著者 : 井上一夫
老女は胸を撃たれ、アパートの部屋に横たわっていた。そばには安ウィスキーの瓶が…現場に急行したキャレラたちは、被害者の意外な素顔に驚いた。その老女は、かつては絶大な名声と人気を誇ったピアニスト、スヴェトラーナ・ディアロヴィッチだったのだ。隣人の証言によれば、引退したスヴェトラーナは酒びたりの孤独な生活を送っていたという。わずかな金を狙った強盗の犯行か?が、やがてスヴェトラーナが大金を孫娘に遺していた事実が判明し、その金をめぐる熾烈な争奪戦が!87分署シリーズ最新刊。
あまりにも突然のことで、わけがわからなかった。いきなり男に腕をつかまれ、地下鉄のホームから線路に突き落とされたのだ。電車がきた。必死でホームにはいあがろうとするが、なかなかうまくいかない。ああ神様。このときはどうにか命拾いしたものの、二週間後に同じ男が運転する車に轢かれかけたとき、エマは自分の命が狙われているのをはっきりと悟った。犯人の顔には見覚えがあった。その昔、夫を会社に送迎していた運転手だ。だが、警察が捜査を開始するまもなく、男は他殺体となって発見された。愛する妻を襲撃者の魔手から守ろうとした夫の仕業なのか。それとも、夫が妻のボディガードとして雇った私立探偵が事件に関係しているのか。そもそも、殺された男はなぜ元の雇主の妻をつけ狙っていたのか。猛烈な寒波に襲われたアイソラの街で愛と裏切りが交錯する。全米ベストセラーの87分署シリーズ話題作。アメリカン・ミステリ賞最優秀警察捜査小説賞受賞。
おだやかな春の宵、マイケル神父は教会の中庭にひざまずき、ひとり静かに祈りを捧げていた。その行ないを中断させたものは、神父の背中に突き立てられたナイフだった。野獣のような怒りのみなぎる鋼が、幾度となく神父の肉体にすいこまれる。やがて庭は完全な闇につつまれた。殺されたマイケル神父は、最近たてつづけに暴力的な事件にまきこまれていた。説教の内容に腹を立てた教区民からは脅迫状まがいの手紙を送りつけられ、事件の数週間まえには、血まみれで教会にとびこんできた黒人少年を守るため、バットを手にした教区内の白人の若者たちとやりあっていた。さらに神父は、近所でおこなわれている悪魔崇拝の儀式のことでも頭を悩ませていた。神父は悪魔崇拝者の手にかかって殺されたのか?それともこれは教区民のしわざなのか?悪魔崇拝、人種差別、麻薬問題-。大都会の片隅に立つ教会で、善と悪、愛と憎悪が交錯するシリーズ問題作。
大晦日の夜。街じゅうがパーティで浮かれ騒ぐなか、刑事と鑑識技手で混みあうそのアパートだけは、ひんやりと重苦しい雰囲気に包まれていた。廊下には胸にナイフを突き立てられたベビーシッターの娘、そして幼児用ベッドには枕を押しつけられて窒息死した赤ん坊の死体があったのだから。パーティから帰宅して死体を発見した若夫婦の話から、赤ん坊が養子だと知ったキャレラとマイヤーは、実母を探すかたわら、ベビーシッターの娘にふられた元ボーイフレンドの行方を追った。一方クリングは、大晦日の晩に命を救ったプェルト・リコ人から、大がかりな麻薬取引の情報を流すともちかけられていた…。寒風吹き荒ぶアイソラの街で二つの凶悪犯罪に取り組む87分署の刑事たち-シリーズ40作目を飾る話題の大作。
英国で最も重要な情報機関WOOC(P)。新たにその一員となったわたしは、失踪した化学者をジェイなる人物の手から取り戻す任務を与えられた。ジェイは一連の要人失踪事件を操る黒幕らしい。問題の化学者は、東側に拉致される途中、レバノン山中で奪回。だが依然として、ジェイと彼の組織の動向はつかめなかった。謎を追い、ロンドンの不気味な家、南太平洋の原爆実験島と動き回るわたしは、やがて自分が東側の二重スパイとして追われていることを知る!巨匠が斬新な文体と卓抜なストーリー展開で、スパイ小説の新世紀を拓いた鮮烈なデビュー作。
発端は、2人の英国人が写っている1枚の古びた写真だった。1人は若き日のイァン・フレミング。だがもう1人の、黒髪でたくましそうな少年は…。彼の名前に驚いた私は、さっそく調査を始める。やがて、英国秘密情報部が意外な申し出をしてきた。私は彼の伝記を執筆することになり、彼に紹介されたのだ。「ようこそ、こちらがボンド中佐」-007号ジェイムズ・ボンドが、謎に包まれた波瀾の人生を自ら語る!数々の危険な任務、苦い失敗、愛し愛された女たち…。007への愛をこめて、ジェイムズ・ボンドのすべてを描く、007ファン必読書!