著者 : 上原かおり
中国SF四天王のひとり、韓松(ハン・ソン/かんしょう)の長編SF。 人類が地上に住めなくなった未来、遺伝子工学によって創られた「水棲人」が生きる「紅い海」の世界を描いた、哲学的かつ挑戦的な作品。 第一部「我々の現在」、第二部「我々の過去」、第三部「我々の過去の過去」、第四部「我々の未来」の全四部、二十章からなる。 本書の監修者、立原透耶氏が劉慈欣氏の『三体』以外で「最も読みたい、訳したい長編」と推奨している。
孔子は時空を越え、諸葛亮孔明はコーヒーの栽培に成功し、マカートニー伯爵は乾隆帝の迷宮に閉じ込められ、魯迅は故郷でH・G・ウェルズのタイムマシンに出くわすーー悠久の中国史を舞台に、今もっとも勢いのある中国の作家7人が想像力の限りを尽くした超豪華短篇集 孔子、泰山に登る(飛ダオ 著/上原かおり 訳) 南方に嘉蘇あり(馬伯庸 著/大恵和実 訳) 陥落の前に(程ジン波 著/林 久之 訳) 移動迷宮 The Maze Runner(飛ダオ 著/上原かおり 訳) 広寒生のあるいは短き一生(梁清散 著/大恵和実 訳) 時の祝福(宝樹 著/大久保洋子 訳) 一九三八年上海の記憶(韓松 著/林 久之 訳) 永夏の夢(夏笳 著/立原透耶 訳)
葉文潔をリーダーに戴いた地球三体協会の瓦解により、地球は三体文明により侵略の危機的状況にあることが判明した。人類は、人類文明最後の希望となる「面壁者」を立てて立ち向かうことを決断するーー! 13万部を突破した『三体』待望の第二部、ついに刊行!
従来、中国文学史において「近代(モダン)」の起点は魯迅を代表とする、伝統批判と文学革命を旗印に西洋写実主義を旨とした「五四」新文学に置かれてきた。一方、清末小説(本書では19世紀半ばから1911年までの世紀末文学を指す)は、創作だけでも七千種以上が出版されながらも、梁啓超らの提唱した「新小説」を除いて文学史においてはほとんど顧みられることのない、「排除/抑圧」されたジャンルであった。本書ではこの時期の小説を、西洋との出会いのなかで伝統/モダニティが互いに拮抗し、複雑かつ豊かな「多層性のモダニティ」を見せた特異なジャンルとして評価する。具体的には、花柳小説、俠義公案小説(武侠・裁判もの)、暴露小説(社会風刺もの)、科学幻想小説(サイエンス・ファンタジー)および二〇世紀末の中国語小説を再読し、バフチン、フーコー、ギアーツらの諸理論を用いてその「抑圧されたモダニティ」を論じることで、中国のポストモダニティについて再考を行うものである。著者は現代文学理論を用いながら独自の視点で中国語圏文学を読み解く、今日を代表する研究者の一人であり、その代表作という意味でも本書は重要な著作であると言える。また、上述のように清末小説についての研究は国内外でも少なく、本書は日本においてほとんど専著のない分野の研究書であるため、中国文学研究または東アジアのモダニズム研究の分野において必読書であると思われる。 日本語版序 (王徳威) 凡例 序 第一章 抑圧されたモダニティ 一、啓蒙と頽廃 二、革命と内に向かう発展 三、合理性と情感の過剰 四、ミメーシスとミミクリ 第二章 悪を誨えるーー花柳小説 一、仮装された異性愛/同性愛 二、愛と欲の氾濫 三、欲望の都市 四、妓女から救国のヒロインへ 第三章 空虚な正義ーー俠義公案小説 一、『水滸伝』を書き直す 二、空虚な正義 三、女俠の服従 四、罪、それとも罰? 第四章 卑屈なカーニヴァルーーグロテスクな暴露小説 一、亡霊の価値論 二、荒唐無稽なる世界 三、モダニティの市場 四、中国版グロテスク・リアリズム 第五章 混乱した地平線ーーサイエンス・ファンタジー 一、奔雷車、参仙、乾元鏡 二、補天 三、大気圏内/外の冒険 四、バック・トゥー・ザ・フューチャー 第六章 回帰ーー同時代の中国小説および清末の先例 一、新花柳小説 二、窮地のヒロイズム 三、「大嘘つき」たちのパレード 四、『新中国未来記』はどこに? 訳者解説 一、清末小説ーー中国モダニティの起点 二、「抑圧」と「継承」の中国文学史 三、本書の訳語および著者との調整などについて 参考文献 索引(人名・人物索引、書名・篇名索引、事項索引)