著者 : 内山安雄
浮気がバレて離婚寸前。さらにはリストラ目前。48歳・岸田は妻や娘との絆を断ち切られ、やむなく青春時代をすごした渋谷へ。ネットカフェ難民になりながらも、謎を秘めた“女子”香織との出会いによって、家族や仕事のこんがらかった糸を解きほぐしていく。だが、香織を追いつめる怪しい影が…。“女子力”は人を救うことができる!?崖っぷちサラリーマン、完全秘密主義の“女子”、ひと夏かぎりの父娘になる。
フィリピンでは、現地語が満足にできない日系ハーフは生きていくのが難しい。「太郎よ、大和魂だ。我々の祖国、日本へ行き相撲で名を上げよ」フィリピン人の母、日本人の父(無一文)を持つ旭山太郎は、父にそう命じられた。「慣れていくしかないんだ」しごき、ライバルとのいさかいに揉まれながら、十五歳の太郎少年は出世を目指す-。
皆でもてあそんだ挙げ句、死んでしまった女は莫大な金を着服していた。女は埋めろ!金は探せ!どこにでもある商店街のどこにでもいるオヤジたちが、本性をむきだして大捜索を開始した。人間なんてこんなもの-痛快な大エンターテインメント誕生。
作家である私は、灼熱のマニラで若いフィリピン人女性に一目惚れをしてしまった。気がつくと、アリスというその娘を、私は、年甲斐もなく夢中で口説き倒していた。月日が経つにつれ、アリスと私は、もはや離れられなくなっていった。やがて、年の半分をフィリピンで過ごす生活がはじまり、私は、アリスに薬局を買い与えた。だが、そこから少しずつ、何かが狂い始めていった。店の経営は行き詰まり、強盗に襲われ、アリスの嘘が次々と発覚していって…。著者の実体験に基づく傑作長篇。
どこにでもいるサラリーマンの長流弦也はトラブルにどっぷり首までつかっていた。浮気相手のフィリピーナが妊娠し、情夫のヤクザに恐喝される。別居中の妻は離婚を迫り、養育費をせっつく。そこで会社のカネに手をつけるが、あえなく発覚。会社側は“専横放埓なマニラ事務所長の天道を解任に持ち込め。さもなくば懲戒解雇だ”と長流を追いつめる。選択の余地なし、タイムリミットまでわずか12日間の秘密任務-。いんちき、ぺてん何でもあり。権力を巡る禁じ手なしのバトルロイヤルによれよれになりながらも、組織に寄り添ってしか生きられない人間を襲う災厄の数々。カネも女もケタはずれ、正義も真実もない異国での捜査行は長流をさらなる泥沼に引きずり込む。
バブル経済の崩壊で日本を逃げたひとりの男。彼はマニラのスラムにフィリピン女性と隠れ住む。しかし、望郷の念はつのり、別人になりすまして日本に戻る。日本で小さな旅行代理店を経営する彼のもとには、アジアの様々な国の人間が集まってくる。したたかな彼らに振り回される。二つの国際都市を舞台に、ハードボイルド、ユーモア取り混ぜ、アクションが炸裂する。
それは、フィリピンのリゾート地開発に日系企業が関わったことを発端とする、日本人少年誘拐事件だった。マスコミが取りあげ、現地の警察が動き、軍隊まで出動する仰々しさの陰で、少年はテログループに自由を奪われ、樹海のなかをあてどなく歩き続けた。再三の脱出行、そのつど味わう挫折と恐怖。哀しくそして熱い-。冒険小説大作1500枚。誘拐サスペンス。
政情不穩の北京で、国際便利屋を自称する現地駐在員岩間一郎と中国青年たちとの危ない交際、そして美少女季里との恋。だが、なぜか彼の周辺にはいつも公安の目が…。話題作『ナンミン・ロード』で注目された著者が、5年の歳月をかけて世に問う700枚の野心作。