著者 : ルーシャス・シェパード
数千年前に魔法使いとの戦いに敗れた巨竜グリオール。彼の全長1マイルにおよぶ巨体は、草木と土におおわれ川が流れ、その上には村までもができていた。周囲に住むひとびとは、時が経ち観光地化した彼の恩恵を受けているが、その一方で巨竜の邪悪な霊気に操られているとも言われているー。グリオールの鱗を触っていた男と娼婦がタイムスリップする表題作、死した巨竜の頭蓋骨がひとびとを翻弄し運命を狂わせてゆく傑作奇想譚「スカル」の初邦訳2篇を収録。
若い愛人が電気屋につくった借金を返すため、心ならずも再びジャガーを狩る羽目になった中年インディオは、謎の美女に導かれて異界へと足を踏み入れる…。現代の南米を魔術的リアリズムで描く表題作のほか、全長200メートルの巨大な竜をめぐる途方もないファンタジー「竜のグリオールに絵を描いた男」など、全米SF界を瞠目させた驚嘆すべき珠玉作全8編。世界幻想文学大賞受賞。
泥沼の戦争がつづく近未来の中米。米軍砲兵隊特技士官ミンゴラは、潜在的超能力開発の訓練を受け、特殊部隊に参加する。彼を特ち受けていたのは、悪夢にも似た非現実的な世界だった。ジャングルの奥深く、墜落したヘリの中で息づく人工知能コンピュータ。戦争の背後に蠢く2つの氏族。謎の女デボラ…。現代アメリカ文学の俊英が魔術的リアリズムで描く、21世紀の「地獄の黙示録」。
男の名前はドネル・ハリソン。詩人。だが彼は普通の人間ではない。死後数時間以内の新鮮な死体の脳に、墓地に棲息する特殊なバクテリアを注入することにより、死から呼び戻されたゾンビーなのだ!しかも復活する以前の死体は、ドネル本人のものではない。彼の人格はどこから来たのか?自分は何者なのか?脳がバクテリアに侵しつくされ、瞳が緑の輝きをおびるまでしか生きられないことを悟ったドネルは、人里離れた秘密の研究所を脱走して、放浪の旅に出るが…アメリカ南部のむせかえるような熱気の中に、生と死の織りなす不気味なSFゴシックを構築した俊英の話題作。