著者 : ルーシャス・シェパード
巨竜、起動 数千年の眠りからグリオールが目醒めるとき、世界は一変する 数千年前に魔法使いとの戦いに敗れた巨竜グリオール。 彼は全長1マイルにおよぶ巨体は、草木と土におおわれ川が流れ、その上には村までもができている。 周囲に住むひとびとは、時が経ち観光地化した彼の恩恵を受けているが、 その一方で巨竜の邪悪な霊気に操られているとも言われているーー。 グリオールの鱗(うろこ)を触っていた男と娼婦がタイムスリップする表題作、 死した巨竜の頭蓋骨がひとびとを翻弄し運命を狂わせてゆく傑作奇想譚「スカル」の初邦訳2篇を収録。 その昔、グリオールという動けぬ巨竜がいた。 彼は空を飛ぶことを夢見ていたのかもしれないーー。 解説:池澤春菜 【収録作品一覧】 「タボリンの鱗」(“The Taborin Scale”/2010) ※二〇一一年度ローカス賞最優秀ノヴェラ部門候補作 ●初訳 「スカル」(“The Skull”/2012) ※二〇一三年度世界幻想文学大賞最優秀ノヴェラ部門候補作 ●初訳
あまりにも巨大な竜グリオール 彼の上には川が流れ村があり、その体内では四季が巡る “舞台”は動かぬ巨竜 唯一無二のシリーズ短篇集が遂に日本初刊行 初邦訳1篇 初収録2篇 全長1マイルにもおよぶ、巨大な竜グリオール。数千年前に魔法使いとの戦いに敗れた彼はもはや動けず、体は草木と土におおわれ川が流れ、その上には村ができている。しかし、周囲に住むひとびとは彼の強大な思念に操られ、決して逃れることはできないーー。 奇想天外な方法で竜を殺そうとする男の生涯を描いた表題作、グリオールの体内に囚われた女が見る異形の世界「鱗狩人(うろこかりゅうど)の美しき娘」、巨竜が産み落とした宝石を巡る法廷ミステリ「始祖の石」、初邦訳の竜の女と粗野な男の異類婚姻譚「噓つきの館」。 ローカス賞を受賞したほか、数々の賞にノミネートされた、異なる魅力を持つ4篇を収録。動かぬ巨竜を“舞台”にした傑作ファンタジーシリーズ、日本初の短篇集。
若い愛人が電気屋につくった借金を返すため、心ならずも再びジャガーを狩る羽目になった中年インディオは、謎の美女に導かれて異界へと足を踏み入れる…。現代の南米を魔術的リアリズムで描く表題作のほか、全長200メートルの巨大な竜をめぐる途方もないファンタジー「竜のグリオールに絵を描いた男」など、全米SF界を瞠目させた驚嘆すべき珠玉作全8編。世界幻想文学大賞受賞。
泥沼の戦争がつづく近未来の中米。米軍砲兵隊特技士官ミンゴラは、潜在的超能力開発の訓練を受け、特殊部隊に参加する。彼を特ち受けていたのは、悪夢にも似た非現実的な世界だった。ジャングルの奥深く、墜落したヘリの中で息づく人工知能コンピュータ。戦争の背後に蠢く2つの氏族。謎の女デボラ…。現代アメリカ文学の俊英が魔術的リアリズムで描く、21世紀の「地獄の黙示録」。
男の名前はドネル・ハリソン。詩人。だが彼は普通の人間ではない。死後数時間以内の新鮮な死体の脳に、墓地に棲息する特殊なバクテリアを注入することにより、死から呼び戻されたゾンビーなのだ!しかも復活する以前の死体は、ドネル本人のものではない。彼の人格はどこから来たのか?自分は何者なのか?脳がバクテリアに侵しつくされ、瞳が緑の輝きをおびるまでしか生きられないことを悟ったドネルは、人里離れた秘密の研究所を脱走して、放浪の旅に出るが…アメリカ南部のむせかえるような熱気の中に、生と死の織りなす不気味なSFゴシックを構築した俊英の話題作。