著者 : 内田春菊
鬼母降臨ーー。 あの衝撃のベストセラー「ファザーファッカー」。 義父に犯される少女の視点から描かれた、筆者の自伝的作品から25年、 同じテーマを、今度は娘を自分の男の魔手にゆだねる母親の視点から描く。 昭和10年、九州のとある町で生まれた主人公・逸子は、ダンスホールで知り合った男と、得意なダンスで生きるべく、長崎に出る。 ところが、過酷な現実生活に追われ、2人の娘を得るも、 早々に男との結婚生活は破綻。ホステスとして働いていた キャバレーで知り合った新しい男との同棲生活に入るが、 あらたな生活にふたたび過酷な試練が襲う。 長女・静子の成長とともに、男の視線と関心は逸子から離れていく。 異常な熱意を静子に寄せる男への愛情なのか嫉妬なのか、 逸子は娘を男の毒牙にゆだねてしまう。 ーー母はなぜあんなことをしたのか。 そのときの母の年をはるかに越え、自身が母となったからこそ、 みえてくるものとは。 内田春菊が描く、自身の生をとらえなおす凄絶かつ渾身の一作!
私は、よく娼婦の顔をしていると言われる。 今までに、ホステスを含めた何種類かの職業を経験したという話をすると、「もしかしてあれも?」と売春をほのめかした聞き方をよくされるのだ。十六歳で家出して、野宿から始めた生活ではあったが、ぜったいに売春だけはしなかったのに。 ところが、私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった……。 養父との関係に苦しむ多感で早熟な少女の怒りと哀しみと性を淡々と綴り、読む者の心を揺さぶった自伝的小説。 衝撃の出版から25年、著者が凄絶な過去を公表し、生身をさらして生きることで、性的虐待の後遺症に苦しむ女性たちに「私も……」と精神科医を受診する勇気を与えたという。 解説は、当時「被害当事者側から書かれた貴重な作品」と評価した精神科医の斎藤学氏。 25年後のあとがきがついた、完全版で登場!
劇団「風呂上り」主宰、苫米地輝は、公演『戦場の面食いホリデー・怒涛の墓参り編』の脚本を数枚書いたまま消えた。残された劇団員、夕暮銀子の凶暴さが牙を剥く。何も知らない二人のゲスト(漫画家・日取河、小説家・満場雪太)のうち、餌食はどっち?体だけの関係の振りをしていた河の相手、安藤三津実もついに立ち上がる!内田春菊初の、ハッピーエンド恋愛長編。
大王様、どうぞ永遠にそのままでいらして。わたくしども女こどもは、別の国へ旅立ちますー私の人生を、あんたなんかの思い通りにされてたまるもんか。歪んだ王国の最期を描く、バイアス長編ファンタジー小説。
花屋で働く年下のボーイフレンド、あるおは、逢うたびに同じことを話す。彼はものを憶えられない「病気」だった。あたしは、あるおに抱かれながら、たとえ彼が意識の上で完全にあたしを忘れてしまう日が来ても、それでいいと思うー。性愛を通して人の存在のもろさと確かさを描いた「あたしのこと憶えてる?」、ゼリーにからだをもてあそばれる「ときどき軽い」など、大胆で繊細な九篇。
自儘な性暴力を続ける義父と、見て見ぬふりをする実母に訣別し、16歳で家を出た主人公・静子の凄絶な青春時代。逃避行、東京への出奔、セックス、中絶、旅館の住み込みからスナックのホステスとなり、マンガ家や歌手への夢を抱いて再び上京、レーサー崩れの男との結婚・破局まで、激流のような、辛苦と希望が交錯する日々。
果てしなく求め、無限に連なる快楽のひだに身をまかせながら駆け抜ける、男と女のセクシュアルな関係を妖しく揺れうごく心理とともに描きだす。過激に、大胆に、繊細に、そして軽やかにとらえた様ざまな恋愛のすがた。九編を収録。
十五歳のとき、私は娼婦だった。売春宿のおかみさんは私の実の母であり、ただ独りのお客は彼女の情夫で、私の育ての父だった……。自由を求めて旅立つ多感な少女を描くベストセラー。