小説むすび | 著者 : 吉村萬壱

著者 : 吉村萬壱

前世は兎前世は兎

出版社

集英社

発売日

2018年10月26日 発売

<b>我々の取り繕った世界を、皮を、作者は次々と引っ剝がす。 人間の暗部を見せてくれる。 ーーこだまさん(作家)絶賛!! (『夫のちんぽが入らない』『ここは、おしまいの地』)</b> 七年余り雌兎だった記憶を持ち、雄との交尾に開け暮れた一生を送った女。現世でも常に交尾を欲し、数々の奇行に走る。そして前世でつがいだった男と再会するが、その先で遭遇した恐ろしい出来事とはーー(前世は兎)。 36歳、教員で休職中の独身女が日々「ヌッセン総合カタログ」を詳細に書き写す訳は、「スティレス」を解消する為だった。同僚が次々と部屋を訪れ、職場復帰を促すのだがーー(宗教)。 破滅を迎えた世界で、国のマラソン競技に選抜された姉。労働力として認められないものへの唯一の栄誉だが、自殺や逃亡は許されない。選手村への出発を翌日の向かえた夜、姉がとった行動とは……(ランナー)。ほか、全七話。 現実感覚を揺さぶる快作集! 【著者略歴】 吉村萬壱(よしむら・まんいち) 1961年、愛媛県松山市生まれ。大阪府枚方市育ち。京都教育大学卒業後、東京、大阪の高校、支援学校教諭を経て専業作家に。2001年「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞、2003年「ハリガネムシ」で第129回芥川賞、2016年『臣女』で第22回島清恋愛文学賞を受賞。著書に『バースト・ゾーン』『ヤイトスエッド』『ボラード病』『虚ろまんてぃっく』『回遊人』など多数。

バースト・ゾーンバースト・ゾーン

出版社

早川書房

発売日

2005年5月31日 発売

「テロリンを殺せ!」ラジオからは戦意高揚のメッセージが四六時中流れ出す。テロリンっぽい子どもをいじめるテロリンごっこが流行する。テロリンっぽい行動をした奴は民衆のリンチでぶち殺される。いつ終わるともわからぬテロリストの襲撃に、民衆は疲弊し、次第に狂気の度合いを高めていった。肉体労働者の椹木武は病気の妻子を養うため、愛人を買春宿で働かせて稼ぎを搾取していた。小柳寛子は椹木のために、狂った客たちに弄ばれ続けていた。やぶ医者の斎藤良介は、今日も手術に失敗して一人を殺した。麻薬密売人の土門仁は浮浪者たちを薬漬けにしていた。素人画家の井筒俊夫は、売春宿で抱いた小柳のあとを尾け回していた。そして遂に最大級のテロが発生した。国家はテロリン殲滅の大号令を出し、地上最強の武器「神充」を確保せんと、大陸にある「地区」へ志願兵を送り込んだ。椹木、小柳、斎藤、土門、井筒、五人はそれぞれの思惑から「地区」へと向かう。しかし「地区」で待ち受けていたのは…超極限状況下における人間の生と死を、美しくかつグロテスクに綴る、芥川賞受賞作家渾身の破壊文学。

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