著者 : 佐多稲子
夏の栞夏の栞
一九七九年八月、作家中野重治が逝去した。中野重治に小説家として見出された佐多稲子は、この入院と臨終に至るまでの事実を、心をこめて描いた。そして五十年に亘る、中野重治との緊密な交友、戦前、戦中、戦後と、強いきずなで結ばれた文学者同士の時間を、熱く、見事に表現した、死者に対する鎮魂の書。毎日芸術賞・朝日賞を受賞した、感動の文学作品。
女の宿女の宿
大阪に住む友人の女流画家とその義妹の家に宿をかりた私。そこに偶然訪れた2人の女客。隣家から響く無遠慮な女の声。さりげない日常の中に、時代の枠に縛られながら慎しく生きる女たちの不幸と哀しみとを刻み込む、女流文学賞受賞作「女の宿」。ほかに名篇「水」、「泥人形」「幸福」など、人々の真摯な生きざまを見事に描き上げた13篇を収録。
夏の栞夏の栞
1979年の夏、著者にとって人生の最高の友人=中野重治は逝った。1年後、中野夫人原泉さんは、夫を生地の土に還した。その入院と死に至る状況や、郷里福井の埋葬に立ち合った著者に去来する50余年の時間の意味。そして自分自身の生と真実…。本書は、戦前・戦中・戦後の激動の半世紀に、人間的文学的情熱を共にした中野重治との交遊を通して描いた鎮魂の書。毎日芸術賞、朝日賞受賞。
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