著者 : 双星たかはる
人類は『すあま』と呼ぶ高度AIに世界の管理を任せていた。その『すあま』がシミュレーション演算を繰り返して導いた結論は、「人類を滅ぼすことが世界の滅亡を回避する唯一の手段である」というものだった。人類は、『すあま』率いる無数の機械兵によって滅亡寸前にまで追い込まれた。 それから50年が経過した。生き残った人々が新たな社会を作り始めている中で、少女ライナは親の形見である軍用ライフルを手に、町から町へと移動する隊商の護衛をしていた。そんな彼女の前に現れたトンボ型の機械兵。それは人間の生存を確認した『すあま』が人類を根絶するために放った切札だった。 彼女は、仲間を得ながら、次々と襲い来る機械兵と戦い、『すあま』の本体が存在する中心領域へと向かう。彼女の旅の結末は、読者の選択によって変わる。
この本はゲーム小説です。オリンピック競技『スケルトン』選手の苦悩と活躍。読者の選択で結末が変わるマルチエンディングストーリー。 冬季オリンピック競技『スケルトン』。それは……世界一孤独なスポーツ。頭から白銀の塵が舞い散る氷上のコースを滑走し、最高時速140kmを出すスポーツ。隣に誰もいない、前にも後にも誰もいない、ただ孤独なスポーツ。 日本の代表に選ばれた若きエースの凩柊斗(こがらししゅうと)は、オリンピックの舞台に立つ。しかし、滑走中にソリの操作ミスで投げ出されて転倒し、表彰台を目前で逃す。その事故がきっかけで凩は滑走することが出来なくなっていた。 それから2年。凩は田中スキー場で働いていた。そんな彼の元に突然現れたカメルーン人のマルク・エムボマ。マルクはスケルトン選手で、凩に自分を指導してくれと懇願する。そんなマルクとの出会いが凩を少しづつ変えていく。凩は再び滑走することが出来るのか。
華やかでエネルギッシュなイメージをまとう日本のコンピュータゲーム産業を題材に、知られざる「闇の部分」にスポットを当て、困難な企業再生の道のりを描くエンターテインメント長編。 かつてジャパニーズドリームの代名詞とも評され、世界を席巻した日本の家庭用コンピュータゲーム。飛ぶ鳥落とす勢いだった巨大市場が、インターネットとモバイルツールの進歩・普及に伴い急成長したスマートフォン用ゲームアプリなどの勢いに押され、凋落に拍車をかけつつあった2014年、倒産の危機に瀕する弱小ゲームメーカーが、数々の障害に直面しながら復活を目指す再生の物語である。 新宿・神楽坂に本社ビルを持つ中堅の家庭用ゲームソフトメーカー「スクルドソフト」は、創業者であり社長だった大村晋一郎の急死によって、唯一の肉親である27歳の実弟・晋二が勤め先の新聞社を辞めて後を継いだ。ところが、会社の経営実態は火の車で、起死回生の切り札と期待されていた新作ソフトはほとんど買い手がつかず、多額の借入金ですでに担保に入れるべき物は何もなく、新規融資の見込みも付かず、銀行口座の残高は底を突きつつあった。 責任の擦り合いをしていた役員たちは子飼の社員を引き連れて次々と会社を去り、残されたのは晋二と、やる気のない営業事務の若手社員・高杉万裕美の2人だけ。肉親であるという義務感から会社を継ぎ、未知の世界に飛び込んだものの、ゲーム業界の知識や経験に乏しく、特殊な商習慣に戸惑い、八方塞がりで打開策を見出せない晋二には、もう倒産という選択肢しか残されていない……はずだった。 そんな彼を叱咤し、スクルドソフトにまだ残されている希望の光を示したのは、ブラック社員にしか見えなかった万裕美。彼女は会社の悪弊を役員に直言して左遷させられていたクリエイター志望者でもあった。家庭でのコミュニケーションをコンセプトに万裕美が温めてきた企画を聞かされ、晋二は大きな可能性を感じると共に、そのゲームソフトを世に出すことで会社の再生を図ろうと決意する。しかし、先立つものがまるっきりなく、たった二人のゲームメーカーがどうやってソフトを作り、流通ルートに乗せ、全国に販売すればよいのか。晋二と万裕美は常識外れの戦略を立て、再起へ向けての大勝負に出る。