著者 : 中村妙子
ミステリの女王アガサ・クリスティーの短篇から、冬をテーマにした作品を収録した傑作選。ポアロ、ミス・マーブル、トミーとタペンス、クィン氏と、クリスティーを代表する名探偵たちが勢ぞろい。クリスティー・ファンとミステリ愛好家に贈るクリスマス・プレゼント。
ロザムンド・ピルチャーの描く、小さな物語の数々。出会いや別れ、日々の中で、時と共に変わりゆく心の動き。何気ない日々の家のことごとや、宝物のような庭…。家族や隣人、友人や恋人との関係を描く、心温まるストーリー。短篇集第三弾。
イギリスのベストセラー作家、ロザムンド・ピルチャー。彼女の描くイギリスの田園風景や魅力的な人々。描かれる人々は身近な誰かと似ているー時には自分の一部に。人の強さ、そして弱さを愛おしく感じる珠玉の短篇集第二弾。
ミステリの女王アガサ・クリスティーの短篇から、冬をテーマにした作品を収録した傑作選。ポアロ、ミス・マープル、トミー&タペンス、クィン氏と、クリスティーを代表する名探偵たちが勢ぞろい。クリスマスプレゼントにぴったりの豪華な装幀のギフトブック。
人は誰も、自分や愛するひとの死を怖れ、死んだあとには何ものこらないのだろうか、という思いを抱えている。不思議な「視る」力をもった少女イゾベルを主人公に、その怖れを優しくぬぐい去るかのような幻想的な表題作は、早世した愛息への鎮魂の想いから生まれた。『秘密の花園』のコマドリ誕生に秘められたストーリーを南イングランドの四季の移り変わりのなかで綴ったエッセー、かのアンデルセンを思わせる童話、さらに、没後に少部数の特装本で出版され、アメリカ国内でも、今日読むことがほとんどかなわない遺作「庭にて」の三篇は、いずれも初邦訳。バーネットからの美しい贈りもの。
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。
甥のレイモンドを筆頭に、前警視総監や画家などさまざまな職業の人々がミス・マープルの家に集っていた。一人の提案で各自が真相を知っている昔の事件を語り、その解決を推理しあうという“火曜クラブ”ができたが…静かな目立たない田舎の老婦人ミス・マープルが初めて驚異の推理力を披露した短篇13篇を収録。
南英丘陵地のフェアエーカー村の小学校長ミス・リードの夏休みは波乱の幕開けとなった。思わぬ怪我のために親友エイミーのもとで静養するのだが、エイミーの求めに応じてギリシアのクレタ島へと旅立つことになる。離婚問題をかかえた親友との、エーゲ海の輝ける島の休暇がこうして始まった。この地の風情を満喫しながらも、自らの暮らしに思いをめぐらす二人。結婚-共に暮らすことの歓びとそれゆえの苦悩。独身-自由とひきかえの孤独。性格も境遇も異なる二人の友情。機知とアイロニーとユーモアを全編にちりばめながら、暖かい愛情と鋭い洞察で描き出した英国田園物語の海外編。
南イングランドの丘陵地の片田舎フェアエーカー村。女校長ミス・リードの教える全校児童数40人の小学校に3人の新入生が入学した。新入生と村の人々の暮らしの一年を、女教師の眼を通して、暖かくときに辛辣にユーモアとペーソス溢れる筆致で描く。第二次大戦直後の英国の田園生活が、季節の移ろいの中で鮮やかに描き出される。小さな村の小さな学校の小宇宙。なつかしい記憶。そこには豊かな時間が流れ、私たちは永遠なるものに触れる。著者の筆は、的確な写実により、典型を描いて普遍に至る。
ミス・リードが校長に就任した南イングランドのフェアエーカー村小学校の掃除婦ミセス・プリングルは、気難しいが比類のない働き手。ミス・リードが初めて村の学校のロビーに泥足を踏み入れたとき、開口一番冷やかなスタッカートで、「そこ、掃除したばかしなんですがね!」。それが、何年にもわたって続く戦闘の第一弾であった。ミス・リード着任のいきさつから、村のタフな好敵手ミセス・プリングルとの出合いと交渉。主人公ミス・リードと心優しい村人たちとのふれ合いを、辛辣ななかに暖かな眼差しをたたえてユーモラスに描く。中村妙子訳ミス・リード・コレクション第5冊。フェアエーカー物語シリーズ。
フェアエーカー村の学校の元校長ミス・リードは、健康上の問題から定年まで数年を残して退職したが、思い描いていた平和な暮らしと現実は大分違っていた。リタイア後も、おなじみのボブ・ウィレットは庭の手入れに、ミセス・プリングルは掃除の手伝いにと通ってきたは、フェアエーカー村のゴシップに余念がない。友人のヘンリー・モーンの家庭問題、ジョン・ジェンキンズの習慣化した求婚などミス・リードの身辺もにぎやか。そして、手すさびにと、ものを書くことを勧められたミス・リードは、新しい目標に挑戦するのだが…。半世紀にわたって数多くの田園物語で欧米の読者を魅了しつづけてきたミス・リードの英国田園物語最新作。
九月のある夜、月光に浸された南イングランドの田園のコテージで、年老いた女性が息をひきとった。村の学校の元教師エミリー・デーヴィスの死の知らせは、フェアエーカー村ゆかりの人々の間に静かに波紋を広げてゆく。記憶の中から浮かび上がる思い出の出来事の数々。エミリー先生の勇敢な精神と暖かい教えは、村を離れた昔の教え子たちや、土地に住む友人たちの心のうちに生きつづけていた。二つの大戦を生き抜いた女教師の姿を通して、二十世紀初頭から今日までの英国田園生活のパノラマが、詩情豊かに描き出される。簡潔な文体による写実。全編に溢れるユーモアと機知。英国を代表する田園作家ミス・リードの佳品を名訳で贈る。
22歳のフローラは、故郷コーンワルの父のもとを離れて再びもどったロンドンで新しい生活を始めようとしたやさき、偶然にも自分に双子の姉妹ローズがいることを知る。そのショックから立ち直る間もなくフローラは、ローズの代わりとして、スコットランドで病の床につく老婦人のもとを訪れることになる。だがそこで出会ったのは、安っぽい欺瞞であしらうことのできない立派な人々であった。自らのアイデンティティーの危機をはらみながら、善意からとはいえ、嘘をつき人を欺きつづけることで苦悩するフローラ。みずみずしい情感とゆたかな筆致で描き出される物語世界。
幼くして両親を失くしたローラは夫アレクとの新婚生活の幸せのさ中にありながら、妻として自信の持てない自分をもどかしく感じていた。季節は夏。病後の療養に出かけた先はアレクの叔父の住むコーンワルの果てのトレーメンヒア荘。ローラを迎えたのは風変わりな人々の暮らす地上の楽園であった。コミューンの暮らしから照らし出される家族の形-孤独と癒し。人間のやさしさと怖さが胸に迫る物語が渋滞なくうつくしく展開する。
すみきった夜気をふるわす天使の合唱、星をしるべに馬小屋をたずねあてた羊飼いや賢者たちの話は、牧歌的な美しいクリスマスを連想させる。しかしほんとのクリスマスは、ローマの圧政のもと、町はずれのかいば桶を産所とする、ヘロデ王の幼児虐殺の手も迫ってくる、暗い陰に彩られていた。ところがその暗さ、本来のクリスマスの暗さは、人々に深くいい知れぬ慰めと希望をもたらすのである。本書はわれわれの世紀末の現実のなかで、今、現に、この力がどのようにその慰めと希望を人々にもたらすかを描いて、見事である。
スコットランド高地地方に暮らす落魄した大地主バルメリノー家とその古くからの隣人エアド家の人々を主人公に、家庭と家族の絆を深い愛情をもって描き出した、ピルチャー円熟の長編小説。
すみきった夜気をふるわす天使の合唱、星をしるべに馬小屋をたずねあてた羊飼いや賢者たちの話は、牧歌的な美しいクリスマスを連想させる。しかしほんとのクリスマスは、ローマの圧政のもと、町はずれのかいば桶を産所とする、ヘロデ王の幼児虐殺の手も迫ってくり、暗い陰に彩られていた。ところがその暗さ、本来のクリスマスの暗さは、人々に深くいい知れぬ慰めと希望をもたらすのである。『クリスマスの短編』はわれわれの世紀末の現実のなかで、今、現に、この力がどのようにその慰めと希望を人々にもたらすかを描いて、見事である。
マダム・ジゼルは死んでいた…。パリからロンドンへ向かう定期旅客便プロミシュース号の後部客席で、なぜか蜂が機内を飛び回った後しばらくして、死体が発見されたのだ。推理作家や伯爵夫人、考古学者父子らと乗り合わせていたポアロが捜査を開始した。魅力的な若い娘ジェインの恋愛は事件に絡んでどう展開するのだろうか?飛行機内という完全密室の謎にポアロの推理が挑む。