小説むすび | 著者 : 北園えりか

著者 : 北園えりか

ローズガーデンの贈り物ローズガーデンの贈り物

庭に薔薇の花が咲き乱れるこの屋敷で、 一緒に赤ちゃんを育てられたら……。 エミリアは奇跡のような妊娠を果たしたーー 不治の病で逝った夫が体外受精専門クリニックに遺した精子を使って。 ところが、ある日、出向いたクリニックで取り違えの事実を告げられる。 おなかにいる子の父親が亡夫ではなく、知人の大富豪サムだなんて! 独りで不安な彼女は、田園地方にあるサムの屋敷にたどり着いた。 クリニックの院長からともに説明を受けたあと、 “困ったことがあったら、いつでも来ていい”と言ってくれていたから。 優しい出迎えといたわりの言葉に、エミリアの気持ちは激しく揺れた。 ハンサムで精悍なサムに強く抱きしめてほしいけれど、 赤ちゃんと私に対して何の義務もない彼に迷惑はかけられないわ……。 いかにもイギリス作家らしい繊細な物語を紡ぐC・アンダーソンの新作をお届けします。身重のエミリアは、やむなくサムの屋敷で暮らし始めますが、けなげにも仕事と住む家を探そうと努めます。そんな彼女を見かねたサムは庭の手入れをしてほしいと申し出て……。

愛の忘れ形見愛の忘れ形見

私はただの繭。赤ちゃんを産んだら、 からっぽになって去るだけ……。 天涯孤独のアリナのお腹には今、小さな命がすくすく育っている。 でも、その子と彼女に血のつながりはない。 度重なる流産の末とうとう子宝に恵まれなかった友人夫妻のために 代理母を買って出たのだが、不幸な事故で夫妻はこの世を去ったのだ。 悲しみのなか、アリナは亡き友の兄で大富豪のイーサンを訪ね、 お腹の子の保護者になってほしいと頼む。 赤ちゃんには、本当の親族に愛され幸せになってもらいたいから……。 だが、イーサンの答えはアリナの予想をはるかに超えていたーー この代理母契約のことを知る者が他にいないとわかるや、彼は言った! 「だったら、この子供は僕ら二人の子供にしよう」 イーサンが提案しているのは便宜上の結婚。そこに愛はなく、永遠に続くわけでもない。けれども、一緒に過ごすうちにどんどん彼に惹かれていく自分を止めることができなくて、アリナはその切ない愛に苦悩して……。孤独に生きてきたシンデレラヒロインの物語!

クララの秘密クララの秘密

わたしは都合のいい妻、愛されない妻。 そのうえ望まれぬ子を身ごもったら……。 仕事に夢中な大富豪ジェイコブとの結婚に嫌気がさしたクララは、 都合のいい妻でいるのがつらくて、身の回り品だけを手に家を出た。 その後、新たな命を授かっていることに気づいたが、 子供は欲しくないと明言していた彼に知らせるつもりはなかった。 愛されないならいっそ別れたいと再三訴えるクララに対し、 彼はつねに弁護士を通じて、離婚には応じないと伝えてきた。 だが5年後、イベント業を営むクララのもとにジェイコブが現れ、 余命わずかな父のために家族パーティを企画してほしいと頼んでくる。 密かに産んだ娘の存在、いまだくすぶる彼への愛は、知られたくない! 悩み苦しむ妻に、夫は言った。「引き受けてくれるなら、離婚に応じる」 夫を愛しているからこそ、いびつな関係に耐えきれず別れを選ぼうとするクララ。そんな切ない望みを、なぜかつっぱね続けるジェイコブの真意がわからずに悩みます。さらには、物心ついた娘が町のサンタに“パパが欲しい”とお願いしているのを聞いてしまい……。

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