著者 : 和久峻三
マイナス百九十六度の相続人マイナス百九十六度の相続人
京都の色町に育った気鋭の弁護士藤波清香は離婚歴あり、一児あり、恋人ありの元気印の女。その清香のもとに、凍結受精卵による体外受精で生まれた子に親の財産の相続権はあるのか、という難問がもちこまれた。飛行機事故で不慮の死をとげた両親が残した巨億の遺産。ときには芸妓姿で情報をとる清香の艶姿。
凶器のように愛凶器のように愛
思いもよらない事件が発生した。走行中のトラックから冷凍胎児が落下し、直後、運転手が毒殺されたのである。黒い噂のある光陽医科大付属病院長・森岡剛造との関連が浮かんだが、彼もまた、毒殺死体となって上高地で発見された…。事件の鍵を握るのは森岡の愛人ただ一人。だが、彼女には殺人を犯し得ない完璧なアリバイがあった。やがて、第三、第四の殺人が…。法廷推理の第一人者が、上高地・京都・東京を舞台に、二重、三重のトリックで描く傑作長編本格推理。