小説むすび | 著者 : 伊藤直子

著者 : 伊藤直子

ラクロワ姉妹ラクロワ姉妹

どの家にも、隠された秘密がある。--毒々しい日常の中で繰り広げられる、重く静かな心理サスペンス小説 ノルマンディー地方バイユーに佇む「ラクロワ邸」には、姉ポルディーヌと妹マチルド、それぞれの家族が暮らしている。一見平穏なブルジョワ家庭だが、長年にわたり積み重ねられた姉妹の確執は、家の空気を重く濁らせていた。ある日、マチルドの娘ジュヌヴィエーヴは突然食事中に奇妙な病に倒れ、二度と歩けなくなる。ポルディーヌはスープの味に微かな違和感を覚え、検査の結果ヒ素が混入していたことがわかり、家族の誰かが少量ずつ毒を盛っていたのではないかという疑心を抱く。やがて、いままで沈黙に覆われていた過去が徐々に浮かび上がってくる……。閉ざされた家の中で崩れゆく心の均衡と、家族という檻が生むある運命を鋭敏な筆致で描く。 ホラーに限りなく近い強烈な心理サスペンス小説 本作を謎解きミステリーとして読むことはできないし、ミステリー的な解決を期待して読む人には困惑や怒りしか与えないかもしれない。本作は読者を選ぶだろう。しかし、だからこそ、「よくも悪くも」といってよいだろうが、本作は私たち読者に強烈な印象を残す。あたかもいびつなホラー、あるいは箍の外れた凄まじいサスペンス小説と向かい合ったかのような読後感をもたらす。これもまたシムノンなのであり、本作によってまたひと回りシムノンの読み方が広がったのではないだろうか。--「解説」より

暴力とイスラーム暴力とイスラーム

シリア詩人アドニスが精神分析学者を相手にイスラームとアラブを語る。宗教の暴力性と女性蔑視を問い、宗教と政治が結びつく危険性を糾弾し、信徒に深い思索を呼びかける。 《イスラームに内在する暴力がムスリムたちにどれほど影響を及ぼしているか。知性もさることながら、人間性そのものさえ損ないかねないほどなのです。》 《イスラームは男女両性の在り方を歪曲し、愛を否定し、女性的自我と男性的他者との関わりを、つまり、あらゆる人間関係を捻じ曲げてしまったのです。》 《彼らはただひと筋に信じる以外、ないのです。こうして暴力は神聖化され、公称の「歴史」もまた、神や預言者によって創造されたことになりました。》--本文より 日本語版への序文 止むことなく破壊は続く 公称の「歴史」を読み直す イスラームの成立とその精神 コーランには何が書かれているのか 女性、女性性、女性的なるもの 「イスラム国」を衝き動かすもの アラブに執着し続けるヨーロッパ 芸術と宗教、神話と宗教 詩は言葉と戒律の狭間で 真正アラブ・イスラーム史の復権のために 「記憶」から人々を救うために 結語 本質主義に抗して

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