著者 : 上田秀人
三代将軍家光は、島原の乱鎮圧後、島原藩松倉家を潰した。牢人となった旧藩士たちは、松倉家と隣接する平戸藩松浦家へ狼藉をしかける。苦慮した松浦肥前守は、再び斎弦ノ丞を辻番に任命し、家の安泰を図ろうとする。一方、将軍“御成”の栄誉を巡り、松平伊豆守ら重臣の権力抗争が激化。この“御成”を狙う企みを知った弦ノ丞に密命が下るが…。藩のため奮迅する辻番たちの活躍!書き下ろし時代小説。
■池波正太郎が長谷川平蔵を主人にした短篇小説「浅草・御厨河岸」を書いたのは、昭和42(1967)年のこと。オール讀物12月号に掲載されたその短篇は大きな反響を呼び、「鬼平犯科帳」としての連載が始まった。 ■2017年、「鬼平」誕生から50年。この記念すべき年に、7人の人気作家が長谷川平蔵を登場人物にして、「鬼平」へ新たな命を吹き込んだ競作短篇集。 ■逢坂剛は「逢坂・平蔵シリーズ」の特別版、上田秀人は武家という官僚社会で生きる平蔵の立場を、諸田玲子は妖盗・葵小僧と鬼平の再対決、風野真知雄は人気シリーズ「耳袋秘帖」鬼平版、そして、土橋章宏は父譲りの料理人と鬼平との味対決、門井慶喜は、流行りものの鰻が嫌いで女が好きな木村忠吾がかかった罠、梶よう子は、平蔵亡き後、火盗改を仰せつかった森山源五郎の回想、と7人7様。これらの短篇に加え、池波正太郎が自らベスト5に選んだ鬼平作品の中から「瓶割り小僧」を特別収録。 ■各作品に池波正太郎のカット画を使用。
南條蔵人が禁裏付役屋敷に押し込んできた。幕府に喧嘩を仕掛けたに等しい狼藉は、東城鷹矢にとってまたとない好機だった。捕縛した蔵人を老中に差し出せば、朝廷の弱みを探るという密命を果たすことができるからだ。それをされては窮する者が、蔵人の口封じに動くのは必定。鷹矢は厳重な警護態勢をしき任務を遂行しようとするが、思わぬ妨害工作を受ける。暗躍しているのは一体誰なのか!?
御広敷番医師の矢切良衛は、将軍綱吉に供される食事の異常な味付けから、将軍の血筋を絶やそうとする存在を感じ取っていた。疑惑を追及するなか、綱吉の兄で甲府宰相の綱重の死に着目する良衛。綱重の不自然な死は、同じ敵によるものなのか。だが、状況の把握を兼ねた甲府家への医師見舞いが整った日、何者かが良衛に襲いかかるー。あらゆる手段を使い、良衛らを排除せんとする者たち。その存在が、ついに明かされる。
天保の改革から二十年。闕所物奉行を辞した扇太郎は、天満屋幸吉のもと、用心棒として平穏な日々を暮らしていた。だが、次第に混乱する幕末の世で、深川のとある家屋の財産処分を頼まれたことから、次第に大きな陰謀に巻き込まれていく……。 大人気書き下ろし時代小説シリーズ、待望の新作!
将軍徳川吉宗に直々に命じられて道中奉行副役となった水城聡四郎。小田原での視察を済ませて箱根を越え、家士の大宮玄馬とともに東海道をひた上る。神君徳川家康のお膝元ともいえる駿府へ入った聡四郎は、駿府の役人から衝撃の事実を知らされる。そして、駿府を早々に出た聡四郎は、新たな刺客に襲われる。突然、現れた「敵」の正体とはー。待望のシリーズ第二弾。
藩主綱紀の使者として赴いた越前松平家で刀を振るうことになった数馬に、追っ手がかかる。仮祝言を挙げたばかりの琴も女行列を仕立て、女忍の軒猿たちと数馬奪回に向かう。そして数馬の岳父本多政長には、幕府から江戸召喚の命が。綱紀を憎む将軍綱吉が揺さぶりをかけてきた。どうなる百万石!
岡場所から一斉に火の手があがった!家斉の死後、巻き返しを図る側近と、江戸の闇の支配を企む狂い犬の一太郎が最後の賭けに出たのだ。大惨事を阻止せんとする扇太郎と遂に最終決戦を迎える。幕府の走狗になりきれない貧乏御家人が義憤に燃えて奮闘する、大人気時代小説シリーズ新装版、堂々完結。
御広敷番医師の矢切良衛は、登城後に医師溜で御膳所の仲居が昨夜腹痛を起こしたことを知らされる。その仲居は、大奥で将軍に出される料理の調理に携わる者。将軍の食事にもしやー。綱吉の体調を危惧した良衛は、お目通りを試みるのであった。一方、本所深川の顔役となった真野は、縄張り内での騒動が何者かの陰謀であることに気づく。敵の狙いは、良衛なのか?周到に仕組まれた罠と陰謀を、良衛は切り抜けられるのか。
借金の形に身を売られた旗本の娘の自害が相次ぐ。改易を恐れた旗本が娘に自殺を強要していたのだ。扇太郎が預かる元遊女の朱鷺にも魔の手がのびる。江戸を揺るがす事件に乗じて町奉行の座を狙う鳥居、岡場所の利権を欲する一太郎、政権奪取を図る家斉派の幕閣の思惑が交錯する中、扇太郎も覚悟を決める。待望の新装版第五弾!
将軍徳川吉宗と「大奥で忘れられた姫」竹姫との恋は成就せず、吉宗の大奥改革もとりあえず一幕が終わった。竹姫付き御広敷用人の任を解かれて寄合となり、静かな毎日を取り戻した旗本・水城聡四郎に、またも将軍吉宗から声がかかる。今回の命は「道中奉行副役」。「世の中を見てこい」という吉宗の命に、まずは東海道へ。かつてない剣戟満載!待望のシリーズ開始。
逐電した旗本の行方を追う扇太郎は、借金の形に娘を吉原に沈める旗本が増えていることを知る。一方、現将軍・家慶派と大御所・家斉派の幕閣の対立に乗じて、狂い犬の一太郎が人身売買を禁じる法を逆手に吉原乗っ取りを画策する。激化する江戸の闇の支配をめぐる争いに、扇太郎の太刀が鞘走る。いよいよ佳境、新装版第四弾!
お国入りの藩主綱紀への襲撃は、百万石を世継ぎなしの危機に陥らせるものだった。加賀藩を思うままにしようとした者は誰か。綱紀と宿老本多政長は、数馬を隣藩福井に向かわせた。加賀の監視役にして名門の越前松平家。敵城で藩主面会に臨む数馬はいきなり包囲されてしまう。活路はあるか!?
武家屋敷が連続して焼失、出火元の旗本は改易された。検分した扇太郎は放火(赤猫)であることを突き止め、彼らの莫大な隠し財産に驚愕する。そこへ闕所の処分に大目付が介入、さらに謎の刺客集団が次々と襲いかかる。大御所家斉の死後を見据えた権力争いに巻き込まれていく扇太郎だが…。新装版シリーズ第三弾。
戦乱に揺れる奥州の名家、伊達家の長男に生まれた藤次郎。孤独な少年期を過ごしていたが、父から家督を譲られる。伊達の頭領となった藤次郎政宗は、奥州統一を目指し腹心片倉小十郎とともに走り始めたが、最大の窮地が訪れるー。壮絶な戦闘、感涙のシーンを満載した“独眼竜”政宗。オリジナル原稿に大幅加筆した著者渾身の作品。上中下巻同時刊行。激闘の上巻。
伊達家当主として奥州統一に乗り出した政宗。しかし、佐竹、大崎、蘆名との度重なる戦いで苦戦が続き、身内からも命を狙われる事態となる。そんななか、豊臣秀吉が天下人となった。最上との戦いが奥州惣無事令に反したとして秀吉に呼び出された政宗は、一世一代の「勝負」に出る。オリジナル原稿に大幅加筆した著者渾身の作品。上中下巻同時刊行。調略の中巻。
奥州一揆を引き起こしたとして豊臣秀吉に京へ呼び出された伊達政宗。秀吉の手元には政宗直筆の手紙と花押が。政宗は最大の危機を窮余の一策で乗り切る。盤石に思われた豊臣政権が秀吉の死で崩壊。そして、関ヶ原、大坂の陣を経て天下人となった徳川家康に、政宗はどう挑むのかー。オリジナル原稿に大幅加筆した著者渾身の作品。上中下巻同時刊行。感涙の下巻。