著者 : 仁嶋いずる
両親に育児放棄されて育ったケイシーは、愛に溢れた家庭を夢見ていた。だが浮気者の元夫の手酷い裏切りのあと、失意の底から上がれずにいた。そんなとき気鋭の実業家アーロンの秘書の職を得るが、すぐに二人は激しく惹かれ合い、一夜だけという約束で結ばれる。8カ月後、ケイシーはアーロンから思いがけない依頼を受けて動揺する。行方不明の弟の幼い娘を預かることになったので、ナニーとして屋敷に同居してほしいというのだ。甘い夜の記憶が甦った…彼と一緒に暮らすなんて無理よ。それでも少しでも役に立つならと受け入れたケイシーだったが、やはりアーロンへの想いは日ごとに募るばかりで…。
小さな探偵事務所を営みながら家族を養うネバダ。巨万の富の持ち主で、世界がひれ伏す権力者マッド・ローガンとついに愛を確かめ合うが、甘い日々は刹那だった。ある日ローガンの元婚約者である女性が事務所を訪れ、行方不明の夫捜しをネバダに依頼する。持ち前の正義感が嫉妬心を上まわり、ネバダは引き受けるが、何かとローガンを頼ろうとする依頼人の態度には、かすかにざわつく心を持てあましていた。二人の愛は揺るぎないはず…。だが新たな事件はより大きな陰謀へと姿を変え、ローガンとネバダに襲いかかろうとしていた。
マット・ウォーカーの我慢は限界に達しようとしていた。この20年、彼は幼なじみであるフランキーを妹のように見守ってきたが、内心は兄らしからぬ感情で爆発寸前。というのも、恋愛恐怖症のフランキーは女性として見られることを極端に恐れ、少しでも彼が男の顔を出せば、野良猫のように逃げていってしまうからだ。しかし、さえない服と眼鏡の奥には、官能的な曲線と可憐なまなざしが隠れていることをマットは知っていた。進まない関係にしびれを切らした彼は、仕事という名目でフランキーをリゾートへ同行させることに…。
ネバダは父親が遺した小さな事務所を継ぎ、家族の面倒を見ている。この生活が好きだし変えるつもりもない。なのに目を閉じれば思い出してしまう、肌に触れた彼の手、唇の味を…いいえ、巨億の富を持ち、世界が恐れるマッド・ローガンとは、始まるチャンスもないまま終わっているのよ。愛人になれという誘いを拒んでから2カ月、彼からは何の音沙汰もなかった。だが新たな事件が再び二人を引き合わせたとき、ネバダは思い知る。ローガンは手段を選ばない。殺しを厭わないのと同じ非情さで、彼はネバダの愛をむきだしにするのだ。
夢の街ニューヨークで暮らすマチルダは、今夜セレブの集まるパーティでウエイトレスをしていた。大企業を率いる億万長者のチェイスが主催者だから、ミスは許されない。それなのに大失態を演じて首になった彼女をデートに誘ったのは、なんとチェイスだった!(『億万長者と魔法の一夜』)。両親を亡くしたアリスは身を寄せた伯父の屋敷でこき使われている。伯父一家が泊まりがけで外出した夜、玄関先に突然現れたのは伯爵のジャック。吹雪から逃れる場所を求めていたという。妻に先立たれた彼は幼い子供を妻の実家から引き取ってきたばかりで…。(『ある伯爵とシンデレラの物語』)。ライリーの上司は、原石の発掘から高級宝石店までダイヤモンドのすべてを扱う会社のCEOジェームズ。ある夜、彼女は憧れの彼とついに結ばれたが、“一生結婚する気はない”と言われて凍りつく。別れを決意した彼女がジェームズに辞表を突きつけると…。(『ダイヤモンド・クリスマス』)。アンドレアは生後3カ月の赤ん坊と一緒に、雪の降るなか車を走らせ事故に遭った。病院で目覚めたとき、そばにいたのはフリンという頼もしい男性。退院許可が出るやいなや、アンドレアは息子と共に彼の家へ連れていかれる。(『天使を守りたくて』)
憧れの街ニューヨークで働くペイジは、順調なキャリアから一転、突然クビを言いわたされた。落ち込み、途方に暮れる彼女の前に現れたのは、もっとも弱みを見せたくない相手ー兄の親友で、かつてペイジの幼い恋心を踏みにじったジェイク・ロマノだった。「それなら、自分で会社を作ればいいじゃないか」世界的企業のオーナーであり、セクシーな辣腕実業家でもある彼の助言を拒む理由はなかった。だが、アドバイザーとして何くれとなく世話を焼く彼が側にいると、忘れたはずのペイジの想いは、否応なくかき立てられてしまい…。