著者 : 厚木淳
好きなように犯罪を犯したあげく、まんまと法網をくぐって罰せられずにいられるものなら、こんなすてきなことはないだろう。完全犯罪ーそれはプロ、アマを問わず、すべての犯罪者の夢である。本書はこうした完全犯罪を達成した悪党たちを、殺人者、泥棒、詐欺師、悪徳弁護士、各種悪党の五つの展示場に分類して、その巧妙な手口を披露する、まことにユニークなアンソロジー。いわゆる名探偵に食傷した読者なら、この悪党本位の名作選を編集したエラリー・クイーンの着想の妙に盛大な拍手を送るだろう。
洋の東西を問わず、来し方行く末かわりなく、素人玄人の垣を越えて、ありとあらゆる犯罪者の飽くなきテーマである“完全犯罪”。この言葉の蠱惑的に甘美な響き…本書においては、もはや見果てぬ夢ではない。アンソロジスト自ら「ぺてん師エラリー・クイーン」をもって永遠の主題を追究する。善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をやー偉大なる犯罪者と彼らの創造者に乾杯。
第2次世界大戦中、ベルリンから姿を消したルネッサンスの巨匠ボッティチェルリの名画。戦後30年をへて、その絵が突如フランクフルトに現れた。真贋を巡る追跡調査が進むなか、東独保安警察とウィーン美術史博物館が別個に所有権を主張、破産に瀕した英国の一流画商も交えて激烈な攻防を開始する。フランクフルト、ロンドン、ウィーン、そしてニューヨーク・バーナビーズー刻々舞台を移していくこの必死の争奪戦を制するのは誰か?
アメリカのインディアン虐待は続いた。徹底して白人を憎悪し、彼らと戦いつづけようとするショッディジージー白人たちから“アパッチの悪魔”と呼ばれ、恐れられた最後のインディアン。だがその一方で、彼は、ビリングズ牧場の白人の娘ウィチタに思いを寄せている自分にも気づいていた…。バローズ入魂のアパッチ2部作は、ここに結末する。
1863年、アメリカ大西部。とある白人の赤子が、アパッチの酋長ジェロニモに拾われる。その子は、長じて生粋のアパッチも及ばぬほどの能力を携えた戦士となり、ショッディジージ(黒熊)と呼ばれた。一方、合衆国の圧政はますますその激しさを増していく…。ショッディジージが迎える、騎兵隊との戦いの日々。バローズのアパッチ・シリーズの開幕。