるわけにはいかない。これを知った神官は今度はアポローンの仮面をかぶってカッサンドラーの寝室に忍びこむが…。トロイア戦争の伝説を女性の視点から語り直した野心作。
トロイアの王妃は臨月を控えて悪い夢を見たー。生まれた男の子が火と燃えている夢だ。王はこれを凶とし、恐れおののいた。やがて赤子が生まれた。これまた凶兆として嫌われる男女の双子だった。結局、男の子は山奥に住む羊飼いの里子に出され、片やカッサンドラーと名付けられた女の子は王妃の手で育てられることになった。だが、それも12歳になるまでのこと。やがて彼女も里子に出された。女戦子アマゾーンのもとに。
モーゲンの夫ユーリエンス王は寄る年波には勝てず、しだいに病床に伏すようになった。となると、やがて王の実権を握るのは長男のアヴァロッホ。だが、この男、性悪なうえに根っからのキリスト教徒。しかも、モーゲンが次男のアコロンと密かに情を交わしていることまで知っている。ドルイド教の復権を願うモーゲンにしてみれば、その信奉者であるアコロンこそ次期王となるべき人物。さらには、アコロン王誕生のあかつきには、アーサー王との対決の計画もある。かくしてモーゲンは、アヴァロッホ殺害を企むが…。超ベストセラー大作、堂々完結。
アーサー王はベイドン山の戦いでサクソン人に大勝し、見事ブリテン統一の野望を果たした。グウェンフウィファルの力添えもあって、その記念すべき戦を機に、アーサー王はしだいにキリスト教に傾倒していった。だが、〈湖の貴婦人〉ヴィヴィアンは、これを快く思わなかった。神聖なドルイド教の儀式でアヴァロンの王たることを誓った者が、キリスト教を重んじるとは、まさに裏切り行為というもの。そこでヴィヴィアンは、アーサー王と対決するためにマーリンと共に宮廷へと赴いた。ところが、そこでは思いもよらぬ運命が彼女を待ち受けていた…。
諸国林立する〈百王国時代〉のアストゥリアス王国。戦略的才能を買われ、若くして王の旗手となった男、バード。王女との婚約さえ果たし、彼の未来は約束されたかに見えた。だがこのとき、この戦乱の歴史に奔弄される自らの運命を、バードは知るよしもなかった…。のちに“ギルガードの狼”と呼ばれ、王国の歴史を変えた男の若き日々を描く雄編。
アストゥリアス王国の危機に、放浪生活から呼び戻されたバード。人々は彼を英雄と讃え、“キルガードの狼”と呼んだ。折しもハスター家は百王国を統一せんと動き始めていた。この脅威を前に、バードと実父ラファエルは、ダーコーヴァを手中に収めるべく画策し始める。そして〈盟約〉を提唱するヴァージルの来訪。果たしてバードは百王国の覇者となるか?
湖の貴婦人と魔術師マーリンの奸許により、ドルイド教の聖なる儀式の名において近親相姦を犯してしまったモーゲンとアーサー。あまつさえ、モーゲンはアーサーの子を身篭る始末。今やブリテンの宗主となったアーサーは、これを知って恐れ恥じ入り、モーゲンを遠ざけたあげく美姫グウェンフウィファルを娶った。が、皮肉なことに彼女は、アーサーの側近ランスロットにかなわぬ想いを寄せていた。アーサー王宮廷内の愛と嫉妬と陰謀に彩られた三角関係をよそに、外ではブリテンの命運をかけたサクソン人との決戦の時が着々と迫りつつあった…。