講演先で殺人容疑扱いを受けたが、釈放の条件は、なんと街への緑化協力という不可解なものだった。ミステリィ調現代のユートピア小説。
ほろにがい現実、喜びの底にひそむ虚しさ、人を信じ、愛したいがゆえに避けえない小さな軋轢…。日常の“あなた”の心を、温かい筆致で描く。
狂気と正気の交叉する幻想的な表題作「蟹の町」をはじめ、デビュー作「雪洞にて」など四篇を収録。内海文学の原点ともいえる作品集。
思い出のなかの遠い哀しみがいとおしい。日々出会う密やかな喜びがいとおしい。さりげない日常にふときらめく、生きる証にも似た瞬間を、あたたかく描く感動の21篇。