著者 : リズ・フィールディング
17歳で、私はすべてを失った。 住む場所も、愛する人も、いとしい娘も。 「ジェームス……」パリのホテルの一室で、クロエは思わずつぶやいた。 同級生だった彼と激しい恋に落ち、17歳で妊娠。娘は奪い去られ、 ふたりで築くはずだったささやかな幸せは粉々に打ち砕かれた。 失意のどん底から這い上がったクロエは父親が決めた縁談を拒み、 清掃員とウエイトレスを掛け持ちしてもなお極貧にあえいでいる。 かたやジェームスは成功者だーーこんな贅沢なホテルに泊まれるほどの。 記憶のなかの少年よりもずっとたくましく魅惑的な彼を前に、 クロエは動揺と恥ずかしさのあまり逃げ出した。 かつてジェームスに贈られた銀のヘアピンを落としたことにも、 彼が長年クロエを捜していたことにも気づかずに。 ジェームスはクロエのアパートを突き止め、ふたりは言葉を交わす間もなく愛し合います。すぐに求婚されるも、いまだ傷の癒えないクロエは消極的で……。引き裂かれた初恋、灰色の10年、運命の再会ーー甘やかでドラマチックな純愛ストーリーをお楽しみください。
深い悲しみを背負ったふたりが、 うたかたの愛を紡ぐときーー 雇い主ブラムの姿をひと目見た瞬間、臨時秘書のルビーは呼吸を忘れた。 “この世のものとは思えないほど美しい異国の大富豪”-- 5年も隠遁生活を送っているにもかかわらず、その魅力は健在らしい。 初対面の臨時秘書に不信感をあらわにするブラムだったが、 彼はルビーが天涯孤独だと知ると、驚くことに便宜結婚を申し出た。 祖国に戻ることになり、花嫁を連れ帰る必要に迫られているのだと。 大富豪の妻なんて大それた役が、私なんかに務まるのかしら……。 ルビーは悩んだ末、亡父の負債を返済するために依頼を引き受けた。 口裏合わせのロマンスを創作し、ブラムの優しさに触れるにつれて、 つのる想いに苦しむことになるとは思わずに。 相思相愛の妻としてブラムの国を訪れたルビーは、彼が弟のために自ら国を追われ、その背景に愛する女性の存在があったことを知って苦悩します。期限つきのはかない恋の結末は……? RITA賞受賞作家L・フィールディングが繊細に紡ぐ、美しき千一夜物語。
グレースは姉夫婦のため、代理母となって赤ん坊を産んだ。 だがまもなく二人は事故で亡くなり、子どもだけが残された。 そこへ、訃報を受けた義兄の弟ジョシュが帰ってくる。 10年前、実業家になるという野望を抱いて町を出たジョシュ。 ずっと彼を慕っていたグレースは、その前夜、彼にすべてを捧げた。 やがてジョシュは世界を股にかける大物実業家となったが、 なぜかグレースの代理出産に猛反対し、二人は仲違いしたのだった。 姉夫婦亡きいま、その理由を知ってグレースは絶句する。 義兄は、姉に内緒でジョシュの精子を提供していたというのだ。 なんてこと……姉の忘れ形見は、“わたしたちの子”だというの? 優しい作風が人気のリズ・フィールディング。実はグレースも姉に頼まれ、義兄に内緒で卵子を提供していたのでした。かつては惹かれ合い、そして思いがけず子どもを授かっていた二人の未来は、はたして……?
ローズは病後の療養のため、王の専用飛行機で、石油の国ラス・アルハジャールを訪れていた。王室御用達の獣医である兄に招かれたのだ。ある夜、兄と車で出かける途中、突如暗闇から馬が躍り出てきた。急ブレーキを踏んで車を停止させるや、兄は馬を捜しに行ってしまう。慌ててローズも飛び出すと、誰かに口をふさがれ、抱き上げられた。全身黒ずくめの男は黒い頭巾をかぶり、灰色の目しか見えない。だが光る目を見て直感した。飛行機に同乗していたハッサン皇子だわ!あの鋭い瞳を忘れようはずがない。でも、なぜ彼が私を誘拐するの?たくましい腕に連れ去られながら、ローズは恐怖に震えた。
ドディーは妹の結婚式の花嫁付添人を頼まれ、パニックになった。妹は有名な美人女優ーかたやドディーはぽっちゃり体型。これまでも妹と比べられてみじめな思いをしてきたのに、晴れの席でさらし者になるなんて耐えられない…。すぐさま高級スポーツクラブで働く親友に泣きついたところ、紹介されたのは驚くほどハンサムなブラッド。魅力的な彼に、体の曲線をなでるように見つめられ、ドディーはどぎまぎしてしまう。彼につきっきりで指導されるなんて、どうしたらいいの!?