著者 : 井上のきあ
横浜山手のホテル・猫番館で働くパン職人の紗良。 ここに勤めて早3か月、今日も“事情"を抱えたお客様がやって来るーー 長逗留して新作執筆中の人気小説家は、パンは食べないと言い出し…「黒猫とデニッシュ」、 ベル・スタッフの小夏が猫番館に就職したのは、スイートルームで過ごした贅沢な時間がきっかけで…「おひとりさまスイートルーム」、 特別ディナーをリクエストしたやり手の女性実業家は、パティシエの誠の元婚約者で…「赤い靴のセレナーデ」、 ウェディングパーティーのケーキセレモニーで、新郎新婦はそのサプライズ演出に…「薔薇園で祝宴を」 ーー噛みしめるのはパンのおいしさだけじゃない。おもてなしいっぱいのハートウォームストーリー第2弾!
3年弱勤めたパン屋さんをやむなく離職したパン職人の紗良。その腕を見込まれ、横浜・山手にある「ホテル猫番館」に再就職したけれど、ホテルにはいろいろと“事情”を抱えたお客様がお泊まりのようで…!?人なつっこいコンシェルジュの要、気むずかしい料理長の隼介ら個性的な面々に囲まれて、宿泊客においしいパンを提供する紗良の毎日が始まるー!
初夏を迎えた京都、下鴨。糺の森で、若いころ求婚の返事が聞けないまま婚約者を亡くした、と語る老人に出会った幸。(鴬の落し文)「香水瓶を返して」という女性が訪ねてきた日から、身辺に彼女の幻影を見るようになった春野。彼女の正体は…。(青時雨の客人)ほか、全六編収録。時代を超えて受け継がれる、古い物たち。そこに宿る想いを見届ける、シリーズ最終巻。
蔵に眠る“いわくつき”の着物の管理を祖母から引き継いだ鹿乃。その着物も、とうとう最後の一枚にー。「桜の園」と名付けられた着物は、書き置きを残して失踪した野々宮家の女性のものらしい。彼女の足跡を追ううち、祖母が「叔母さんは、山で神隠しに遭うたんや」と言っていたと知る。神隠しの真相と、鹿乃と慧、そして良鷹、それぞれが未来に受け継ぐものとはー。
35歳の若さでこの世を去った天才音楽家・モーツァルト。病死とも毒殺とも言われ、埋葬場所も分からないまま、その死の真相は深い闇に包まれている。多くの人の思惑によりねじまげられたモーツァルトの死を「悪妻」と呼ばれた妻コンスタンツェの視点から見つめなおす。18世紀に燦然と輝いた天才音楽家と、一途に彼を愛した妻の純愛、そして二人だけの王国とは!?愚かで愛しく、素晴らしき天才の生涯。
京都、下鴨ー。慧に告白してから、関係がぎくしゃくしてしまっている鹿乃。そんななか、知人に若い男性を紹介される。佐伯稜一というその青年は、実は蔵の着物の関係者で、大伯母の椿柄の振袖について訊きたいのだという。該当する着物を蔵から出してきた鹿乃だったが、描かれた椿すべてが落花してしまい…?そして鹿乃と慧、ふたりの関係の行方はー?アンティーク・ミステリー第6弾!
京都、下鴨ー。ある日、野々宮家を、見知らぬ男性が訪ねてきた。知人の女性を探しているという。聞けば、その女性の祖母が、鹿乃の祖母に着物を預けていたそうだ。鹿乃が蔵から取り出したその着物には、斜めに横切るように鮮やかな赤い糸が描かれていた。ところが、まばたきする間に、その糸は切れてしまい…?古い物に宿る想いをひもとく、温かな人情譚。
ある日、喫茶店店主の満寿から両親の話を聞かされた鹿乃。雷柄の帯を手掛かりに、亡くなった両親の馴れ初めをたどることに。また蔵から出した菊柄の着物は、慧の父親に関係が…? 過去が明かされる第4巻。
京都、下鴨ー。高校生の鹿乃は、旧華族である野々宮家の娘だ。両親を早くに亡くし、兄の良鷹と、准教授をしている下宿人の慧と三人で、古びた洋館に住んでいる。アンティーク着物を愛する鹿乃は、休日はたいてい、祖母のおさがりの着物で過ごす。そんなある日、「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けてしまう!すると、次々に不思議なことが起こって…!?