著者 : 千野栄一
第二次世界大戦下。ナチスに占領されたチェコの美しい小さな町、青年ダヴィトをかくまうヨゼフとマリエの夫婦…。ファシズムの嵐吹きあれる極限状況を、解放の日まで、愛と勇気と知恵で生き抜く人間たちを、ブラックな笑いとヒューマンな感動で描く。「過去の歴史」とは言えない「戦争」のなかの恐怖。にもかかわらず人間の尊厳をまもる勇気・寛容・誠実さ・おかしさに誰もが胸をうたれ、涙があふれる。実話をもとに描く人間ドラマの傑作。映画「この素晴らしき世界」原作。
「世界にただこのことを忘れさせないために、生き残りたいと願った…」強制収容所の最高司令官の“館”の道化師として生きのびた4人の男達の運命。淡々と、シンプルに、しかしながら深く、衝撃的な恐ろしい歴史的事実が暴かれてゆく。「人間は皆この地上での神の宮廷道化師にすぎないのか?」復讐のための長い彷徨は、この問に「否!」と確信する宇宙的な美しい答に辿り着く。人間性への信頼を回復する哲学的歴史ドラマ。
コーリャの微笑みは、愛の贈り物。東欧革命前夜、美しい古都プラハの四季を背景に、初老のチェロ奏者と5歳になるロシア人の男の子コーリャの心の交流を描いて、温かい感動を呼び起こす…。
ほんの冗談のつもりで始めたことによって、回り中の人間から批判される皮肉屋「誰も笑いはしない」中年男の二人組の女漁りの意外な顛末「永遠の憧れの黄金のリンゴ」年上の女との一度だけの逢瀬と十五年後の巡り合い「年老いた死者は若い死者に場所を譲ること」人生の機微、いたずらな運命、愛の皮肉…。小説のマジシャン、クンデラが、巧妙にそしてエロチックに描き出す、ちょっとユーモラスでちょっと苦い7つの愛の物語。クンデラ文学の精華を集大成した、唯一の短編集。
ロボットという言葉はこの戯曲で生まれて世界中に広まった。舞台は人造人間の製造販売を一手にまかなっている工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペックの予言的作品。