小説むすび | 著者 : 上木さよ子

著者 : 上木さよ子

尼僧院から来た花嫁尼僧院から来た花嫁

黒い僧衣に白いベールを纏った乙女。 これが、我が妻となる娘か! 孤児のジリアンは無慈悲な伯父によって尼僧院に入れられた。 なじめないながらも、そこでの暮らしに慣れた頃、 彼女のもとを、ニコラス・ド・レーシと名乗る美男が訪ねてきた。 ド・レーシ家といえば、国じゅうに聞こえた大金持ちだけれど、 そんな人が、尼僧見習いの私にどんな用が? 「私たちは結婚するのだ。そなたに選択の余地はない」 聞けば、ジリアンの伯父が死に、国王の命により、 伯父の領地と隣のニコラスの領地を一つにするため結婚せよというのだ。 美しいけれど冷酷無情な彼の瞳には、なぜか蔑みの炎が揺れていた。 日が暮れ、ジリアンはそっと逃げ出そうと窓から飛び降りるがーー その姿を上階から見ていたのは、なんと……ニコラスだった! かつて深手を負ったニコラスはジリアンの伯父に見殺しにされた恨みがあり、もうこの世にいないその宿敵の血を引く彼女を妻にして、酷い扱いをしてやろうと考えます。そして夫婦の契りも結ばず、奥方としての役割も禁じますが、それで弱るジリアンではなく……。

藁くじの花嫁藁くじの花嫁

恋い慕う彼に求婚された娘は知らなかった。 自分が“藁くじの花嫁”であることを。 家業を大規模に営むマクレーン兄弟には、そろそろ跡継ぎが必要だった。 とはいえ結婚願望などない彼らは、ほうきから抜いた藁のくじを引き、 “はずれ”を引き当てた兄のルークが、しぶしぶ花嫁候補を探すことに。 多忙なので妻のご機嫌をとるつもりはないし、外見重視の美人もお断りだ。 それよりも従順で、夫が外で働くあいだ家を守ってくれる女性がいい。 そんなルークが目をとめたのは、6年前に父を亡くして以来、 叔父夫婦の家の厄介者として家政婦同然に扱われるエレナーだった。 影が薄く、物静かな十人並みの娘に見える彼女は、花嫁にうってつけだ! 一方、魅力的なルークに密かに想いを寄せていたエレナーは、 彼からの思いがけない求婚の真意も知らぬまま、喜びに胸を高鳴らせ……。 憧れのルークと結婚して、おいしい料理を作り、黙々と働き、家のなかも磨きあげるエレナー。けれどもある日、ルークがそもそも結婚を決意したのは、藁くじで負けたからだということを知ってしまいます。傷ついたエレナーが夫に対して突きつけた要求とは……?

セラフィーナセラフィーナ

男爵が求めるのは、お飾りの妻。 人形のようなつまらない花嫁……。 “利口すぎず、慎ましやかで、口答えしない、家柄のいい美人。 そんな娘がもしもいるなら、結婚を考えてもいい” 祖母に結婚をせっつかれている男爵チャールズは、 まだ独身を謳歌したくて、無理難題と言える結婚の条件を出していた。 ところが驚いたことに、そんな娘がいたのだ。 祖母の知人の紹介で引き合わされた彼女の名は、セラフィーナ。 面白みがなく従順そうで、天使のように愛らしいだけの彼女となら、 結婚後も自由にやれそうだ。高慢にもそう考えた彼はまだ知らなかった。 自分の目に映っているしおらしいセラフィーナが、 愛する家族を苦境から救うための、一世一代の名演技をしているとは! 本当は聡明で快活なセラフィーナは、大人しい仮の姿で高慢な花婿候補の希望に沿おうとしますが、男爵が恋に落ちたのは、彼女の妹“サリー”でした。じつのところサリーの正体は、元気な真の姿でふるまうセラフィーナなのですが、彼はそれに気づかなくて……。

ひそやかな誓いひそやかな誓い

忘れることのできなかった誓い。 守られることのなかった誓い……。 メアリーは牧師の娘、ニックはかのヴェイル公爵の子息。 彼女は身の程知らずの恋とは知りながら、ほんの一瞬でも彼に愛され、 たとえ正式でなくとも結婚の書類に署名してもらえただけで幸せだった。 だが、戦地へと発った彼が残したのは、その思い出だけではなかったーー ただ1度の契りで子を授かったことがわかり、メアリーは愕然とした。 やがて生まれた息子は、彼女も家庭教師として雇うことを条件に、 子宝に恵まれない夫婦のもとへ養子に出され、7年が過ぎた。 ある日、妻に先立たれた雇い主から強引に体を求められ、 抗ったが運の尽き、彼女はいわれなき罪で裁きにかけられてしまう。 絶望と共に法廷に立ったメアリーは、ニックの姿を目にして声を失った。 今や公爵となった彼は古い書類を手に彼女をこう呼んだ。「公爵夫人」 大御所G・ウィルソンによる英国摂政期ロマンスをお届けします。ひそやかな誓いののち離れ離れになったふたり。その後、帰還したのに長年、連絡さえよこさなかったニックが突然現れ……。衝撃の再会後に互いの切ない思いが交錯する、涙なくして読めない名作!

シンデレラ・ストーリーズ 2シンデレラ・ストーリーズ 2

『アテネに恋して』-まじめで地味なレベッカは伯母の死をきっかけに仕事をやめ、家も家財道具もすべて売り払い、ギリシアの島へ自分探しの旅にやってきた。ホテルのレストランで魅惑的な男性ステファノスからシャンパンをおごられ、旅行を思いきり楽しむため、衝動的に洗練された女を演じる。ところが、ステファノスは実はギリシアの大富豪で…。『危険な薔薇』-故郷を離れシカゴで孤独に暮らすクリスティのもとにある日、差出人不明の薔薇の花束とメッセージが届いた。ストーカーの影におびえていたクリスティは警察に通報するが、駆けつけた刑事の姿を見て思わず目を疑った。かつて彼女が初めて恋し破れた相手スコットが、すっかり大人の男性となってそこに立っていたのだ。『熱い砂の上で』-実業家のアダムは、幼なじみのメルと7年ぶりに偶然再会した客船の船上で嵐に襲われ、二人きりで無人島に流れ着いた。貧しい少年だったころ、名家の令嬢メルへの恋心をもてあまし、彼女をいじめてばかりいた。今、メルは昔と変わらぬ嫌悪の表情を向けてくる。この機会に誤解を正し、彼女の身も心も手に入れたい。アダムはひそかに決意し…。

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