著者 : 吉村達也
車の中で男が3人殺されている。通報を受けた神奈川県警のパトカーが多摩川沿いの現場に急行。だが、車内には血の跡が残されているだけだった。通報から到着まで90秒も経っていない間のことである。一方、3人の死体を目撃後、現場から逃げたヨコハマ自動車新入社員・杉本千鶴は、6年前のある出来事を思い出してー。同僚の名物OL達が千鶴を励ましながら、死体消失のトリックに挑む。会社ミステリー。
営業部長の妻が自宅で首を折られ殺害された。続いて総務部長の娘が自殺を遂げ、さらに宣伝部副部長が浴槽から溺死体で発見された。関係者がみなヨコハマ自動車の社員か家族で、殺人現場が密室風であることから、社内に戦慄が走った。入社2年目の美帆たちは、OL探偵団を結成し、事件の謎に迫っていく。やがて嫉妬や憎悪にまみれた社内の人間関係が…。OLたちが、連続殺人に挑む会社ミステリー。
会社員の町田輝樹のもとに一冊のノートが届いた。それは四年付き合った末に、一年前に別れた元彼女・内藤茜の筆跡による日記だった。しかし茜は半年前に不幸な事件に巻き込まれて死んだのだ。一体誰が、なんのために!?もうすぐ自分が死ぬことを知らない茜の日記、そして輝樹への執着が、別れた後にどんどん激しくなっていく日記…苦しい思いで読み進めた輝樹の目に、ついに衝撃の書き込みが!!ページを繰る手が震えると言われたサスペンス・スリラーの傑作、装い新たに堂々の復刊!
“母さん、帰らぬ、さびしいな。金魚を一匹突き殺す。”北原白秋の童謡『金魚』と共に、作家・朝比奈耕作に送られてきた、中学時代の同級生・熊谷須磨子からの手紙。朝比奈は指示通り松涛の洋館を訪れるが、同様に呼び出された同級生2人と館に閉じ込められてしまう。蝋燭だけが頼りの暗闇で脱出を試みる3人だが、やがてどこからか女の金切り声が響き渡りーカーテンの裏には“突き殺された”熊谷須磨子の死体が転がっていた!
「私には、なぜ人の不幸な未来が見えてしまうの?」これ以上考えられないほど最悪の誕生日を迎え、悲しみのどん庭にいた仁美。なんとか立ち直り、カメラマンとして働き始めた矢先、異常な事態に遭遇する。記念撮影をした老夫婦の悲惨な末路が、デジカメの液晶画面に現れたのだ。未来は変えられないのか?この現象を解明すべく、あの最悪の日にしまい込んだ、血塗られたデジカメを取り出した仁美に、恐ろしい惨劇が襲いかかる!
年上の部下と年下の上司、単身赴任先での浮気、領収書のごまかし、人事異動の内示、お偉いさんとの気づまりな会話ー。サラリーマンにとって決して避けて通れない身近なテーマ。喜劇と悲劇がつねに紙一重という、綱渡り的会社員生活の日常に潜む、思いもかけない恐怖をリアルに描く。身につまされる笑いのあとに、背筋も凍る戦慄、読みだしたら止まらない興奮の五編。ブラックな会社ミステリー。
往年の大物時代劇俳優が溺死!?-警視庁捜査一課の和久井刑事は、京都嵐山の渓谷の川沿いに立つ温泉宿で、気乗りのしないお見合いに臨んでいた。相手女性との緊張の対面ののち、大浴場に向かった和久井は、湯舟に沈む老人を発見する。異変を知らせるべく脱衣所の内線電話を取るも、電話線は切断されており…。老人の死が事故ではないと感じた和久井だったが、殺人の容疑者にされてしまい、絶対絶命の窮地に!
温泉宿の露天風呂にスーツ姿の男の変死体!?-亡くなった男と一緒に宿泊していたのは、前の晩、吹雪で立ち往生していたところを、警視庁捜査一課のエリート警部・夏目大介が、助けた女だった。しかし、事件発生後、女は忽然と姿を消してしまう。一方、ベテラン警部・志垣も、奇しくも、同じ宿を訪れ…。期せずして同じ事件に関わることになった二人の刑事が、推理の末に辿り着いた哀しい真実とは。
太宰と同じ津軽出身の大学生・谷明人は自然を破壊する全存在を敵と見なし、過激な環境テロ活動に走った。第一の犠牲者は青森の黄金崎不老ふ死温泉で発見される。大企業を経営する彼の実父・重則だった。さらに明人は、戦慄の首都圏テロを予告。だがその裏で、太宰治ファンの美少女が相次いで失踪。両者を結ぶ驚愕の真相は!志垣警部は犯人の陰謀を見抜けるか?警視庁温泉殺人課File25。
氷室想介の求愛を虚しく待ちつづけ、ついに彼のもとを去ったアシスタントの川井舞。失意の彼女は国際的マジシャンのノブ・オダの婚約した。だがその彼に突如、22年前の一家惨殺事件の犯人疑惑が。しかも唯一の生き残りだった女性が、彼の訪問直後に変死体で発見!追いつめられた奇術師は婚約者の舞に告げた。「ぼくには、うり二つの弟がいるんだ」。真実か、嘘か。精神分析医・氷室と幻影城の奇術師の心理戦がはじまった!特別収録『魔界百物語4・殺人者の舞踊会』第一章(未発表作)、解説「狂気の伝道師QAZの正体と真相」
雷鳴の轟く京都に、黒いフードを被り佇む影。奇書『陰陽大観』に導かれ、この世に災厄を巻き起こすと誓った殺人狂“QAZ”の姿だったー。精神分析医の氷室想介のもとに、ある日赤いリボンの女が訪ねてきた。陰謀論をまくし立てて去っていった2ヵ月半後、彼女の幼い息子が14階の自宅から転落した。事故か、心のバランスを崩した母の犯行か。だが氷室が突きとめたのは想定外の実行犯!氷室とQAZとの対決が幕を開ける。
大脳が異常発達した小学生5人が信仰する最悪の宗教、それが「勉教」。その布教活動を、絶対に止めなければならない。担任の吉野亞夜花は、その決意を元恋人に託して自殺した。しかし彼女の部屋からは、15本もの指が発見される。連続猟奇殺人鬼フィンガー・ハンターの収集品だった。異常なのは生徒なのか教師なのか?警視庁超常犯罪捜査班チームクワトロは、謎のカルト宗教を操る驚異の存在を探り当てた。書き下ろし。
私が死ねばよいと思っている人間が七人いるーその言葉を残し、老古代史学者の新藤英二郎は殺された。復元した甕棺の中で「女王・卑弥呼」の再現衣装をまとい、顔を朱に塗られて。日本という国の成り立ちに関する過激思想ゆえに生命を狙われていた老教授を殺したのは誰なのか?教え子の歴女・村野杏美は、新藤と巡った北九州古代史の旅をふり返りながら、恩師の死の謎の挑戦する。書き下ろし歴史ミステリー。
二度結婚に失敗したが多額の慰謝料を得た戸山いずみは、再婚を前提に二人の男と交際する。だが男たちはたがいに甘い言葉を囁きながら、競争相手を「結婚詐欺師」などと罵る。三たび教会で愛を誓うべき相手はどちらか。相談を受けた長谷川美枝子と弁護士向井明は人物鑑定に乗り出したが、善人か悪人かの評価に迷っているうちに、想定外の殺人が起きた!驚愕の結末が襲いかかる心理ミステリー。
弱毒性豚インフルエンザが初めてフェーズ4を突破したあと、世界は強毒性H5N1型鳥インフルエンザの本格的な流行に脅えていた。そんな時期、人気作家の神崎慧一は恋人を棄ててまで新作の取材に没頭する。小説のテーマは致命的な新型ウイルスによる世界大感染=パンデミック!ところが海外から帰国直後に、慧一自身が猛スピードで死に陥る感染症状を発症した。彼とウイルスの接点は、意外にもノルウェーが生んだ世界的画家エドヴァルド・ムンクの名画『叫び』。そして人類を救うために戦う医療チームは、生物の概念を超えた恐るべきウイルスの姿を捉えた。
新婚まもない華子は、古びた借家で夫の亮介を電動工具で殺害した!華子は弁護士に「あの家には鬼がいたの」と語り、事件の背景には壮絶なDVがあったことを示唆する。それを知った華子の父は、夫こそ加害者で、娘は被害者だと訴え、罪の軽減に奔走する。だが、やがて父親は「鬼」の真の正体を知り愕然となる!家族から殺人者を出した一家の崩壊する心理を描く、戦慄の新感覚ミステリー。
二十五歳の営業マン清水和也は、携帯のない暮らしなど考えられない完璧な携帯依存症。その彼が、携帯電話を忌み嫌う携帯恐怖症の六人の女と知り合った。彼女たちは、いずれも携帯にまつわる心のトラウマを抱えており、そのうちのひとりが、和也にショッキングな心霊現象を見せつけたうえで重大な警告を発する。「携帯フォビアの誰かがあなたを殺します」と…。やがてその警告は真実となった!犯人は誰?そして殺人の動機は。
「あなたが天国へ行った瞬間を知ってたわ。だって真夜中にきたわよね、私の部屋に。ごめんねって泣きながら…」「兄弟、おれに黙って、なぜ先に逝った。バカヤロー!」親友の葬式で、勝手に死者との絆を強調する自己陶酔型の弔辞に嫌気がさした会社社長の本宮は、自分自身の生前葬を企画する。だが彼は知らなかった。妻の涼子が重い病に冒されて、余命幾ばくもないのを隠していることを…。