著者 : 伊井直行
回り道を通してしか、見えないことがある。仕事にも、人生にも。未知の経験を求めて転職した女と社命を帯びて出向した男が、会社の“闇の奥”に見つけ出したものとはー?仕事とは何か?を問う、文学の新たな試み。傑作長篇小説!
内緒だけど、レワニワのこと知ってる?第二次レワニワ探検隊は、向洋台団地N6棟にある森島君の家に向かった。そこで何を発見することになるのか知らないままー。
あなたは、きっとレワニワが好きになる。ティアン、仕事ができるんだかできないんだか微妙な徳永さん、コヒビト、偏頭痛持ちの三浦さん、中年のSEXフレンドあみー、そして、レワニワ。
70年代半ばの就職氷河期に中堅商社に入った「僕」の社内抗争、リストラ、独立、合併と続く社会人としての転変と、一人娘の不登校、不良化を防ごうとする父親、家庭人としての奮闘をユーモアのある読みやすい文章で描く、切実な現代の物語。30年前に死んだ大好きだった叔父さんに語りかける、暖かくて新鮮な大人の小説。
静かな港町の造船所に謎の外国客船がやってくる。だが姿を現した巨大な船体には、もの悲しい雰囲気が漂っている。アスパシア・アン号。乗って来たアスパシア人とは、一体何者か。忘れられた国家の議会は、由緒正しくも、しかしデタラメに展開して…。生者と死者の交差する、現代の寓話。
ある日、猫が人間の言葉を話すのを聞いた。その声に導かれるままに川上の村を訪れた「私」は、自分がそこで「猫のジャンナ」として生涯を終える運命にあることを知る…。日常のなかに潜む「異界」から帰還した男の物語。
『社内局』経由で配付した会議用資料を回収することになったかれ。ところが『社内局』とはいったい何なのか、どこにあるのか、だれも知らない。たった一人、会社という迷宮をさまよう羽目におちいった困惑の一日ー。一九八九年度の野間文芸新人賞受賞の表題作と芥川賞候補作『パパの伝説』を収録。
「見晴しが丘」はかつて「雷山」と呼ばれ富士山の見える「のぞき岩」があった。この地で育った中年サラリーマンと、地方出身の青年フリーター。“故郷をなくした”二人の人生が交叉する一瞬…。都市郊外の光景と人間模様を鮮かに描く長編小説。
ここではないどこかへ行きたい方、湯微島行の船に乗りませんか。湯微島は旅人を誘う夢の島ではありませんが、心の中のなつかしいものを呼びさます不思義な島です。子供の頃の無邪気な冒険、青春のやるせない思い、甘く苦く切ない恋、そして誰かの人生の縮図のような物語。現代の民話か、奇想天外なメルヘンか。新しい長編小説の誕生。
蛙にされてしまった平凡な予備校生のぼくは、断固として人間に戻りたいと思ってる。世界でたった一匹、字の書ける蛙のぼくは、やさしい麦子に助けられてグリム童話『蛙王子』の研究に取りくんだ。変化なし!絶望した麦子に見すてられ、ぼくはいっそう彼女のことが好きになった。群像新人文学賞受賞作。