著者 : 内田能嗣
サイラス・マーナーサイラス・マーナー
批評家ウォルター・アレンが「英語で書かれた作品の中では、他を寄せつけないほど完全な散文物語であり、小さな奇蹟的作品である」と絶賛した『サイラス・マーナー』(1869年)。新しい家族のかたちをも示す心温まるこの物語と対照的に、「創世記」に想を得た長詩「ジューバルの伝説」(1870年)では、生における明と暗、不条理が祝祭的に謳いあげられる。
ロモラロモラ
英国ヴィクトリア朝文学を代表し、英文学史に大きな足跡を残した ジョージ・エリオットことマリアン・エヴァンズ(1819 - 1880)の 長編作品『ロモラ』Romola を新訳で・・・。 花の都フィレンツェ、結婚というくびき。 学者の娘ロモラは、目の見えない父の研究を手伝う日々。そこに現れた、 若く、美しく、才覚のある青年ティート。やがて恋に落ち、結婚する二人。 けれど次第に明らかになるティートの秘められた過去と本性……。 1492 年4 月9 日のロレンツォ・デ・メディチの死の当日から、 1498 年のサヴォナローラの火刑とその死までという、 イタリア・フィレンツェの激動の史実に取材した渾身の一作。 メディチ家の面々やマキャヴェッリなど、実在の人物も多数登場! 緻密に取材した歴史物語に織り込まれているのは、親子、夫婦、 宗教といったさまざまな「くびき」と、そのなかで生きる一人の女性の 姿である。 小説家ヘンリー・ジェイムズは『ロモラ』を、エリオットの「最高作」と 断じた。また一九世紀の思想家トマス・カーライルや詩人ロバート・ ブラウニングを始めとする多くのイギリスの文人たちも、 『ロモラ』刊行当初、これに極めて高い評価を与えている。
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