著者 : 内田昌之
2020年。パンデミックのさなか、会社を解雇されたジェイミー。たまたま再会した昔の知りあいの紹介で「大型動物」の権利を守る組織とやらに雇われて、急遽、「現場」に向かうことに。だが、ジェイミーが連れていかれた先は、なんと並行世界の地球「怪獣惑星」だった!保護する動物とは、体長150メートルの「怪獣」!?驚きながらもジェイミーは、「怪獣保護協会」の一員として、巨大怪獣の生態を研究し、ある事情から絶滅の危機に瀕しているという彼らを保護する任務にとりかかる。だが、組織への資金提供者として地球からやってきた億万長者が怪獣を悪用しようとしたため、怪獣惑星と地球に危険が迫る…!“老人と宇宙”シリーズで知られるアメリカSF界の第一人者スコルジーがあふれんばかりの怪獣映画愛を注ぎこんだ傑作怪獣SF。
数千年前に魔法使いとの戦いに敗れた巨竜グリオール。彼の全長1マイルにおよぶ巨体は、草木と土におおわれ川が流れ、その上には村までもができていた。周囲に住むひとびとは、時が経ち観光地化した彼の恩恵を受けているが、その一方で巨竜の邪悪な霊気に操られているとも言われているー。グリオールの鱗を触っていた男と娼婦がタイムスリップする表題作、死した巨竜の頭蓋骨がひとびとを翻弄し運命を狂わせてゆく傑作奇想譚「スカル」の初邦訳2篇を収録。
火星の都市で行われた瞬間移動技術の人体実験は成功と思われたが、被験者となった科学者の身辺で奇妙な事件が多発する。一方、火星の荒野で発見された12000年前の巨石遺跡を、太陽系各地に足跡を残す古代文明の実在証拠と考える地球からの考古学遠征隊には、大きな危機が迫る。ふたつの謎を巡り、紛争調停人キーランは調査に乗り出す。『星を継ぐもの』の巨匠、円熟期の傑作!
相互依存する国家および商業ギルドの神聖帝国、すなわち“インターディペンデンシー”は、異時空内の流れ“フロー”を用いた超光速航行で成立する星間帝国だ。だが、47星系を結ぶ礎である、そのフローが崩壊しつつあった…。父皇帝の死後、カーデニアは惑星ハブで若くして皇位を継ぐ。破滅の迫る帝国で、彼女は権謀術数渦巻く権力争いにのみこまれていくがー“老人と宇宙”著者によるスペースオペラ新シリーズ開幕!
銀河連邦の新任少尉ダールは、憧れの宇宙艦隊の旗艦に配属された。しかし、彼と新人仲間は奇妙なことに気づく。やたらと高い任務でのクルーの死亡率、絶対に死なない艦長上級士官、困ったときに出てくる謎の箱…。自分たちの命を操る何者かが存在するのではないか?謎を解こうとするダールたちの前にあらわれた真実とは。アメリカSF界屈指の人気作家スコルジーが初のヒューゴー賞長篇部門とローカス賞を受賞した宇宙冒険SF。
元プログラマの操縦士レイフは、気がつくと脳だけの姿で宇宙船につながれ、コロニー連合への兵器にされていた。レイフはその元凶の謎の組織“均衡”に、決死の反撃を試みるが…。そのころエイリアンとの外交任務中のコロニー防衛軍のハリーは、“均衡”の攻撃を受けた地球の宇宙船を救助していた。連合と地球、エイリアン間に争乱を引き起こす“均衡”の目的とは?大人気ミリタリーSF“老人と宇宙”シリーズ第6弾。
意識はあるのに体をまるで動かせない「ロックイン」状態を引き起こすパンデミックが発生した後の世界。ヘイデンと呼ばれる患者たちは、アメリカ国内で400万人以上にのぼる。だが疫病の最初の発生から20数年後の現在、ヘイデンは脳にニューラルネットワークを埋め込み、ロボティクス技術と専用オンライン空間の利用で通常の生活を送れるようになっている。そのひとりシェインは、ロボット「スリーブ」を操る新人FBI捜査官。先輩捜査官とともに、ヘイデンがかかわる殺人事件の捜査にあたるのだが…。アメリカSF界屈指の人気作家スコルジーが贈る、近未来SFサスペンス。
恐るべき破壊力を秘めたパワードスーツを着用して、目的の惑星へと宇宙空間から降下、奇襲攻撃をかける機動歩兵。地球連邦軍に志願したジョニーが配属されたのは、この宇宙最強の部隊だった。肉体的にも精神的にも過酷な訓練や異星人との戦いの日々を通して、ジョニーは第一級の兵士へと成長していくが…。ミリタリーSFの原点ここに。映画・アニメ界にも多大な影響をもたらした、巨匠ハインラインのヒューゴー賞受賞作。
水星で暮らすぼくとママのところに、クローンの姉が月からやってきた。太陽が膨大な光をもたらすこの“逆行の夏”に姉と水銀洞へ出かけたぼくは、今まで隠されていた家族の真実を知る。ほろ苦くも美しいボーイ・ミーツ・ガールを描いた表題作、目も耳も不自由な人々のユートピアを提示してあまたの賞に輝いた「残像」など、怜悧で官能的なヴィジョンがあふれる6篇を収録。ヴァーリイの粋を結集したベスト・オブ・ベスト。
銀河連邦の新任少尉ダールは、憧れの宇宙艦隊の旗艦イントレピッド号に配属される。未知なる宇宙への冒険の旅のはじまりだ。しかし、彼と新人仲間はすぐに艦で奇妙なことが起きていると気づく。任務でのクルーの死亡率が異常に高いのに、艦長たち上級士官はまるで死なず、緊急時には謎の装置に頼って問題を解決しているのだ。この世界では何が起こっているのか?自分たちの命がなにものかに操られていると疑い、イントレピッド号の謎を解こうとするダールたちは、やがてとんでもない真実と直面することになる…。アメリカSF界屈指の人気作家による、宇宙冒険ユーモアSF。
コロニー連合は、兵士と植民者の供給を頼っていた地球に関係を断たれた。このままでは防御を失った人類の惑星は、技術力に欠ける地球も含めて、30年で絶滅するーそのころ、コロニー防衛軍のハリー・ウィルスンは、外交団の一員として、ろくでもない任務に追われていた。しかし、その奮闘により、連合と地球との関係に希望が見えてきたとき、謎の敵が攻撃を仕掛けてくる…。陰謀渦巻くシリーズ第5弾!
遙かな未来、人類は辺境の惑星アリエカに居留地“エンバシータウン”を建設し、謎めいた先住種族と共存していた。アリエカ人は、口に相当する二つの器官から同時に発話するという特殊な言語構造を持っている。そのため人類は、彼らと意思疎通できる能力を備えた“大使”をクローン生成し外交を行っていた。だが、平穏だったアリエカ社会は、ある日を境に大きな変化に見舞われる。新任大使エズ/ラーが赴任、異端の力を持つエズ/ラーの言葉は、あたかも麻薬のようにアリエカ人の間に浸透し、この星を動乱の渦に巻き込んでいった…。現代SFの旗手が描く新世代の異星SF。ローカス賞SF長篇部門受賞。
少年は、14歳の誕生日のあと間もなく、農場を出て街をめざす自分を、毎夜夢に見るようになった。だが、彼の行動はある強固な意志によって制御されていた…。現代SFのトップランナー、イーガンによる本邦初訳の表題作。スタージョン記念賞を受賞したマルセクの究極のVRSF「ウェディング・アルバム」ほか、ブリン、マクドナルド、ソウヤー、ストロスら現代SFの中心作家が、変容した人類の姿を描いた全12篇を収録。
波瀾にみちた幼年時代を送った少女ゾーイは、コロニー防衛軍を退役したジョンとゴースト部隊出身のジェーンの養女となり、植民惑星ハックルベリーで幸せな日々を送っていた。やがて両親とともに新たな植民惑星をめざすが、宇宙船は目的の星に到着しなかった。しかも、ゾーイたちは思いもよらない陰謀にまきこまれていく…『最後の星戦』をゾーイの視点から描き、その知られざる冒険の旅を明らかにするシリーズ第四弾。
コロニー防衛軍を退役したジョン・ペリーは、植民惑星のハックルベリーで、ゴースト部隊出身の妻ジェーンと養女ゾーイとともに平穏な日々を送っていた。だが、ある日、思いもよらない要請を受ける。かつての上司リビッキー将軍から新たな植民惑星ロアノークを率いる行政官になってくれと頼まれたのだ。やがて、ジョンは新たな戦いに巻きこまれていくが…『老人と宇宙』のジョンがふたたび大活躍するシリーズ、第三弾。
ジョン・ペリーは75歳の誕生日にいまは亡き妻の墓参りをしてから軍隊に入った。しかも、地球には二度と戻れないという条件で、75歳以上の男女の入隊しか認めないコロニー防衛軍に。銀河の各惑星に植民をはじめた人類を守るためにコロニー防衛軍は、姿形も考え方も全く異質なエイリアンたちと熾烈な戦争を続けている。老人ばかりを入隊させる防衛軍でのジョンの波瀾万丈の冒険を描いた『宇宙の戦士』の21世紀版登場!2006年ジョン・W・キャンベル賞受賞作。
物語は2008年のアメリカ。世界有数のバイオテクノロジー会社とFBIの女性長官は〈良心〉というプロジェクトで、男性のみが有する犯罪誘発遺伝子を破壊するため、特殊なウイルスを開発しようとする。それにより、暴力犯罪を劇的に減少させようというのだ。しかしFBI特別捜査官デッカーは、そのプロジェクトの被験者を密かにDNA鑑定し、遺伝子が異様な形で改変されていることを知る。やがて、ウイルスに感染した男性たちが次々と変死していく。事件の裏では「クライム・ゼロ」という恐るべきシナリオが進行していたのだ。悪は根絶されるべきなのか?ヒトゲノムがもたらすユートピアの悪夢を描いた傑作冒険ミステリー。
1999年のクリスマス、イスラエルに流星が降り、軍の秘密のバイオテクノロジー研究所が一瞬で破壊される。さらに2000年が到来した瞬間には、聖地エルサレムが大地震に見舞われる。そうした混乱のなかから、不思議な能力を持つ一人の美しい娘ジーザが現れ、次々と奇跡を起こしていく。人々は彼女こそ救世主だと讃えるが、一方で、彼女は破壊された研究所の実験体ではないかという疑念が浮かび上がる。果たしてジーザは神の遣わした真の救世主なのか?それともバイオテクノロジーの怪物なのか。
ニューヨーク郊外の大邸宅が何者かによって破壊された。ポールは叔母ヴィヴィアンからその修復を依頼される。瓦礫の山と化した邸宅を目のあたりにして、ポールは封印された過去の記憶を辿り始める。その頃、ルイスボロ分署のモーガン・フォード刑事は相次ぐ若者たちの失踪事件と、破壊された大邸宅とのつながりに気づき始めていた。精神の暗闇から生み出される超人的な力を描くモダン・ホラーの傑作。