著者 : 上田公子
パリ郊外で自由な生活をおくるリプリーのもとに、ロンドンの画廊から連絡が入る。天才画家ダーワットの死を隠して贋作販売を行なう事業にトムも一枚噛んでいたのだが、贋作が露見しそうな事態が生じたという。トムは画家に変装して危機を乗り越えようとするが…トム・リプリーの新たなる物語が始まる。
アカデミー賞授賞式の夜、見事に監督賞を射止めたブルースは、意気揚々と帰宅する。だが栄光の夜は、思いもよらぬ展開を見せた。彼の邸宅が連続殺人鬼のカップルに占拠され、ブルース自身も彼らの人質とされてしまったのだ。駆けつけた警察とマスコミに、殺人者たちが突きつけた、奇想天外な要求とはー英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞の話題作。
スタイリッシュなアクション映画で一躍ハリウッドの寵児となった映画監督のブルース・デラミトリ。アカデミー賞授賞式の夜、最新作『オーディナリー・アメリカンズ』でオスカーを受賞し、美人女優を従えて帰宅した彼は、思いがけない窮地におちいってしまう。ショッピングモールで銃を乱射して無差別な殺人を繰り返し、全米を恐怖のどん底に叩き込んだ連続殺人カップル、ウェインとスカウトが彼の帰りを待ちかまえていたのだ。ブルースと女優を監禁し、自分たちのしていることはブルースの映画の模倣にすぎないとうそぶく二人。はたして、彼らの目的は金か、それとも単なる売名行為なのか?さらに二人は、翌朝、何も知らずにやってきたブルースのエージェントや、離婚訴訟中の妻と娘までをも人質に取って籠城をつづける。やがてテレビの生中継で全米が固唾を呑んで見守るなか、殺人コンビが突きつけた意想外の要求とは?英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作。
妻に逃げられ一人息子は非行に、警官あがりの中年弁護士マックは560万ドルの金と共に行方をくらました変りものの僚友バートの捜索を命じられる。自分を敵と狙う警官時代の元相棒ピッグアイの執拗な妨害をかわし、弁護士らしからぬ手口でバートの家に侵入し、冷蔵庫を開けたマックをにらみ返したのは、脚を曲げた死人だった。
さまざまな思惑が蠢く巨大弁護士事務所のなかで、どうやら自分だけが知らないことがあるートゥロー得意の物語展開はいよいよ冴えわたる。行方不明の同僚を探すさえない中年弁護士マックの前に予想もつかなかった意外な事実が次々に展開される。そしてついにすべてのパイを握ったマックに、壮大な人生の決断が待っていた。
パリ近郊のトム・リプリーのもとにロンドンの画廊から連絡が入った。天才画家ダーワットの個展を前にして、贋物を掴まされたと蒐集家が騒いでいるのだという。それも当然のこと、トムと画廊の仲間でダーワットが数年前に死んだことを隠し、贋作を作り続けていたのだ。トムは画家に変装して記者会見で健在ぶりを示すが、そこに当の蒐集家が現われ…。名作『太陽がいっぱい』に続くリプリー・シリーズ第二弾。
アメリカ中部の大都市、地方検事を選ぶ選挙戦のさなかに、美人検事補が自宅で全裸の絞殺死体となって発見された。変質者によるレイプか、怨みが動機か、捜査に乗りだしたサビッチ主席検事補は、実は被害者と愛人関係にあった間柄、容疑が次第に自分に向けられてくるのを知って驚くー。現職検事補による世界的ベストセラー。
検事が一転容疑者となる…。思いもかけぬ展開に、権勢欲、出世欲、金銭欲、所有欲、性欲、あらゆる欲望の渦巻く複雑な人間ドラマがあらわになり、意外な結末へとなだれこむ。歴史に残る法廷ミステリーの傑作というにとどまらず、制度そのものへの批判を含んだ社会小説としても評価された一級品。ハリソン・フォード主演で映画化。