著者 : 久保耕司
〜 このタイトルは、いったいなに!? 〜 イタリア北部コモ湖畔の風光明媚な田舎町ベッラーノで、老婆の死体が発見された。その死に特に不審な点はないが、この出来事がベッラーノの人々の生活に少しずつ影響を及ぼしていく。 次から次へと新たな展開が巻き起こり、数多くの出来事が絡み合って、大きなうねりを形作っていく、どこか不思議で、なぜだか妙に可笑しいストーリー。
〜 未亡人に訪れる さまざまな出来事が あらぬ方向へと次々に展開!! 〜 いくつものエピソードが織りなすユーモアとミステリー 映画「ひまわり」のソフィア・ローレンと同じ境遇の女に訪れる 奇妙なおかしさとペーソスに満ちたストーリー 舞台はイタリア北部コモ湖畔の風光明媚な田舎町ベッラーノ。 アンナ・モンターニの夫は徴兵され、ソ連の戦場に送られて行方不明となってしまう。戦争は終わったが、夫は何年も帰ってこないため、戦死したのかどうかも分からない。結局、夫の消息について何の手がかりもないため、彼女は自分が未亡人になったのかどうかも証明できない日々が続く。 戦後まもなくのイタリアで、決して豊かとはいえない時代を生きる普通の人々が、それぞれ自分の幸せを求めて日々を生きている。 しかしそんな生活の苦労がこれ見よがしに悲劇的に描かれることなく、ユーモアと奇妙さを伴いながら、人生の悲哀が笑いとともにそこはかとなく描かれていく。 一生懸命に生きるがゆえに噛み合わず、未亡人をめぐる展開はあらぬ方向へと次々と展開していく、可笑しいながらも、どこか温かみに包まれた、そんな不思議なストーリーです。
〜 シチリアのレモンのような記憶の物語 〜 レモン… 黒い瞳 サルディーニャ人 純愛? 妄想・・・ 決して終わることのない錯綜する糸が休むことなく編み続けられ、 そして解かれながら、多くの運命、多くのエピソードが絡み合うストーリー。 そんなストーリーが、狡猾さと純真さを兼ね備えた、 生き生きとした登場人物たちにより展開される、愉快なイタリアン・コメディ! 1930年代、ファシズムが勝利を収めた穏やかな時代。 北イタリア、コモ湖畔の町ベッラーノ、カラビニエーレの分署では、ロカテッリ憲兵(ベルガモ人)の眼前で、マンヌ曹長(サルディーニャ人)とミスファッティ兵長(シチリア人)がお互いにライバル心を燃やしていた。 そこへ、「小柄で、ネズミ色のコートを着て、胃の辺りに絶えず両手でハンドバックを抱えた」独身老女が面会したいとやってきた。 彼女は、盗難を届けにきたのだ。 一銭の価値もない品物についての奇妙な捜査が開始されたが、この事件が、失踪した後に再び姿を見せた弟、銀行員、高利貸し、ファシスト政権、美女、司祭、密売人などが錯綜する過去を明るみに出すことになる・・・
不気味な巨大船“ロブレド”を軸に展開される、生物と機械を巡る四つの物語。機械と生物が境界を越えて、互いを侵食する。機械部品は血肉と混ざり合い、肉体は毒に蝕まれて真鍮に変容していく。機械は毒薬によって死に、機械の命令で巨大な鳥が産んだ卵から生まれるのは機械部品。生物は金属に侵され、機械は生命の営みを行なう。砂の下に潜むのは屑鉄を食する奇妙な植物“錆喰らい”、そして勃発する機械と機械の戦い…イタリア賞、カシオペア賞受賞作品。