著者 : 佐野洋子
1枚の美しい切手をめぐり、すれちがい、めぐりあう人間模様。ささやかでいとおしい一度きりの旅を、だれもが懸命に生きている。『100万回生きたねこ』の佐野洋子が贈る奇跡のラブストーリー。幻の名作、待望の新装復刊。大切な人へのプレゼントにも!
これは、メルヘン?ファンタジー?寓話?うさぎ・ゴリラ・ブタ・きつね・白熊・かば・蛙、そして人間も。ヘンないきものたちが七転八倒する六つの“ものがたり”。広瀬弦の斬新な挿絵もたっぷり。
何でもやってくれ。子供時代を充分子供として過ごしてくれたらそれでいいー。本を読んで、お話をして、とせがんだ幼い息子。好きな女の子が「何考えていたのかなあ」と想像する小学生の息子。中学生になり、父親を亡くした親友に接する息子…。著者は自らの子を不思議な生き物のように観察し、成長していく姿に驚きつつ慈しむ。没後発見された原稿を集めた、心あたたまる物語エッセイ。
自由を求めて喫茶店から飛び出した“椅子”と海が見たくて動物園を逃げ出したゴリラ。“ふたり”が長い道行ですれちがう恋する少年と少女、人格者のブランコ、若いヤクザ、演説する桜の木、そして真っ白なハンカチと死んだ猫ーこれは、美しくも悲しい恋物語(「もぞもぞしてよゴリラ」)。気取り屋の狐・インカ帝国を背負った亀・傷ついている鰐・主体性のない馬・熊らしい立派な熊・恋を知らない河馬・見栄っぱりの蛙・「キー」しか言わない豚ー動物たちが主役の皮肉でユーモラスな超短篇30篇(「ほんの豚ですが」)。知られざる二傑作を一冊で楽しめる大人のための物語集。
この本は、見事な“恋愛”小説集だ。フィクションとエッセイの間を行ったり来たりする不思議な作品ぞろい。これを“物語エッセイ”と名づけることにしよう。単行本には収録されなかった、強烈きわまりない“マチコさん”を主人公にした中篇「或る女」を加えた完全版。著者自身によるイラストレーションも多数収録。母と息子、母親と私、見栄っぱりの女友だち、離婚した美女、イタリアの女たらし、ニューヨークの日本人夫婦、舅姑を看取った逞しい中年女たち。自らの周りにいる愛すべき変人奇人がいっぱい。笑ってしんみり、でもなぜか元気が出る三十四篇。