著者 : 和久峻三
京都地検宇治支部の検事・風巻やよいは、元恋人が刺殺された事件の公判を担当することに。被告人栗山の弁護士・青山まどかとの激しい応酬が続く中、何者かの切り取られた左耳がやよいに送りつけられてきた。事件は思わぬ方向へと急展開を見せ、徐々にやよいは窮地に追い込まれていく…。自らの逆境を跳ね返すべく、あんみつが大好きな美人検事が難事件に挑む!大好評のシリーズ第2弾。
京都、宇治川で首を切断された男性の遺体が見つかった。傍らで出刃包丁を持って立ち尽くしていた女性が逮捕される。この事件を転勤してきたばかりの検事・風巻やよいが担当することに。公判が始まり、証人の言い分が食い違う中、さらに新たな遺体が発見される…。源氏物語「宇治十帖」ゆかりの地で起きた連続殺人事件に、あんみつが大好きな美人検事が敢然と挑戦する。シリーズ第一弾。
高校生の村松光輝は、コンサート会場で、探し求めていた女性との再会を果たした。一年前の大雪の日に命を救われ、かつ初めて性の歓びを教えてくれた美女。ところがその会場で、彼女の連れの男性が、突然銃殺された!しかも、殺人幇助の疑いで、彼女が逮捕されてしまう。光輝と友人たちは、真相を求め、赤かぶ検事に会いにゆくのだがー。待望のシリーズ最新作。
検事・風巻やよいが再び京都地検宇治支部へ着任、その直後、残酷な暴行殺人事件が起きた。被害者は大手化粧品会社に勤める女性で、石橋警部補・夏川警部らは婚約者に容疑をかける。彼の母親は「白骨夫人」と呼ばれるやり手のオーナー社長で、被害者はその有能な部下でもあった。夫人はDNA検査を拒む息子をかばい、大弁護団をたてに検察と対峙するのだが…。
広告代理店営業課長の小倉茂郎は、寝たきりの妻を献身的に看病する良き夫でもあった。仕事上のトラブルで休職処分を受けた夜、自宅から出火、妻が死体で発見され、警察は小倉を殺人で逮捕した。小倉を上司として男性として慕う南条菜津江は無実を信じ、弁護士を依頼した。起訴された小倉は法廷で無罪を主張、激しい法廷闘争が始まった。迫真の法廷ミステリー。
冬の京都で現金輸送車が襲われ、一億円が強奪された。犯人たちは車で逃走、その後一味と思われる男の絞殺死体が発見された。だが初動捜査の遅れから有力な手がかりも得られないまま、事件は膠着状態におちいり、九年の歳月が流れた。焦る捜査本部は数々の未解決事件を手がけたベテラン警部に最後の望みを賭けた。時効成立まで捜査陣に残された時間はあとわずか…。
『ただ目撃しただけなのに!?』秋の京都を観光中、殺人現場に遭遇した藤原浜江。法廷で証言する直前、彼女はなぜか脅迫や解雇通告を受け、さらに一人息子を誘拐される!-総会屋に対する多額不正供与の隠蔽工作ー彼女が見た殺人は、あまりにも大きすぎたのだ。腐敗した大企業、悪徳弁護士が暗躍する法廷…赤かぶ検事が悪を討つ書下ろし会心作。
喫茶店「花隈」の従業員・小野季夫は経営者の佐久間玉恵から店舗を引き継ごうとして、契約を焦るあまり、不動産屋と弁護士の甘言にはまり、訳のわからない即決和解に同意してしまった。小野が騙されたと気づいたのは、それから二年後、店舗の明け渡しを求める内容証明を送りつけられた時だった。このままでは店が…。小野は悪徳弁護士に孤独な闘いを挑む…。
女探偵・朝岡彩子は白人青年・ポールから大手電機会社会長一族の身元調査を依頼された。だが数日後、その一家は惨殺されてしまった。依頼人ポールと恋に落ちた彩子は、彼とともにテキサスへ旅立ったが、ポールは何者かに銃殺され、しかも彩子が容疑者として法廷に立たされることとなった…。米国陪審制度を綿密な取材で描く長篇本格推理シリーズ第3弾。
京阪神の新興都市・城南市が導入した最先端のコンピュータシステムにトラブルが続出した。住民票の改竄に始まり市の事務処理が大混乱に陥ったのだ。何者かがコンピューターに侵入、データを改竄しているらしいーやがて姿なき犯人は五億円を要求してきた。警察の必死の捜査にも拘らず犯人たちの姿は見えてこない…。ハイテク犯罪に鋭く切り込む長篇推理。
金と女を求めて、あくなき野望に燃える弁護士・藤堂長康は、鳴海産業会長の御曹司が起した殺人事件で身替り犯人をでっち上げ、億単位の報酬を得た。弱みを見せた者から金と女を奪い、しゃぶり尽くす藤堂はアルカポネと異名をとる。悪徳弁護士と鬼検事たちの死闘は果してどちらに凱歌があがるのだろうか?
弁護士の妻に前科が。若き弁護士・花吹省吾は驚愕した。妻の玲子によれば近所の奥さんに誘われて軽い気持ちで歌謡ショーを見に行きケーキとジュースを出されたという。ところがこれが巧妙に仕組まれた選挙の事前運動で、饗応の罪に問われたのだ。はからずも妻の弁護をすることになった花吹は必死の法理論を展開するのだが…。傑作法廷推理集。
遺伝子操作によって超人パワーを身につけ誕生した男・柔銃太郎。その力は彼がセックスの充実感を味わった後に、異常現象とともにさらに威力がハイアップされた。だが、彼の出生の秘密を握りその驚くべき超人力を怖れた悪の支配者は、銃太郎を抹殺すべく魔道士を送り込んだ。魔道士軍団と超人戦士の壮絶な対決。そして銃太郎の前に現れた不思議な美少女は。
二十数年にわたって、養父殺しの尊属殺人罪で獄窓につながれた美女が再審を請求する。司法界の名物老弁護士・猪狩文助は、不幸な女・香奈子を救うため、弁護に乗り出す。そして彼女が殺したとされる養父の遺体を土葬された棺の中から取り出し、再鑑定するように請求した。猪狩文助シリーズの長編傑作。
新興宗教団体「闇の光」の狂信者立花冽子は兄弟と共謀し内縁の夫を“悪魔祓い”儀式の生贄にする。逮捕された彼女らは長期懲役の判決を受ける。しかし、それを不服とする三人は護送車から脱走、琵琶湖の遊覧船ミシガン号を乗っ取って、船上での“やりなおし裁判”を要求する。応じなければ五分間に一人ずつ乗客を射殺するという脅迫に、赤かぶ検事は決死の覚悟を決めるが…。
ガソリンが混入された石油ストーブで焼死した香原周一郎。容疑者として香原家の家庭教師、笹山克典が犯行否認のまま逮捕された。逮捕理由は目撃証言と周一郎の妻と笹山との不倫。事件は罪状否認のまま公判に持ち込まれた。罪名は『現住建物放火ならびに殺人』。冤罪と確信した若林弁護人は、目撃証人の偽証を突き崩すべく、法廷での鋭い反対尋問を始めた…。
春の飛騨高山。置き引きの現行犯で逮捕された中年男がいた。男は犯行は認めたものの、氏名や本籍を頑として黙秘する。が、余罪ありと睨んだ赤かぶ検事は、「本籍、不詳。住居、不定。職業、不詳。氏名、不詳…被告人は、年齢四十七、八歳。容貌、別紙添付の写真のとおり…」と、異例の起訴に踏み切った。-表題作ほか、法廷推理の真髄をユニークに描いた傑作集。