著者 : 吉野弘人
ギャングの少年による殺人を目撃した女性は、報復を恐れて通報できず、苦悩する…(「ベイビー・キラー」)。1899年のフランス。8人の子供を殺して監獄に入れられた囚人と看守の、奇妙な交流の行方は…(「ボルドーの狼」)。メアリーローズは水曜日に死んだ。売人の家で麻薬を打った直後に死んだという。キャンベルは愛する人が死んだことで、世界の一部も死んでしまったような気がした…(「本能的溺水反応」)。メキシコとの国境地帯で大規模な山火事が起こる。密入国する途中で火事に巻き込まれたらしい親戚を探すという父親に連れられ、少年は荒野に足を踏み入れるが…(「灰になるまで」)。目撃者、看守、前科者、薬物中毒者、密入国者の親戚ー。さまざまな形で犯罪に関わりを持ってしまった人々の孤独と希望を、美しく切なく真摯に描く。英国推理作家協会(CWA)賞最優秀短編賞受賞作ほか全10編収録の傑作短編集!
国務長官経験者にしか描けない、米国安全保障戦略の複雑な内幕!「政治と外交の舞台では、あらゆることが見た目どおりではない」当選したばかりの大統領は、予備選でライバル候補を支援してきた最大の政敵を国務長官に選んだ。新たな国務長官エレン・アダムスは、過去四年間、前政権が犯罪的な無能ぶりを発揮して合衆国を死に体にしていくのを目の当たりにしてきた。新大統領が議会で一般教書演説を始めた頃、国務省南・中央アジア局の女性職員のデスクに数字と記号だけが並んだ奇妙なメールが届く。そしてその日の深夜、ロンドンで大規模な爆破事件が起きる。翌朝、米国+英連邦4か国の諜報部門からなる“ファイブ・アイズ”の緊急会合が始まるが、そのさなか出席者の携帯電話が一斉に鳴った。次なる爆発は、パリで起こった。元アメリカ合衆国国務長官+英国推理作家協会新人賞・アガサ賞受賞作家による、先読み不能!超一級国際政治スリラー!!
コースタル航空416便の機長ビル・ホフマンの元へ謎の男から送られてきたメール。そこには、爆弾を巻き付けられた家族の姿がー「飛行機を墜落させろ。さもないとあんたの家族を殺す」さらに男は機内へ毒ガスを撒くことを要求する。指示に従わなければ彼の仲間が代わりに行うと言うが、それは機内に裏切り者がいることを意味していた…。高度三万八千フィートの攻防を描いた航空冒険小説の傑作!
「お前にやりたいものがあるー四人のヒーロー。四つのラウンド」1986年春、マスターズでJ・ニクラウスが伝説の勝利を収める少し前。40歳のランディは、テネシー川の橋から飛びおりようとしていた。そんな彼の前にかつて共に夢を追った親友の幽霊が現れ、贈り物をするという。それは、あのレジェンドたちとの不思議なゴルフレッスンだったーもう一度人生が愛おしくなる、大人のためのファンタジー。
大富豪の娘を誘拐し、殺したとされる男の裁判。陪審が下した無罪評決は、世論からバッシングを浴びた。それから十年。現在は刑事弁護士として活躍しているマヤ・シールら当時の陪審員たちが、かつて裁判中に宿泊していたホテルに集められる。あの事件のドキュメンタリーが撮影されるのだ。だが番組収録を翌日に控えたその夜、真相につながる新たな証拠を見つけたと主張していたひとりが、部屋で死体で発見された。マヤは自らの容疑を晴らすため、必死の調査を開始するが…サスペンスに満ちたリーガル・ミステリ。
クー・クラックス・クラン誕生の地、テネシー州プラスキ。幼い日、目の前で彼らに父親を殺された黒人弁護士ボーは、四十五年後の命日に復讐殺人を犯したとして逮捕された。親友の冤罪を晴らすべく、七十歳のロースクールの元教授トムと熱血漢の教え子リックの老若弁護士が、地元で負け知らずの女性検事を相手に矜持を賭けて法廷に立つ。胸アツ法廷エンタテインメント『ザ・プロフェッサー』の続編がついに登場!
アラバマ大学の教授トムは、元大学フットボールの全米王者。弁護士として活躍した後、母校の法学者として順風満帆な人生を送ってきたが、いまは絶望の中にいた。癌で妻を失い、信頼していた友人からの裏切りに遭い、不名誉な罪を着せられて職を追われ、さらにトム自身も膀胱癌に冒されていることが判明。昔の恋人から「娘一家を奪ったトレーラー事故の真相を知りたい」と相談されるが、教え子のリックに弁護の橋渡しをして故郷に身を隠してしまう…。正義をあきらめない者たちが、死力を尽くし人間の矜持を賭けて法廷で闘う。全米で話題の胸熱リーガル小説!