著者 : 出光宏
海狼の巣海狼の巣
1945年4月30日、ヒトラーは自殺し、ナチス・ドイツは崩壊。数日後、デーニッツの命を受けて一隻のUボートがひそかにブレーマハーフェンを出ていく。謎の男と積荷を載せて。1990年夏、クレタ海。嵐がすぎた海をただよっている小舟に、漁師の死体があった。その手が握っていたのは騎士十字勲章。死体の陰に隠れていたのは、見まがいようもなく、金塊。3ヵ月後のエーゲ海。トルコ領の離れ小島の重罪犯監獄で、元イギリス海兵隊コマンド隊員マイケル・ローガンが呻吟している。麻薬組織の罠にかかり、20年の長期刑をくらったのだ。その日は重労働の屋外作業。突然、沖合から高速艇が突進してきて、ウェット・スーツの男がさけんだ。“早くこい、ローガン。ハリーだ!”男は昔の密輸仲間のハリー・ドナバンだった。行方不明のUボートをさがしている、金塊を積んでいるはずだ、宝さがしに手を貸せ、と言う。
ジャスティス艦長物語(2)ジャスティス艦長物語(2)
この小説の設定と状況は事実に基づいている。アイルランドとケント州に対するナポレオンの同時進攻計画は、“その手紙が粉失したか盗まれたとわかるまでは”進行していたが、わかったとたんに放棄されたという。正体不明のジャスティス艦長そっくりの人物が、見事に任務を果たしたのである。
ジャスティス艦長物語(1)ジャスティス艦長物語(1)
1801年ナポレオン戦争当時ドーバー海峡で沿岸防備の任についていたのはネルソンだったが、4年の今、戦隊を指揮してフランス海岸に果敢な攻撃をくわえているのは、病気で帰国したジョン・ジャービスの後をついで地中海艦隊司令長官になったキース提督だった。しかし、渡峡船は港の奥深くにあり、目に見える成果はあがっていない。このような状況下で、この海洋スパイ小説は始まる。
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