著者 : 佐藤雅美
水面下で混迷をきわめる備前岡山松平家の継嗣争い。求むべきは血の濃さか、それとも将軍家とのつながりか。密計の黒い糸を手繰っては翻弄される半次は…。陰謀渦巻く世界を描く、傑作長編捕物帳。
仕事中でも、つい居眠りをしてしまう奇病をもつ藤木紋蔵は、鬢に白いものが混ざり始めた中年の同心。十五の歳に、南町奉行所に見習い採用されておよそ三十年が経つ。奇病のため外に出すと世間に恥をさらす、というので内勤の例繰方に配属された。俸禄は三十三俵二人扶持。家族は妻の里に紋太郎、紋次郎、稲、麦、妙の二男三女。生活は大変で、表通りに面した地面を人に貸し、さらに夫婦揃って内職に精をだしている。紋太郎を婿養子にやり、稲を嫁に出したので、家族は五人になった。紋蔵はこの奇病ゆえに、人生の真実が見え、「窓際族」ながら様々な事件に関わり、解決していく。
争いは世の常、人の常。江戸の世で、その争いの相談所が恵比寿屋のような公事宿だ。ある日、若者が恵比寿屋を訪れ、兄が知らぬ男に金を返せと訴えられたと相談した。喜兵衛は怪しい臭いを感じとる。事件の真相は如何に?江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編歴史小説。第110回直木賞受賞作。
相模屋の店先で雪駄が一足盗まれた。上野山下の助五郎親分は、懸命に追い、下手人・仙八を挙げた。そこで相模屋出入りの岡っ引・半次は、穏便に赦免してもらおうと、親分に頼みこんだ。ところが、うまくいかない。単純に見えた事件は意外な展開をみせはじめ、やがて大きな謎が…。直木賞作家の傑作捕物帳。
相模屋の店先で雪駄が一足盗まれた。相模屋出入りの岡っ引・半次は、下手人・仙八を挙げた上野山下の助五郎親分に会い、引合を付けて抜いてもらおうとした。だが、単純に見えた事件は意外な展開をみせはじめ、やがて大きな謎が…。サスペンスあふれる新・捕物帳登場。
10代将軍・家治の日光東照宮参詣費用20万両を、いかに捻出するか。この難事を克服した田沼意次は、次第に逼迫する幕府財政を立て直すため、新しい“事業”に着手する。だが意次の前には、反対勢力の厚い壁が…。賄賂の卸問屋といわれた田沼意次像を打ち破り、財政再建に懸けた老中の“志”を描く経済小説。
巨額な借金と経営乗っとりの大ピンチを救った、野性あふれる参謀の戦略とは何か。その男・広瀬宰平は、住友の礎である別子銅山を守りぬくため、幕府を相手に一歩も引けをとらぬかけひきを展開する。内にむかっては膨大な金利支払いを解決するため、大胆な経営大制を敷く。危急存亡に対処した手腕を描く。
膨大な額にふくれあがった借金をすべて踏み倒す。この役目を誰にやらせるか?思案に暮れた島津重豪は、茶坊主の調所を大抜擢、駄目でもともとと大坂に派遣する。回天の事業はまさにこの時はじまったー。地位も財力もない身で瀕死の薩摩経済を再建、維新の胎動に挑戦した不屈の男の経営手腕を描く長編。
10代将軍・家治の晃東照宮参詣費用2千万両を、いかにして捻出するか-。この難しい仕事を見事やり遂げた田沼意次は、次第に逼迫する幕府財政を立て直すため、新しい“事業”に着手する。だが、意次の前には、反対勢力の厚い壁が…。賄賂の卸問屋=田沼意次像を打ち破り、熾烈な政治抗争のなかに意次の“志”を定着させた気鋭の力作長編。
幕末、泰平の夢やぶる黒船来航と同時に持ちあがった知られざる日米経済戦争。初めて体験する為替レートの複雑に苦慮する幕府の官吏。だが、その複雑さは真実複雑だったのか?その裏に力でゴリ押しする列強の圧力は、また謀略は、なかったか?幕府瓦解の真因に迫り、その真相をさぐる。新田次郎賞を受賞した話題の歴史経済長編小説。