著者 : 佐藤究
2024年元日、能登半島を襲った大地震によって多くの人が傷つけられました。 残念ながら、小説を読むだけでは暖を取ることも、おなかを満たすこともできません。 ですが、いつか、魂を励まし、心に寄り添える力が物語には宿っていると信じています。 さて、奥能登地域の農家では、古くから稲作を守る“田の神様”を祀り、感謝をささげる「あえのこと」という儀礼が行われてきました。 「あえ=おもてなし」、「こと=祭り」をあらわします。 物語によるおもてなし「あえのがたり」のために集まったのは、今、もっとも新作を待たれている10人の小説家。 10人の作家による、1万字のおもてなし。 ぜひご堪能ください。
「ただ私は戦闘機という機械に乗りたかっただけで、その戦闘機の飛ぶ空が“護国の空”だったのです」少年は、空を夢見、そして空へ羽ばたく。空を支配する重力・Gに取り憑かれ、戦闘機F-35-Bを操る航空宇宙自衛隊員・易永透。日本・タイ・バングラデシュを舞台に描かれる、魂の垂直離陸。直木賞と山本周五郎賞をW受賞した『テスカトリポカ』から2年、構想5年ー日本の戦後精神の支柱「三島由紀夫」に挑んだ、佐藤究・圧巻の第4長編。
鹿児島市の小学校に、爆破予告が入る。急行した爆発物処理班の駒沢と宇原が目にしたのは黒い箱。処理を無事終えたと安心した刹那、爆発が起き駒沢は大けがを負ってしまう。事態の収拾もつかぬまま、今度は、鹿児島市の繁華街のホテルで酸素カプセルにも爆弾を設置したとの連絡が入った。カプセルの中には睡眠中の官僚がいて、カバーを開ければ即爆発するという。さらにほぼ同時刻、全く同じ爆弾が沖縄の米軍基地にも仕掛けられていることが判明。事件のカギとなるのは量子力学!?「爆発物処理班の遭遇したスピン」。他に、日本推理作家協会賞短編部門の候補となった「くぎ」、「ジェリーウォーカー」「シヴィル・ライツ」「猿人マグラ」「スマイルヘッズ」「ボイルド・オクトパス」「九三式」を収録。
あなたの心が滅んでしまわぬように。再生の予感に満ちた、失われゆくものの小説群。十人の人気作家による絶滅モチーフの新作短編集。
心臓密売人の恐怖がやってくる。メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会う。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へ向かった。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年、土方コシモは、バルミロに見いだされ、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていくー。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。
2026年、京都で大暴動が起きる。「京都暴動=キョート・ライオット」だ。人々は自分の目の前にいる人間を殺し合い、未曽有の大惨劇が繰り広げられた。事件の発端になったのは、「鏡=アンク」という名のたった1頭のチンパンジーだった。霊長類研究施設に勤める研究者・鈴木望は、世界に広がらんとする災厄にたった1人で立ち向かった……。
女子高生の市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、郊外の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。亜李亜は残った父親に疑いの目を向けるが……。 17歳の女子高生・市野亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家で生まれ育った。父は血を抜いて人を殺し、母は撲殺、兄は噛みついて失血させ、亜李亜はスタッグナイフで刺し殺す。それでも、猟奇殺人の秘密をお互いに共有しながら、西東京市の家でひっそりと暮らしていた。ところがある日、兄が部屋で殺されているのを亜李亜は発見する。もちろん警察は呼べない。そして翌日には母がいなくなった。残されたのは父と亜李亜。彼女は自分の父親に疑いの目を向けるが……。
2026年、多数の死者を出した京都暴動(キョート・ライオット)。ウィルス、病原菌、化学物質、テロ攻撃の可能性もない。人類が初めてまみえる災厄はなぜ起こったのか。発端はたった一頭の類人猿、東アフリカからきた「アンク(鏡)」という名のチンパンジーだった。一人の霊長類研究者が壮大すぎる謎に立ち向かう。乱歩賞『QJKJQ』で衝撃の”デビュー”を果たした著者による、世界レベルの超絶エンターテインメント! 2026年、多数の死者を出した京都暴動(キョート・ライオット)。 ウィルス、病原菌、化学物質が原因ではない。そしてテロ攻撃の可能性もない。 人類が初めてまみえる災厄は、なぜ起こったのか。 発端はたった一頭の類人猿(エイプ)、東アフリカからきた「アンク(鏡)」という名のチンパンジーだった。 AI研究から転身した世界的天才ダニエル・キュイが創設した霊長類研究施設「京都ムーンウォッチャーズ・プロジェクト」、通称KMWP。 センター長を務める鈴木望にとって、霊長類研究とは、なぜ唯一人間だけが言語や意識を獲得できたのか、ひいては、どうやって我々が生まれたのかを知るためのものだった。 災厄を引き起こした「アンク」にその鍵をみた望は、最悪の状況下、たった一人渦中に身を投じるーー。 江戸川乱歩賞『QJKJQ』で衝撃の”デビュー”を果たした著者による、戦慄の受賞第一作! 我々はどこから来て、どこへ行くのかーー。人類史の驚異の旅(オデッセイ)へと誘う、世界レベルの超絶エンターテインメント!! プロローグ 1 霊長類研究者 2 これは感染爆発ではない 3 超暴動 4 かつてこうであったもの エピローグ
猟奇殺人鬼一家の長女として育った、17歳の亜李亜。一家は秘密を共有しながらひっそりと暮らしていたが、ある日、兄の惨殺死体を発見してしまう。直後に母も姿を消し、亜李亜は父と取り残される。何が起こったのか探るうちに、亜李亜は自身の周りに違和感を覚え始めー。第62回江戸川乱歩賞受賞作。