著者 : 井上絵里奈
《シンデレラの赤い靴》シリーズ完結編! 社交界にデビューしたローリー・バクストン。幼かった彼女は妻子ある外国人外交官にたぶらかされ、抱擁しているところを人に見られて、社交界から追放されてしまった。継母のもとを逃げだし、いまはおばと二人で田舎に暮らすローリーは、筆名を使って週刊新聞にコラムを執筆している。 そこに赤い靴を持ったレディ・ミルフォードが訪ねてきて、言葉巧みに彼女をロンドンへ誘い出し、ダシェル侯爵ことルーカス・ヴェールの屋敷に彼の母親のコンパニオンとして送り込んだ。 ところが、ルーカスはコンパニオンに応募してきたローリーをそっけなくあしらおうとする。実はかつては彼女に恋こがれていたが、今の彼は破産寸前の一族を救うために資産家令嬢との縁談をとりつけねばならないのだ。ともあれ、二人の一つ屋根の下の生活がスタートしたのだが……
亡くなった父が経営していたオークションハウスは、美術や工芸品の鑑定を学んできたキャサリンにとって宝物だ。父はこの店の経営権を兄とキャサリンの共同にすると遺言に残したが、彼女には条件がつけられていた。それは結婚しなければ経営に携わることができないというものだ。父なきあとオークションハウスの切り盛りに力を尽くしてきたキャサリンだが、政治家志望の兄は売上を横領しているうえに、店を売却しようとしている。また、自分が政界入りするための足がかりとなるように、彼女を強引に政略結婚させようとしていた。早く結婚して経営権を持たなくてはとあせるキャサリンは、危険な実力者ニックに近付き、便宜上の結婚をしてほしいと申し入れる。単なる取引のはずだった二人の始まりは、やがて大きな情熱のうねりとなり…
公爵家の次男ローランドは、友人たちと滞在先の古城へ向かう道中、かつての恋人リリベットと偶然再会する。ふたりは7年前、激しい恋に落ちて将来を誓いあった。しかしローランドの長期出張で連絡が取れぬうちに、リリベットは父親の借金のかたに別の男性と結婚させられたのだった。はなればなれになっても片時も忘れなかった女性と再びめぐり逢えた奇跡を喜び、あの頃以上の情熱を燃えあがらせるローランド。一方リリベットは、愛のない生活につらい思いを抱える中、夫の恐ろしい秘密まで知ってしまい、危険を感じてここまで逃れてきていた。運命のいたずらから、友人とともに古城で暮らすことになったふたり。やがてリリベットの傷ついた心は、ローランドの優しさで癒されていくが…。エリザベス・ホイト絶賛、珠玉の愛の物語!
資産家令嬢のミリーは、親に結婚を決められたフィッツヒュー伯爵と出逢った瞬間、ひと目で恋に落ちた。はじめての気持ちに心を躍らせるミリー。一方のフィッツは、多額の負債を抱えた一族のために、長年思いを寄せていた女性に別れを告げてこの結婚を選んだ。そのことを知ったミリーは、自分にとってもこれが望んだ結婚ではないふりをし、想いを隠し通すことを決意する。ただの同居人として暮らしはじめた二人だったが、ともに助け合い、困難を乗り越えながら時を重ねるうちに、いつしか信頼と敬意で強く結ばれるようになっていた。フィッツの傍らでミリーは、報われることのない愛にせつなさを募らせながらー。そうして8年が経ったある日、遠く離れていたかつての思い人と再会したフィッツ。ミリーは彼への想いを断ち切るため、最後にある提案をするが…。
19世紀イングランド。博物学者である公爵クリスチャンから公の場で侮辱された、美しき未亡人ヴェネチア。心を傷つけられたヴェネチアは仕返しを企み、公爵を追って豪華客船に乗り込む。数週間の船旅のあいだ、ヴェールで顔を覆い素性を隠したまま彼を誘惑し、夢中にさせたあとで姿を消すつもりだった。ところが計画とはうらはらに、ヴェネチアは彼との距離が縮まるにつれ、洗練された知性とその奥にひそむ情熱的な男らしさに惹かれていく。クリスチャンもまた、ヴェールに覆われた彼女の神秘的な魅力に心を奪われていた。船上で激しい恋に落ちる二人。ヴェネチアは素顔を明かせないまま甘く親密なときは過ぎ、船旅も終わりに近づいたころ、クリスチャンからある秘密を打ち明けられて…。2年連続RITA賞受賞の人気作家が綾なす、優雅なヒストリカル・ロマンス!