著者 : 中川五郎
デビュー作で全米図書賞受賞! アメリカを代表する作家、フィリップ・ロスの伝説の青春小説が待望の新訳で瑞々しく甦る。 真夏のプールで運命的な出会いを果たしたニールとブレンダ。二人はたちまち引かれ合い、結婚を意識し始める。若い男女の恋には危うさがつきまとい、季節の移ろいとともに、輝かしい日々は過ぎ去っていく。はかなくほろ苦い青春期の恋を瑞々しい文体で描いた永遠の名作。 ーー訳者より 今から60年以上も前、1958年にフィリップ・ロスが発表し、1965年に佐伯彰一さんの名訳で日本に紹介された「さようなら コロンバス」をぼくが読んだのは、1969年、はたちになったばかりの時だった。その時に激しく心を揺さぶられ、この小説は一生忘れることのできない、ぼくにとって最もお気に入りのアメリカ文学の一つとなった。 その作品を新たに翻訳するという素晴らしい機会を与えられ、作業を進めながら、改めて強く思ったのは、本作がまったく過去のものにはなっていないということだった。主人公二人の不安や苦悩、葛藤、そして失敗は、具体的な状況やかたちこそ違え、今の若者たちにリアルに伝わるはずだ。「グッバイ、コロンバス」は1950年代後半のアメリカ社会のノスタルジックな青春小説、恋愛小説にとどまることなく、完璧に描かれた若者たちのみずみずしさとおろかさ、純粋と放縦、優しさとわがままゆえ、2020年代の今をも照らす永遠の輝きを放っている。
酒、競馬、セックス、そして詩…。これが本当のハードボイルド。正気と狂気のあわいで、孤独と怒りを抱えて、暴力と放浪の日々をすごした男が、唯一無二のことばで、ときにパンクにときにやさしく描きだす、社会の片隅で生きる者たちの物語。
わたしは五十歳。体重百二キロ。猪首、短足、目は濁り、赤ら顔。郵便局員から作家に転職した、アル中男。そんなわたしのもとへ、女たちは次から次にやってくる。何たるご馳走!-ブコウスキーの忠実な分身、チナスキーが語る、尽きることのないアルコールと女とギャンブルの物語。アカデミックな文学シーンのアウトサイダーにして偉大なるパンクスの傑作長編。
一九三○年代のロサンジェルス。大恐慌に見舞われ失業者のあふれる下町を舞台に、父親との確執、大人への不信、容貌への劣等感に悩みながら思春期を過ごす多感な少年の成長物語。ブコウスキーの自伝的長篇小説。
俺は飲んだくれの失業者。ブルテリア、ロッコを道連れに悲しみと真実だけが。ブコウスキーが「わたしの神様」と敬愛したジョン・ファンテの息子が、父への深い思いをこめて書いた自伝的小説。
ヘイ!わたしはチナスキー、作家になった老いぼれのアル中ギャンブラーだ。楽しいことがあると一杯、悲しいことがあると一杯、何もないと何かを起こそうとして一杯。人生とソーダのミックス、ウォツカ・セブンで、とりあえず女たちに、乾杯。ウィリアム・バロウズ、ポール・ボウルズと並んで3Bsと称され、世界中に熱狂的なファンをもつチャールズ・ブコウスキー。映画「バーフライ」では自身をモデルにして脚本を書き、ミッキー・ローク演じるアル中作家が評判をよんだ彼の自伝的小説を、音楽評論家として活躍中の訳者が本邦初紹介。
わたしは50歳。体重102キロ、猪首、短足、目は濁り、赤ら顔。肉体労働者から作家に転職したアル中男。テレビがきらい、映画館もうんざり、パーティにも作家仲間にも、ニューヨークにもビートニクにも何の関心もない、ただの酔っぱらい。そんなわたしを今日もまた、女たちが待っている。卑語俗語にみちたラディカルな愛を描きつづけ、常にアカデミックな文学シーンのアウトサイダーでありながら、世界中の若者に熱く支持されているチャールズ・ブコウスキー、遂に日本に登場。