著者 : ヴァージニア・ヒース
伯爵と踊れない壁の花伯爵と踊れない壁の花
大事な社交界デビューを前にして、ハティは恐ろしくてたまらなかった。事故で脚に大怪我をした私は、一生不格好にしか歩けない。世間からは、花嫁としての価値が下がった女、と同情されている。ところが、ボーフォート伯爵ジャスパーだけは違った。ハティの兄の親友は世間では手のつけられない放蕩者として有名だが、とても男らしくて優しく、彼女は幼いころからずっと憧れていた。おどおどと赤面してばかりで、ろくに口をきいたことはなくても。そのジャスパーが私に、ワルツを踊ってほしいと言ってくれた。しかし当日、伯爵が現れることはなく、ハティはみじめな壁の花として踊る男女を見つめるしかなかった…。
男装の天使と憂いの伯爵男装の天使と憂いの伯爵
海軍で輝かしい戦果を残した後に負傷して帰郷した、第10代ライブンホール伯爵マックスは、世を儚んでいた。ある日、領地を馬で駆けていると、奇妙なものが目に入った。男物のズボンに包まれた尻がもぞもぞ動き、しきりに何かを掘っている。何やつ、盗賊か?鋭い声で呼び咎めると、男ははっと顔を上げた。眼鏡越しに見開いた大きな丸い目、麻のシャツの開いた胸元ー女か?「伯爵さま、どうか怒らないで。古代遺物を発掘したいだけなんです」エフィは近くに住む天涯孤独の若い女性で、歴史が好きなのだと言う。失せろと命じたが、彼女は夜中にこっそり領地に入ってきているようだ。女性が夜に一人では危険だ!マックスはつい手を差し伸べてしまいー。
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