著者 : 前川裕
小4男児が自宅を出たまま姿を消した。時効目前の15年後、子供の骨を持ち運んでいた元ホステスの女が殺人容疑で逮捕される。女は苛烈な取り調べにも、法廷での被告人質問にも沈黙を貫き、判決は無罪。-やがて別の失踪事件との間に奇妙な共通点が浮上する。実在の未解明事件をベースに、あの福田和子にも擬された「沈黙の魔性」の“真実”を描き出す!
大学教授兼実録小説家の稲本浩三は、未解決の中里信治・美絵夫婦失踪事件を題材にした作品の取材を進めていた。事件の経過と残された謎を追う中、稲本は美絵がマルチ商法に関係していたことを知り、驚く。彼もまた類似のビジネスの罠に嵌まった苦い過去を有していたのだ…。奇しくも勤務先の学内では悪質なネットワークビジネスが問題視されている。この符合ははたして偶然なのか?言い知れぬ不安が日常を浸し始めた時、かつて稲本を騙した女の訃報が届く…。大学内に張り巡らされたネットワークビジネスの罠。被害者の学生に寄り添う男もいつしか底なしの闇に足を浸していた…。ひたひたと恐怖がにじり寄る圧巻のクライム・フィクション!
伸び盛りの進学校・綾西学園に教職を得た元予備校教師の三隅忠志。しかし、嗄れ声で背後から近づく義眼の校務員に心機一転の気分は一気に吹き飛ばされる。体育系教師が幅を利かせた前時代的校則に縛られる学園に飛び交う暗い噂。そして、孤立した女子高生・中浜琴音が学校の片隅にある「呪われた場所」で死亡する。複雑怪奇で“ビザール”なその真相とは?
十三年前の夏、小学四年生の百合は男に誘拐され、五年もの間、監禁された。今は男装クラブで働き、必死に自活する彼女の身辺で、犯人の仮釈放と同時に奇怪な出来事が続く。無言電話、姿なき足音、首を切られたテディベア。そして、ルームメイトが次々に失踪したー『クリーピー』著者の不気味な新境地!
東京荻窪の閑静な住宅街で、新婚夫婦が惨殺された。凶器は手斧。意味不明の遺留品が残され、血まみれの若妻は、結婚式場のパンフレットを口中に押し込まれていた。かつて吉祥寺で起きた類似事件と関係があるのか。謎めいた密告、捜査幹部と被害者の秘められた関係。捜査は泥沼化し、またも新婚夫婦が手斧で殺される…。苛酷な真相と重い衝撃が胸を抉る傑作ミステリー。
世間を騒がす児童行方不明事件に、ある大学教授が偶然関わることとなった。場外馬券売り場でいつも見かける男が容疑者に浮上したが、週刊誌の記者に報道とは異なる事実を伝えたからだ。予期せぬ殺意が近付きつつあることも知らず…。(「しりょうのふね」)元新聞記者が未解決事件の真相を小説の形式で追及。見出された光景にあなたは戦慄する。異常と陰惨に満ちた短編集。
日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作家によるアンソロジー第二弾!海野碧、両角長彦、石川渓月、川中大樹、前川裕の五名が「街」をテーマに競作。旧型ポストがある田舎の街から基地のある街、さらには新宿ゴールデン街までーその場所ならではの五つの「謎」。個性豊かな著者たちによる、バラエティーあふれる短編傑作集!
教師夫婦が謎の失踪を遂げた「川口事件」。ジャーナリストの杉山康平は、事件の翌年、容疑者の無罪が確定したことに疑いを抱き、取材を始める。辣腕弁護士の妨害に悩まされながら証言を集める杉山だったが、関係者の多くが、重要な部分で口を閉ざしてしまう。一体彼らは、誰を恐れ、何を隠しているのか?狡猾に隠蔽された真犯人の貌に肉薄する、執念のフェイク・ドキュメント。
犯罪心理学教授である高倉孝一が対峙する奇妙な「隣人」たち。大型客船での旅路で出会った夫妻、大学講師や学生、音楽家…。日常に紛れ込んだ底知れぬ悪意が生み出す犯罪を、高倉は解き明かすことができるか!?彼が遭遇した過去の事件も収録。身の毛もよだつ五つの恐怖と衝撃があなたを襲うミステリー短編集。映画も大反響を呼んだ「クリーピー」の世界が深化する!
「奥様、ご在宅でしょうか?」妻の葬儀のあった夜、見知らぬ女が訪ねてきた。その日を境に、大学教授の私の身の回りで不穏な事件がたて続く。巻き込まれた大学総長選で怪文書が飛び出し、近所のゴミ集積場では変死体が発見されたのだ。総長選で暗躍する同僚、専任講師の美しい義妹、近所に目を光らす隣人。違和感のある知人たちの行動は奇妙につながり、不気味な出来事が私に降りかかるー。悪夢へと誘う、戦慄のサスペンス。
十人の男女を殺害し、六人の女と共に集団自殺を遂げた木裏健三。彼は老舗旅館に取り入ったのち売春宿に変貌させ、一家のみならず無数の人間を絶望に陥れた。過去に大学の助教授でもあった者が、非道な行為に及ぶ過程には何があったのか!?センセーショナルな「木裏事件」の全貌と共に、謎に満ちた男の内奥に綿密な取材で迫る、圧巻のフェイク・ドキュメンタリー!
鉄壁の防御と貧弱なパンチで「凡戦の帝王」と呼ばれた元プロボクサー。落魄した往年の人気俳優のマネージャー。二人の軌道が交差した時、その足元で暗黒の底が抜けた。ラーメン屋主人夫婦の不自然な失踪、床下からドラム缶から次々に見つかる死体、美少女を取り巻く得体の知れない男たち、迫る捜査。世界は二転三転、酷薄な様相を顕にする。衝撃の長編ノワール・ミステリー。
私立大学で教授を務める私が、病死した妻の葬儀を終えて帰宅した夜の10時過ぎ、自宅のインターホンが鳴った。「奥様、ご在宅でしょうか?」。インターホンのディスプレイに映る女性の姿に見覚えはなく、私が外に出たときには、女の姿は消えていた。あの女は誰だったのか。そんな思いに囚われながら、私は大学の総長選挙に深く関わっていく。やがて近所のゴミ集積場で身元不明の死体が発見され、私の身の回りで起こる不審な出来事と、混沌とした選挙戦のつながりまで見えてきてー。不気味すぎる近隣トラブルが大学総長選挙の闇へとつながる戦慄のサスペンス。
予備校講師にしてミステリー作家の矢崎には、同じく作家を志す兄がいたが、ある日忽然と姿を消してしまう。折しも世間では二組の夫婦の失踪事件が注目を集めていた。犯人の手がかりとして不審人物が残した声が公開されたが、それは矢崎の兄のものだった!事件の裏で蠢く偽刑事の影。すべての謎が一つに収束するとき人間の歪んだ本性が明らかとなる、サスペンス長編!
琉北大学の職員・島本龍也は、学生の御園百合菜から指導教授のセクハラの相談を受けた。だが百合菜は、大学内の女子トイレで惨殺死体となって発見される。しかも事件は、獣のような金切り声を現場に残す女子学生連続殺人へと発展していった。かつて猟奇殺人事件を解決した琉北大学教授の高倉孝一もまた、事件の渦中に巻き込まれていく。日常に潜む闇の恐怖が忍び寄る!
金沢の高級旅館で発生した絞殺事件。被害者は都内大手企業の女性課長、所持品は泉鏡花記念館のパンフレットだった。一方東京で殺された高級デリヘル嬢も有名企業の社員ばかり。奇妙なことに、なぜか犯人はいずれの事件でも死後硬直した遺体のそばに、長時間居座っていた。犯人像を絞れぬまま、捜査本部は女性警察官をデリヘル嬢に扮装させ、囮捜査を決行するが…。男と女の魔境を抉るミステリー。
大学の非常勤講師でありジャーナリストの田島は、生活保護も受けずに餓死した母娘の事件を調べていた。ある日、浄水器の悪質な訪問販売に居座られている隣人の姉妹を助け、その姉妹を通して刑事の緑川と知り合う。緑川から、いくつかの強盗殺人事件に悪質訪問販売が関わっていることを聞いた田島は謎を追うが、やがて自らも奇怪な事件の渦中に巻き込まれていく!
なぜ男は、10人を殺害し、6人の女とともに集団自殺を遂げたのか。なぜ女は、ただひとり、生き残ったのか。30年を経て、なお多くの謎に包まれたままの「木裏事件」。命を落とした者は20人に迫り、信用に足る証言は少ない。事件に関連して叔父を亡くしたジャーナリストは、渦中にいながら今もなお生きながらえているひとりの女性の行方を突き止める。彼女の口から語られた、事件の意外な真相とはー。稀代の惨劇の1年にわたる経過を追い、謎多き犯人の実像に迫る、圧巻のフェイク・ドキュメンタリー。
東京吉祥寺に住む若夫婦が営みの最中に手斧で惨殺された。犯人は逮捕され服役したが、18年後、今度は荻窪で新婚夫婦手斧殺人が発生。血まみれの若妻は、高級ブライダルサロンのパンフレットを犬のように咥えていた。ストーカーの影、二転三転する犯人像、秘密裏にもたらされる捜査幹部と被害者の隠れたつながり。エリート管理官と現場刑事の軋轢が高まる中、またしても新婚夫婦が手斧で殺される…。疑心暗鬼の迷宮の果て、ついに真犯人が姿を現した!苛酷な結末が圧巻の警察小説!