著者 : ロバ-ト・B.パ-カ-
ルイスバーグ・スクェアに豪邸を構えるボストンの名家の女主人が通り魔に殴り殺された。犯人を挙げられない警察に業を煮やした当主のラウドン・トリップは、私立探偵スペンサーを選んだ。殺された妻オリヴィアを心から愛していたラウドンの苦悩は深く、なんとしても殺人犯を捕らえ、厳罰を下したかった。だが、依頼を受けたスペンサーはしっくりしないものを感じていた。いくら家庭を大事にしていたといっても、彼らの息子や娘はなにか問題を抱え、殺された妻には夫の知らぬ秘密がありそうだった。一見非の打ちどころのない幸せな家族-、それは大いなる幻影だったのではないのか?この事件の担当刑事は恋人をエイズで失ったゲイの青年リー・ファレルだったが、スペンサーは彼の協力を得て次第に事件の背後にあるものを嗅ぎとっていく。そして、被害者オリヴィアの出身地サウス・カロライナへ赴くが、そこには彼女の出生にまつわる意外な事実と、調査を妨げようとする巨大な圧力が待ち受けていた…。シリーズ中もっともプロットに凝り、高く評価された第20作。
黒人スラムと化した公営団地ダブル・デュースの路上で、十四歳の少女と赤ん坊が射殺された…。犯人と目される黒人少年メイジャーは住民の誰もが恐れるギャング団のリーダーで、ダブル・デュース一帯を牛耳っていた。その教区の黒人牧師に雇われたホークが事件の解決に乗り出すが、ホークはスペンサーに協力を求めてくる。ところが、ホークに恋人が現われ、TV局のプロデューサーである彼女がホークに同行して少年ギャング団の実態を取材しはじめたことから、ことは面倒になってきた…。兇暴な黒人少年ギャング団と渡り合う私立探偵スペンサーと相棒ホーク。最強コンビのぴたり息のあった活躍を痛快に描く、人気シリーズ第19弾。
百万長者の将軍ガイ・スターンウッドの死後、長女のヴィヴィアンは精神を病んだ妹カーメンをサナトリウムに送り込んだ。ところが、ある日突然カーメンは失踪し、追い込まれたヴィヴィアンは、自分に恋をするやくざなクラブ経営者エディ・マースに妹を探し出すように依頼する。一方、スターンウッド家に起こるすべてのことは他人事ではいられない執事のノリスは、過去のいきさつから私立探偵フィリップ・マーロウに何としてもカーメンを探しだしてほしいと依頼してくる。はたして失踪事件の背後にあるものは?調査をすすめるうちに、バラバラ殺人と巨額の詐欺事件が絡み、事件は夢にも思わぬ展開をみせるのだった…。当代随一の人気ハードボイルド作家ロバート・B・パーカーが50年の歳月を経て贈る、師レイモンド・チャンドラーの処女作『大いなる眠り』の続篇。未完の遺作『プードル・スプリングス物語』の完成版につづく「パーカー版フィリップ・マーロウ」第2弾。
私立探偵スペンサー・ブームに火をつけた代表作『初秋』から十年-十五歳の少年だったポール・ジャコミンはみごとに自立してダンサーになり、ガールフレンドのペイジとの結婚を考えていた。だが、遊び好きの母親パティとの連絡がとれず、困り果てた彼は、父のように慕うスペンサーに母親の行方を捜してほしいと頼む。男がいないと生きていけない彼女は、案の定、リッチ・ボーモントというチンピラと付き合って、さいきん駆け落ちしていた。しかも、その男はギャングの親玉ジョウ・ブロズの息子ジェリイの仲間で、百万ドルをこえる組織の金を持ち逃げし、命を狙われていた。失踪した二人を追って、ギャング組織とスペンサーとのつばぜりあいが始まる。親と子の絆、男と女の永遠の結びつき、探偵の生い立ちを物語る、人気シリーズ第18作。
ハリウッド一の人気女優ジル・ジョイスが、TVシリーズ番組「フィフティ・ミニッッ」のロケでボストンにやって来た。ところが彼女は匿名者からの脅迫をうけ、ドル箱スターの身を案じたスタッフたちはスペンサーに身辺警護の依頼をしてきた。男好きで気難しく、いつも酔ってばかりいる彼女はスペンサーに変な関心を示しこそすれ、調査そのものには非協力的。脅迫の真相を探るうえで必要な情報をなかなか教えてくれない。そのうち身代わり殺人事件が起こり、事態は緊迫の度を増していく。したい放題のセクシーな美人女優のわがままに手をやきながらも、スペンサーはスーザン、ホークの手助けをえて、なんとしても脅迫者の正体を突きとめようと、女優の生まれ育った西海岸まで飛ぶが…。華やかなショウ・ビジネス界の裏で起こる悪夢のような事件に立ち向かう私立探偵スペンサー。人気シリーズ第17弾。
『長いお別れ』で出会った大富豪の娘リンダ・ローリングと結婚した、私立探偵フィリップ・マーロウは、高級リゾート・タウン、プードル・スプリングスの豪華な新居に落ち着くことになった。だが探偵稼業をやめたわけではない。新妻の財力に頼らず、町のはずれに新しい事務所をひらくと、噂をききつけたのか、早速、怪しげな依頼人がやってきた。賭けの借金を払わずに姿を消した男を探してほしい、とカジノ経営者のリピイという客は頼み込んだ。看板を掲げている以上、どんな依頼も引き受けざるをえない。そして仕事をはじめると、事は意外な様相をみせるのだった…。レイモンド・チャンドラーの未完の遺作を、当代随一の人気ハードボイルド作家ロバート・B・パーカーが師のあとを継いで30年ぶりに完成させた超話題作。
ワスプの弁護士ヴィンス・ハラーを介して、タフト大学当局がスペンサーに妙な依頼をしてきた。タフトは全米大学バスケットボール・リーグの有力校なのだが、最近、試合には勝っても故意に得点を減らしている、という噂が校内で流れている。その噂の出所をたどって真偽を確かめ、この一件に決着をつけてほしい、と。大学に出入りし、聞込み調査をつづけるうちにスペンサーは、最強のパワー・フォワードといわれる黒人選手ドウェインが巧妙に得点操作をしていることに気づく。輝かしい将来が約束されたスター選手なのに、なぜそんなことをするのか?もし発覚すれば、経歴に傷がつくだけではないか。背後に何かあるのか?大学内部の人間や選手たちが調査に非協力的であるにもかかわらず、スペンサーは何としても真相をつきとめたかった。八百長に巻込まれたスター選手のために一肌脱ごうと意気込む私立探偵スペンサー。完全復調なったシリーズ第16作。
3月初めの寒い日、ボストンの街は異常な連続殺人の話題でもちきりだった。これまで3人殺されていたが、いずれも40代の黒人女性で、みな両股の間を拳銃で撃ち抜かれ、みな乳房の間に赤いバラが1本おかれていた。被害者の職業も売春婦、ウェイトレス、ストリッパーと、どこか共通点がありそうだった。しかもマスコミから赤バラ殺人鬼と呼ばれはじめた犯人が、クワーク警部補あての手紙で、自分は警察官であると言ってきた。そこで警部補は、警察関係者でないスペンサーに協力を求め、ベルソン部長刑事と共に独自の調査グループを作った。そんな矢先、4人目の被害者が出た。悪魔のような殺人をくりかえす犯人は一体どういう人物で、狙いは何なのか?ボストンの街を凍えさせる赤バラ殺人鬼に立ち向かう私立探偵スペンサー!新展開をみせる人気シリーズ第15作。
マサチュセッツ州のど真ん中に小さな町ホイートンで、コカイン密売の調査報道をしていた新聞記者が射殺され、睾丸を切り取られるという事件が起こった。この無残な殺害事件の調査を依頼されてスペンサーは勇躍ホイートンへ向かう。そしてスペンサーの調査が進むにつれ、三人の女性が浮かび上がってくる。果して事件の真相をにぎるのは誰か?そうこうするうち新たな殺人事件が起こり、スペンサーの身にも危害がおよぶ。そこでスペンサーは恋人スーザンと盟友ホークに応援を求めるが…。何十億ドルという規模のドラッグ・ビジネスの世界に挑む私立探偵スペンサーの活躍を描く、人気シリーズ第14作。
エイプリル・カイルがパトリシア・アトリイの店を去った!ニューヨークへ出て、パトリシアに事情をきいたスペンサーは、エイプリルを連れ戻そうとして失敗する。彼女はジュリアード音楽院の黒人学生ロバート・ランボウに夢中になっていて、スペンサーの言うことをきこうともしない。ランボウの周辺を洗うと彼は何人もの女たちと行き来していた。女たちの一人ジンジャーの話からしても彼がぽん引きであることは間違いなかった。しかし、なすすべもなくスペンサーはボストンへ戻ってしまう。すると売春婦ジンジャー殺さるの報が入り、今度は本当にエイプリルも姿を消してしまった…。エイプリルの行方を追って巨大な悪に立ち向かうスペンサー。『儀式』の続篇。好調シリーズ第13作!