著者 : 又吉栄喜
夏休みの狩り夏休みの狩り
「寛は何を集めているの?」と鈴子が聞いた。「昆虫」と寛は適当に答えた。「何と何を捕ったの?」「まだ。夏休みは始まったばかりだろう。もう宿題をやっているのか?」「夏休みはあっという間に過ぎるのよ」少年にしか見えないこの世界の真実を描く、芥川賞作家の書下ろし長編小説。
陸蟹たちの行進陸蟹たちの行進
沖縄本島北部のひなびた漁村に、ある時“火葬場建設”という名目で海岸埋め立て計画が持ち込まれた。小さな集落は賛成・反対に分かれてさまざまな軋轢の舞台となり、ついには住民投票で計画の是非が問われることに…“基地の島”沖縄のリアリティを、痛みと哀しみ、そして独特のユーモア感覚に包み込んで描く人間喜劇。芥川賞作家、待望の長編。
豚の報い豚の報い
ある日、突然浦添のスナックに豚が闖入してきた。豚がもたらした厄を落とすため正吉(しょうきち)と三人の女たちは真謝島に向かう。ひたむきに生き、ときにユーモラスな沖縄の人々の素朴な生活を生き生きと描き、選考委員の圧倒的支持を得て第114回芥川賞を受賞した表題作。ほか一篇「背中の夾竹桃」を併録。
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