著者 : 仙波有理
伯父の死後、天涯孤独となったブルックは、由緒ある屋敷と土地を手放さざるを得なくなった。屋敷を買った大手建設会社のパーティに、寂しさをこらえ出席すると、アランという黒髪の尊大な男に言い寄られる。女は金で買えるとでも思っているようなアランの発言を聞いて、彼の鼻をへし折りたくなり、誘惑にのるふりをしたブルック。だが彼女がバージンと気づくや、アランは突然立ち去った。後日、ブルックの勤め先の会社が買収され、新しい会長秘書となった彼女は、その人物を見て言葉を失うーアラン?このあいだの傲慢な人が会長だというの?大人気のボス&秘書もの。部下であるヒロインをからかうような言動をとるヒーローが、なぜか気になってしかたがないヒロイン。ある日、ボスとの出張先のロンドンで倒れてしまい…。
18歳のとき、ウィンは年上のハンサムな会社社長ジェイムズと電撃的な恋に落ち、周囲の反対を押し切って結婚した。幸せもつかの間、夫は生まれた息子チャーリーに愛情を示さず、同僚と浮気。二人は離婚し、ウィンが息子を引きとることに。だが10年が経った今、ジェイムズがこの町に戻ってくるという。まさか息子を連れ戻そうというの?不安な思いで帰宅すると、驚いたことに、息子と元夫が居間でくつろいでいるではないか。息子の気持ちを思うと、元夫をむげに追い出すに忍びなく、ウィンは家に泊めることに。ところがその夜からジェイムズは、まるでウィンの再婚を阻もうとするかのように干渉してきて…。
もう自分を愛していない夫に、離婚を切り出した直後だった。トラックがイーデンたちの車に突っ込んできたのは覚えている。目覚めると、夫は重体で、記憶の全てを失っているという。すぐにも駆けつけたかったが、流産しかかっていたイーデンは病室に拘束されて、3日間、夫のもとに行けなかった。すると夫のアリスティドはイーデンを悪妻と信じ込んだのだ。ところが退院し、家に戻ると夫は腕を回して彼女を引き寄せた。私に興味がないはずなのになぜ?戸惑うイーデンに唇を重ね、夫は欲望に濡れた瞳で求めてきた。「妻なら当然の役目だろう」
あと半年で、子供が産めない体になるかもしれない…。医師から衝撃的な診断を下されたアンドレアは打ちのめされ、治療に専念しようと、社長ゲイブに休職を申し出た。だが、なぜか許されず、ゲイブはパリ出張への同行を命じる。現地に到着したものの、仕事を始める様子もないゲイブに、不審感を抱いたアンドレアが問いただすと、「きみをパリに連れてきたのはーきみに子供を授けるためだ」同情からの求婚だとわかり、彼女は思わず言葉を失った。なぜならアンドレアは密かにゲイブを愛していたからだ。
幼い息子を抱え、ローラは慎ましやかな生活を送っていた。ところがある日、平穏な心がかき乱されてしまう。ニュースで聞き覚えのある名前が流れてきたのだ。コンスタンチン・カランティノスーギリシアでも屈指の大富豪、彼が結婚するという。自分の息子の存在も知らないまま。唐突に、彼と過ごした8年前の夏の輝きと別離が甦ってくる。遊ばれて捨てられたのに、高まった思慕をおさえられず、一目見たさのあまり、ローラは婚約パーティーへと入りこんだ。だが、コンスタンチンは彼女に冷たい一瞥をくれただけだった。
平凡な容姿の内気な娘に数学の才能があると知り、教師だった父はキャシーに英才教育を施した。13歳で母を、19歳で父を亡くして天涯孤独となったとき、彼女を救ったのは、ほかでもないこの才能だった。キャシーの開発したコンピューターゲームのソフトは次々と成功、評判を聞いた企業から買収を持ちかけられるまでになっていた。そんなある日、キャシーは突然、ひとりの男に誘拐されてしまう。ジョエル・ハワード!大企業を率いる富豪がなぜこんな真似を?彼は強引にキャシーに買収を承諾させると、結婚までも強要した。「結婚は書類上のものだ。だが、君さえ望むなら…」
ジャーナリズム学科の女学生マギーが課題として選んだのは、過去の未解決事件三件の再調査レポート。だが調査に着手した矢先、彼女は他殺死体で発見される。死体が放置されていたのは「恋人たちの小道」、1988年の殺人事件の現場だったーマギーを指導していたヘンリー・Oは独自の捜査を開始する。過去と現在、交錯する謎の深淵に潜む衝撃の新事実とは。
香港のある銀行で起きた奇怪な事件に黄線街分署のファイファー主任警部らは頭を抱えた。なんと九人の行員全員が死体で発見されたのだ。死因は毒入りシャンパンを飲んだためと判明。盗まれた物はない。乾杯しながら集団自殺したとでもいうのか?他殺だとしても強盗でないなら、一体誰が何のために?二転三転の展開、爆笑エピソード満載の奇天烈ミステリ。
ジェイスンとジェシカの探偵コンビは、ヴィデオ・テープを見て、わが目を疑った。ふだんはおかたい女性議員がすっ裸になり、ロバとウサギのお面をつけた裸の男女と絡みあっているのである。だが、女性議員には、そんな淫らな行為をした記憶がまったくなかった。薬を盛られて意識朦朧としているあいだに撮られたのか?だとしたら、誰が、いったい何の目的で?コンピューターはおまかせのジェイスンと格闘技の達人ジェシカが、丁々発止と軽口を叩きながらニューヨークの悪党ども相手に奪闘する、お酒落で過激なミステリ。
コロラド州デンバー。ダンは、亡き伯父であり、共同経営者だったチャーリーの屋敷の扉を開けた。チャーリーの遺言によって年若い未亡人コリーンに遺された会社の株を譲ってもらうためだった。いったい伯父はなぜあんな遺言を残したのだろう。このままでは、社の実質上の経営権は彼女に奪われてしまう。
フロリダ-輝く太陽と青い海。ベス・ファラデーは潮風に顔を撫でられながら朝の日差しを浴びていた。「やあ、ベス」近づいてくるヨットから声をかけられて、ベスは一瞬息をのんだ。ギブ・マクラーレン!黒髪にエメラルド色の瞳、たくましい体躯。5年前、苦悩の底で、手を差しのべてくれたのは、まさしく、彼ギブだった。ベスの心に、苦しい想い出とともに懐しさがよみがえり…。
ニューヨークを舞台に、華やかな作詞家の道を歩んでいた23歳のホリスは、今や傷心の極みにあった。夫は有名なポップスシンガー、その彼が女優との仲を噂され、あげくに謎の自殺を遂げたのだ。心ないマスコミの取材から身を隠すようにしてロングアイランドの知人の別荘に身を寄せたホリスはここでも心休まる時は持てなかった。使用人たちの冷たい態度、かたときもホリスから目を離そうとしない庭師のピートのことなど、ホリスは混乱していくのだった。そんな心の傷を慰めるかのように近づく男がいた。植物学者、アランだ。