著者 : 北山克彦
輝く夏の陽ざしのなか、12歳の少年ダグラスはそよ風にのって走る。その多感な心にきざまれる数々の不思議な事件と黄金の夢…。夏のはじめに仕込んだタンポポのお酒一壜一壜にこめられた、少年の愛と孤独と夢と成長の物語。「イメージの魔術師」ブラッドベリがおくる少年ファンタジーの永遠の名作。
娘のアニーは二十歳にもならぬうちに駆け落ちし、わたしは止めることができなかった。男手ひとつで大切に育ててきたというのに、コールのような中身のない男のために一生を捨てるなんて。心配のあまり、わたしは病的なまでに娘の後を追い、逆に娘の激しい反感を買ってしまう。だが四年後、アニーは幼子を連れて戻ってきた。父娘の間のわだかまりは完全に消えたわけではなかったが、この四年間、わたしは娘と孫のリンダの保護者として精一杯やってきた。アニーが再婚しようとしているいま、わたしの心は複雑だ。相手のルイスは心やさしい男やもめで、娘よりわたしに年齢が近いくらいなのだ。そこへ、アニーの再婚話を聞きつけたコールが、自分の娘を奪い返そうと怒りに燃えて、突然姿を現わした…。壊れかけた人間関係を修復しようとする男たちが切ないセンチメンタル・ストーリー。
ならず者に乱暴されかけた義姉を救ったがために殺された。ジョーダーシュ家の三男トマス。フィルム編集者の姉グレーチェンと実業家の兄ルードルフは、トマスの一人息子ウェズリーの将来を案じるのだが、父を殺した男への復讐を誓うウェズリーは、みずから父の歩んだ不幸な生き方をたどるかのように、ひとり旅立っていく…。苦悩、暴力、愛、情が横溢する壮大な物語世界を展開する“短篇の名手”の、もうひとつの魅力。
伯母グレーチェンがみずから監督した映画に抜擢され、俳優として華々しくデビューを飾ったウェズリー。実父トマスの過去に追い求め、その真の姿を知るにつれ、彼は自分自身の生き方をも見出していのだが、父の生命の奪った男への復讐心は、静かに、だが〓@57F6然と心の底で燃え続けていた…。人気作家ショーが、文学とエンタテインメントの魅力を融合させた名篇『富めるもの貧しきもの』の感動の世界を今ここに甦らせる!