著者 : ルーディ・ラッカー
コンピュータとロボット群が相互接続した巨大ネットワーク『フィズウィズ』が世界を支配している未来。みんなは仕事をコンピュータとロボットまかせにして、あらゆる人生を3Dフルカラーの映像ホローで体験するだけ。でも、直接フィズウィズと脳を接続するエンジェルのヴァーナーは、そんな退屈な世界では我慢できない。クルトフスキ教授の発明した仮想場発生機を使って、ミクロとマクロの宇宙をめぐる冒険に出発した。
シリコンバレーの大企業でロボット開発に携わるジャージーは、ひょんなことからサイバースペースで一匹の蟻を目撃した。どうやら会社が研究中の人工生命プログラムが、彼のマシンに迷いこんだらしい。だが自力で進化し増殖するこの蟻が、試作品のロボットを乗っ取って世界を覆う光ファイバー網に侵入してしまったために、思いもよらぬ騒動が…!高度な機械知性の誕生をポップな感覚で描き出す近未来コンピュータSF。
SF界のカルト・ヒーローが紡ぎだす、驚異の世界へようこそ。あやしげな慣性巻き取り機の作動で月と地球が激突の危機にさらされる「慣性」、ゲームおたくの情熱が恐るべき事態をまねく「パックマン」など、ラッカーの多彩な魅力を満喫できる作品群を結集。そのほか、サイバーパンクの旗手スターリングとの合作「クラゲが飛んだ日」、抱腹絶倒の日本旅行エッセイ2篇も織りまぜた、ファン必携の日本版オリジナル短篇集。
自前の会社が倒産して以来、いささか人生に退屈していたぼくの前に突然、拇指サイズの小人が出現した。小人は悪友のハリイ・ガーバーで、自分が時空支配装置を発明したことを告げるために未来からやってきたのだという。これで世界はぼくらのもの、と喜んだまではよかったが、時間と空間をもてあそぶうち、危険な寄生頭脳をこの世に招き入れてしまった。鬼才ラッカーの奔放なアイデアが大爆発する、ポップなSF狂騒曲。
一家でローマ旅行中のぼく、物理学者のアルウィンは、突如テロリスト集団に誘拐されてしまった。彼らの目的は、ぼくに核爆弾を作らせること。囚われの身となったぼくは、ひょんなことから不思議な球体を手に入れた。人間にエッチ効果をおよぼすこの“セックス・スフィア”が、実は異次元生命体で、とんでもない大騒動を引き起こすことになるとは、ぼくは知るよしもなかった…。あぶない鬼才ラッカーの超数学マッドSF。
いつもどおり、研究室で心地よい昼寝を楽しんでいた数学者のぼくに驚愕すべきことが起こった。なんと、無意識に幽体離脱をやってしまったのだ!肉体を離れて意識だけになったぼくは、一冊の案内書に導かれ、ヒルベルト空間をー。数学の概念が文字どおり実体化した奇妙奇天烈な世界を目指した…。“無限”の実像を探求するため。鬼才の名に値する真の鬼才が怒涛のアイデアでSFと数学の極北を探求する超絶マッドSF。
1830年代、南北戦争前のアメリカ・ヴァージニア州の少年メイスンは、ひょんなことから殺人をおかしてしまった。逃げまわるメイスンが出会ったのは、なんと崇拝する作家エドガー・アラン・ポウ。この奇矯な天才と運命的な出会いが、メイスンを驚異の旅へいざなうことになったー地球内部にひろがる広大な空洞を探険する冒険旅行へと。鬼才が自由奔放な想像力で先達ポウに挑み、SF界の絶賛を博した傑作。
『ソフトウェア』の騒動から30年。スタアン・ムーニーと名前を変えて、月で探偵稼業にいそしむステイ=ハイに、ユカワ博士から女性助手の行方をさがしてほしいと依頼があった。遺法の麻薬“マージ”がらみの事件らしい。“マージ”は人体のタンパク質をどろどろに溶かし、この世のものとも思えぬ法悦境を味わわせるという代物。しかもロボットがこの麻薬を悪用し、人間・ロボット双方を超越する存在をつくりだそうとしたことから、ムーニーはとんでもない事件に巻きこまれていく…。ディック記念賞受賞のシュールでポップな正統派マッドSF。
明るい陽光、バームツリーと白い砂浜。隠退老人たちのリゾート天国、フロリダで余生を送る元天才ロボット学者のコッブは、自分とそっくりの男の訪問を受けた。月に行ってくれれば、代償に新たな肉体を提供するというのだ。月では、かつてコップに自意識を与えられ、人間に対して叛乱を起こしたロボットたちが、独自の都市を築いている。いぶかしく深いながらも招待に応じたコップは、いつしかロボット同士の大抗争にまきこまれてしまった!マッドSFの鬼才ラッカーが、奇想天外な大騒動をポップなタッチで描いたディック記念賞受賞。
酒に酔っぱらい、ドラッグに浸り、サルトルで女のコをくどいた夢の60年代。高校生のコンラッドは、あるとき自分の持っている不思議な能力に気づく。生命に危険が迫ると、空を飛ぶことができるのだ。どうやら彼はふつうの人間とは違っているらしい。いったい僕はどこから来たんだろう?やがて驚くべき秘密が明らかにー。ノスタルジックに描くSF版アメリカン・グラフィティ。