小説むすび | 著者 : 公庄さつき

カリブ海の島でダイビングショップを営むリズ。店を開いて早１０年になるが、ある日従業員のジェリーが何者かに殺された。ジェリーはプレイボーイでリズも何度か口説かれたことがあり、以来距離を置いていたが…いったい誰に、なぜ殺されたの？しかも数日後、今度はリズまでもが犯人らしき男に襲われた。そこへ現れたのが、亡きジェリーの双子の兄で都会からやってきた、ジョナス。瓜二つの端整な顔立ちながら、ジェリーと違ってスーツの似合う厳めしい男だ。ジョナスは、犯人が見つかるまできみのそばにいると言い張りー。

サンディエゴの幼児虐待調査官ボウ・ブラドリーは、インディアン居留地で保護された少年を担当することになる。廃屋に置き去りにされた彼は、ボウの亡き妹と同じように口をきくことができなかった。担当する子供に過剰な思い入れをしてはならないと自らを戒めながらも、少年の命が危ないと囁く妹の声が聞こえるような気がしてならない。はたしてこれは、躁病に悩む彼女の妄想にすぎないのだろうか。そんなボウのもとに入院中の少年が命を狙われたという連絡がはいる。そしてまたボウ自身にも脅迫が…。