著者 : 中島らも
同居の老人の奇行に悩まされ追い詰められた主婦が、一線を越えた末に信じがたい事実を知ることになる(「厭な老人」)。静かな部屋で時を告げる古い鳩啼時計には、遠く離れた恋人との悲劇の結末が隠されていた(「鳩啼時計」)など、歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名による、幻想と怪奇に彩られた物語を収録した珠玉作短編集シリーズ第五弾。
未発表の珠玉作品「美しい手」「“青”を売るお店」をはじめとする名短篇15篇を厳選。男たちが商店街でくりひろげる「日の出通り商店街いきいきデー」、椰子の実を40年頭上にのせる高僧の話「ココナッツ・クラッシュ」、ロックファンならずとも感涙の「ねたのよい」、親子の情愛を描く「お父さんのバックドロップ」など笑いとホラーと抒情の傑作集!
作家・小歩危ルカ、六十八歳。巨額の印税を得て以来、新宿のホテルで一人暮らし。相棒はWネックのギター「ロカ」。あとは酒と大麻と鮟鱇鍋。「IQが185もあると予知能力が備わる。だから私の予知したことはほぼ、九十六パーセント当たるんだ」。著者が急逝直前まで書いていた、問題の近未来の私小説。
天才・中島らもの才能が炸裂!! 最後の短編集 中年の小説家「おれ」と若い女との奇妙な密会を描く表題作『君はフィクション』ほか、様々なスタイルの珠玉の短編を収めた最後の作品集。単行本未収録の幻の3作品も同時収録。(解説/坪内祐三)
家族をこよなく愛する小泉は中堅の商社に勤める平凡なサラリーマン。彼は、土地売買の極秘巨大プロジェクトを立ち上げた。必死の思いで進めた仕事のメドがたったある日、計画を知るという謎の不動産屋から呼び出される。彼を待っていたのは暴力団だった。家族を狙うという脅しにも負けず敢然と立ち向かう小泉だったが…。容赦ない暴力とせつない愛が交差する中島らもの遺作バイオレンス小説。
ある日、僕は妻子を残し大阪の街に家出した 大阪の街を舞台に、現実と妄想の狭間で、ワケありギョーカイ人と家出した僕が繰り広げる面白くもちょっと切ない一大エンターテインメント作品。彼の伝説はココから始まった。(解説/モブ・ノリオ)
異才・中島らものB級ホラーの頂点! 瀬戸内海の小島に、サイコセラピーのために集まった5人の男女。薬の投与と催眠術を使った治療で、彼らの意識は10歳のこどもへと戻ってゆく。抱腹絶倒、やがて恐怖が襲う超B級ホラー。(解説/いしいしんじ)
「悪夢を見るなら今のうちだよ」と誰かがおれの耳元でささやいたー。「悪魔の館」と呼ばれる家に入り浸るジャンキーたち。アルコールをはじめ、睡眠薬、咳止めシロップなどの中毒者たちが引きおこす悲喜劇を濃密に描いた衝撃作。そして、今夜も言葉のイメージが怒涛のように、混濁した脳裡に押し寄せてくる。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島に一台のヘリコプターが舞い降りた。観光開発会社を経営する男とその秘書は、この島を丸ごとレジャーランドにする思惑を秘め、下見に来たのだ。二人はMMMという島のセラピー施設に治療という名目で入る。しかし、そこにはすでに女二人、男一人の患者がいた。五人は“クライアント”と呼ばれ、翌日から施設で治療が始まる。そして、想像を絶する驚愕の物語が幕をあける…。読者の皆さま、夢々油断召されるな。戦慄のシーンを乗り越えたと思っても、さらに新たな恐怖が巨大な口を開けてあなたを…。CD『砂の国』の美しい旋律に乗って。