著者 : 上本治美
アルストーン公爵は、伯爵夫人デイジーとの情事に倦怠を感じていた。別邸でのパーティーでも刺激を求め趣向はエスカレートする一方である。ある夜、レディは仕立てられるかを巡り友人と大金を賭けてしまう。そして世間知らずのモデルとして修道院の付属学校を卒業した姪を迎える。ロレナは、牧師だった弟の一人娘で三年間で美しく成長していた。その上教養も高く、社交仲間にも臆さず次第に人気者になっていく。ロレナの清純さに打たれた公爵はデイジーに別れ話を切りだした。だが、逆上した彼女に銃を向けられる。
ホークスヘッド伯爵は、首相から内密にパリでの情報収集を依頼された。ロンドンから馬車で発った道中事故に遇い、若い娘に助けを求められる。バプティスタと名のった彼女は駆け落ちした母を憎むあまりよく似た娘を虐待する実父に耐えられず、逃亡を図ったという。仕方なく同行させたものの激しい雷雨に予定外の汚い宿に入る。その後、一行は強盗に襲われるが夜中に目覚めたバプティスタが襲撃計画に気づき、難を逃れた。半世紀を越えて読みつがれてきたロマンス界の女王、豪華絢爛、清純なヒストリカル・ロマンス。
ヴァイオラは幼時に母を失い再婚した父も三年後に亡くなった。気の強い継母は婦人参政権獲得の運動に熱中し、ヴァイオラを虐待しているが活動には都合よく利用しようとした。ある時、外交次官のレイバーン邸に爆弾を仕かけるよう命じられたヴァイオラは絶望のあまり、爆発と共に自殺を図る。だが、レイバーンに間一髪で救われ事情を知った彼は放免してくれた。失敗に激怒した継母は、ヴァイオラをデモに連れだし、警官に突きとばす。殉教者気どりのデモ隊と一緒に留置場から即決裁判に連行されたヴァイオラは再び、レイバーンに出会った…。半世紀を越えて読みつがれてきたロマンス界の女王の作品の中から、傑作ばかりを集めた日本独自の新シリーズ。豪華絢爛、清純なヒストリカル・ロマンス。
ラックレー侯爵は退役後、社交仲間と遊び暮らしていたが、財産目あてに従弟のジェスロから命を狙われ始める。ある日、馬車でジプシーの娘にけがを負わせ、館に連れ帰ることになった。そのサビアは、ジプシーの娘だったが、優雅な淑女のようで、友人との賭けから貴婦人に仕立てあげることになる。ある夜会の場に毒蛇が送りつけられるがサビアの機転で、侯爵は危地を脱した。愛を確かめた二人だが、他民族とは結婚できないジプシーの控ゆえにサビアは、秘かに森の中へ身を隠す。彼女の行方を追う侯爵に再びジェスロの摩手が迫ってきた…。
スコットランド高地では、昔から氏族同士の紛争が絶えなかった。今も、マックスティールとマクブララの両族が敵対し、一触即発の状態である。マックスティール族長の娘フィナは父と共に、強く平和を願っていた。その結果、フィナとマクブララ族の若者ブララデール伯爵との縁談がもち上がる。一方の伯爵は、ロンドンでの生活を享受していたが、故郷の現実を知り、若き族長としての義務感に駆られる。二人は気の進まぬまま、一族のためについに結婚を承諾したが…。
一八七四年。両親を亡くしたピュティアは、伯母アイリーンのもとに身を寄せていた。その頃、侵略の危機にさらされていたバルカンの小国バルターニャでは、救国の策としてイギリス女王の縁者を王妃に迎えることが画策されていた。白羽の矢がたてられたのは、女王の血をひくアイリーンの娘、エリナだった。だが、エリナには恋人がいた。困りはてたエリナは、ピュティアにとんでもない頼みごとをもちかけてきた…。
お供も連れず、身分を隠してヨークまで旅ができるか-。友人のもちかけた賭けに応じて、ブロッケンハースト公爵はヨークに向かった。だが、思わぬ旅の道連れができた。結婚を無理強いする継母から逃げだそうとしている娘、バロラに手を貸すことに決めたのだ。追手の目を逃れて、公爵とバロラの冒険の旅が始まった。
両親を亡くしたレディ・アイナは、伯父のワイモンド卿のもとに引き取られた。とびきりの美人で、社交界の花形である義理の伯母は、独身のチェイル候爵に熱をあげ、若いアイナに嫉妬する。ある日、候爵が伯母のために開くパーティに、アイナも同行することになった。
ファーンハースト卿の娘、セルマは、大伯母の莫大な遺産を相続した。そのことを聞きつけた継母は、セルマを自分の愛人と結婚させその財産をものにしようと企む。陰謀を知ったセルマは、財産の処分を禁じた指図書を弁護士に送り、馬丁ひとりを供に家を飛び出した。
アサストン公爵は、結婚相手として女たちの憧れの的だった。モナコ滞在中女たちの執拗な求婚についに嫌気がさし、ひとり、アルジェに住む親友ニコライをたずねる。公爵は、ニコライ夫婦の愛に満ちた生活をまのあたりにし真実の愛を羨ましく思う。ある日、気晴らしに行った奴隷市場で競売にかけられていたイギリス娘セリナに出会う。
準男爵である父の死後、キルクレイグ家は、破産状態だった。ダビータは、義姉で女優のバイオレットを頼りに、スコットランドを出て、ロンドンに向かった。はじめて見るロンドンは、夢のようであり、その華やかさに、彼女は魅了されてしまった。ある夜、ダビータは、レストラン・ロマノで、パンジ侯爵と出会った。女泣かせの彼の噂を聞いていた彼女は、思いがけず、彼の、ハンサムで、威厳のある風格に見とれた。ところが、次第に心を許しはじめたダビータに、侯爵はいきなり、スコットランドへ帰るよう、いい放つのだった。
カニュエラは病弱な母とふたり、ロンドンの片田舎で人目を避け、暮らしていた。外交官の父は国家機密漏洩の疑惑をかけられ職を追われ、失意のうちに自殺してしまった。カニュエラは父の冤罪をはらすことを望みながら、生活を支えるため、秘書の職に就いた。ところが彼女を雇ったのは、偶然にも、父を罠にかけたラモン・デ・ロペスだった。深い恨みを胸に秘め、素姓を隠して働くカニュエラにロペスはアルゼンチンでの仕事を命じた。思い出と屈辱の、あのブエノスアイレスで…。
「この封筒を預かったんだけど…」講師斡旋会社の副社長サブリーナは、ほっとして男に手を差し出した。よかった!間違えた封筒を取り返せて。それにしても、何と魅力的な男だろう。引き込まれそうな瞳に、官能的な唇。そう、大物ビジネスコンサルタントで大ベストセラーを出した全米一有名な男、ドルー・ダールトンだ!呆然とするサブリーナをドルーは夕食に誘ったが…。
女優のメリル・ストリープにそっくりな女性だって?ぼくが39歳の独身だからといって勝手なお膳立てはやめてほしいな。ライランはパーティーの場をひとり離れ、車に戻った。と、向こうからトラックが突っこんでくるではないか!すんでのところで止まった運転席から現れたのは、白いブーツとフリンジ付きのスカート…。これが噂のメリル・ストリープか。ライの目は赤毛の美女に釘づけになった。