著者 : 一木けい
ママには三人の恋人がいるーー。 ママの愛を、世間は「過ち」と呼ぶのかもしれない。 正解がないからーー恋は楽しいのか、つらいのか? 心揺さぶる長編恋愛小説。 高校生の千夏には秘密がある。それは、家に父親はいないのに、母親の伊麻とその3人の恋人たちと暮らしていること。美容オタクでバイセクシャルの亜夫、イタリアンのシェフでいつも落ち着いている到、そして、最近新しく家にやって来た博識な大学院生・氷雨。千夏は三人のことが大好きだけど、複雑な家庭事情を友人にも明かせずにいた。そんな秘密を持つから教室でも目立たないようにしていたのに、ある日クラスで一番の人気者から告白されてーー。同じ頃、伊麻は高校時代の友人絹香と再会していた。子供を産んでも恋愛を楽しむ伊麻の姿を見て、絹香はある決心を固める。
「逃げなきゃ。この女のそばにいるのは危険すぎる」 新人作家、汐田聖が目にした不倫妻の独白ブログ。ありきたりな内容だったが、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。美しく、それでいて親しみやすさもある完璧な女性。彼女こそ、聖が長年存在を無視され、苦しめられてきた実の母親だった。ある時は遠い異国で、ある時は港の街で。名前も姿さえも偽りながら、無邪気に他人を次々と不幸に陥れる……。果たして彼女の目的は、そして、聖は理解不能の母にどう向き合うのか? プロローグ 奈落の踊り場 馬鹿馬鹿しい安寧 戯れ カゲトモ きみに親はいない
バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、日本の生活に馴染むことができないでいた。ある日高校の渡り廊下で見つけた先輩に、漣の心は一瞬で囚われてしまう。先輩との距離を縮めようとする漣だったが、それは好きになってはいけない人だった。気持ちを抑えることができない漣は、大好きな家族に嘘をつくようになり…。
あきらめて生きる癖がついた。明日何が起きるか予測がつかない、それがわたしの日常だった。その頃見る夢は、いつも決まっていた。誰かに追いかけられる夢。もう終わりだ。自分の叫び声で目が覚める。私は安心が欲しいだけ。なのに夫は酔わずにいられない。父親の行動は破滅的。けれど、いつも愛していた。どうしたら、信じ合って生きていくことが出来るのだろうー。
高校二年生の橙子はある日クラスメイトのヤマオからの推薦で、合唱コンクールのソロパートを任されることに。当初は反発したものの、練習を進めるにつれ周囲とも次第に打ち解けていく。友人たちは、橙子が時折口走る不思議な言い訳や理解のできない行動に首をかしげていたが、ある事件をきっかけに橙子の抱えていた秘密を知ることになりー。若く力強い魂を描き出した、胸がひりひりするような傑作青春小説。
「俺いま、すごくやましい気持ち」第15回R-18文学賞読者賞受賞作。忘れられない恋の記憶。出口の見えない家族関係。心揺さぶる鮮烈なデビュー作。