著者 : 中津悠
ニューヨークのスカイラインに、数え切れぬほどのクレーンが聳え立っている。この街は、かつてない建設ブームに沸いているのだ。飛び交う巨額の金。街を駆けめぐる狂躁。やがて、アイルランド系の犯罪組織が、さらなる金を求めて蠢きはじめる。街の空気がさらに澱み、黒くなっていく。暴力と流血の予感に、FBIが動き出す-この街で、ある兄弟の絆が、試練の時を迎えようとしていた。兄である元ボクサーのパディは、悪の道へと足を踏み込み、いまは組織に雇われている。弟のビリーは、弁護士を目指して大学で勉学に励んでいる。百八十度違う人生を歩む二人は、やがて暴力と強欲の抗争に巻き込まれ、互いに死力を尽くすことになる。血の絆を、守るために。
ナイフ会社のしがない営業マン、ギル・レナードは狂喜した。メジャーリーグのスーパースター、ボビー・レイバーンが彼の応援する地元チームに移籍してきたのだ。やがて、ボビーが泥沼のスランプに陥ったとき、ギルは悟った。すべてを犠牲にしても、彼をスランプから救いだすことは自分の使命なのだ。そのためには殺人を犯すことも辞さない、と…。超満員のファンに埋めつくされたスタジアムで、いま、運命のゲームが幕を開けようとしていた!ロバート・デ・ニーロ主演、トニー・スコット監督で映画化のサスペンス話題作。
ガブリエル・デュプレは、モンタナの牧場で牛の出荷を管理する焼き印検査官。ある日、山中で発見された軽飛行機の残骸を調べに赴いた彼は、そこで三体の人骨を見つける。が、奇妙なことにそのうち一体は手と首が切り取られており、当時の記録から乗員は二人だったことも判明する。首なし死体はいったい誰のものなのか?調べを進めるデュプレは、数十年前に端を発する悲劇に突き当たる。西部の大自然を背景に描く注目作。
ある年の春、スティーヴンとアンジェラは、アイオワに家つきの農場を購入して幸福な結婚生活をはじめた。だが、16年後のふたりはそれぞれの人生を歩んでいた。スティーヴンと離婚したあと、アンジェラは、ふたりめの夫の浮気癖と不良娘の言動に悩まされ、いっぽう、スティーヴンは農場で牛を育てながら、子連れの女性リアとつきあいはじめている…。人生で避けてとおれない、出会いと別れ、愛と死を鮮やかに描く傑作。