著者 : 冬川亘
太陽系のみならず近傍星系までもイスラム教勢力によって支配されている近未来ー。火星首長国では三十年ぶりに、首長の頭部を切断し、若いクローンの体に接合させる〈打首の儀式〉が行われようとしていた。クローニング技術者ハミード・ジョーンズは、証人としてこの儀式に参列した。ところが手術の最中に、客席にまぎれこんでいた過激派が銃を乱射。ハミード・ジョーンズの目のまえで、首長の頭部は鮮血に染まった。
瀕死の重傷をおった首長を見かぎり、太政大臣と宦官長官はクローンを用いて偽首長の擁立をはかった。偶然この秘密を知ったハミード・ジョーンズは大臣や長官、はては過激派から命を狙われる。そのうえ、砂漠に潜む王位僣称者アル・シャルク、イスラムの盟主を目指すアルファ・ケンタウリの帝王も、ハミード・ジョーンズの持つ情報を得ようと躍起になっていた…。気鋭の作者が壮大なスケールで描く奇想天外なイスラム宇宙。
全身の筋肉を硬直させて死に至らしめる恐るべき神経ガス〈マネキン〉-ドレグラー化学興業は新開発のこの化学兵器をネバダの工場から西海岸まで列車輸送することにした。イラク政府との密約に基づく計画だった。だが、それを察知したイラン人テロリストが列車に爆弾を仕掛ける。やがて爆発によって噴出したガスは、列車の乗員を、沿線の住民を次々と襲った。暴走する死の列車を阻むすべはあるのか?力作パニック・サスペンス。
フロリダ上空を飛行中の米軍機が国籍不明機に襲われ、積荷の原爆4発が奪われた!折りしもケープ・カナベラルのケネディ宇宙センターでは、スペースシャトルの打ちあげが間近に迫っている。当日は全世界から元首や首脳4千人が招かれていた。テロを警戒するNASAの保安主任ハドフは、犯人グループの解明に全力を傾ける。そこで捜査線上に浮上したのは、宇宙センター近くの飛行場で旧式軍用機を駆り、航空ショウを展開する一団。ハドフは一匹狼のパイロット、バーノンに彼らの調査を命ずるが…。鬼才が豊富な体験を基に放つ航空サスペンス。