著者 : 喜安幸夫
商家に押し込み、金品を奪った上に皆殺しー上方を荒らし回った凶賊・蓑虫の鬼三次一味が捕縛された。しかし、その残党が江戸に集結しつつあるという。北町奉行の兄・忠之から合力を請われた忠吾郎は、「相州屋」の面々と一味の炙り出しに乗り出すが、その矢先に悲惨な押し込みが…。怒れる忠吾郎は、凶賊たちに裁きの鉄槌を下すべく、一か八かの罠を仕掛ける!
両国広小路に、傀儡師の一座が小屋を張った。一座は町に受け入れられるが、町内の職人・庄三郎は、なぜか娘のお照を一座に近づけまいとする。一座と庄三郎の過去の因縁とは?そして杢之助は、古巣の四ツ谷左門町と米沢町、二つの町を巻き込む卑劣な陰謀が進行していることを知る。町の平和を守るため、杢之助はある危険な賭けに出るー。好評シリーズ第三弾。
両国・米沢町一丁目の裏長屋に住むお糸が、十年前に死んだ一人娘を「自分が殺した」と自身番に訴え出る。心配した杢之助たちはお糸を宥めるが、時を同じくして町内で人殺しが起こる。あこぎな金貸しを恨んでの犯行かと思われたが、お糸を巻き込み、事態は意外な方向に転がってゆく。町の安寧を守るため、人に言えない過去をもつ杢之助が活躍する好評シリーズ第二弾。
加賀藩腰物奉行で剣の達人でもある若杉兵庫は、藩主・前田斉泰から極秘の主命を受けた。それはかつての情人の探索。だが彼女はすでに亡くなっており、斉泰との子・千鶴が出生の秘密を知らずに、町人として音羽町の長屋で暮らしていることを突き止めた。千鶴を秘かに護れ、と命じられた兵庫は長屋の近くに住んで用心棒となる。凶盗・夜烏組、そして斉泰の正室・溶姫の魔の手から、加賀百万石の姫を護る日々が始まった…。
両国広小路に流れ着いた新任の木戸番、杢之助。仕事熱心と評判の彼は、古巣の四ツ谷左門町をある事情から逃げ出した過去を持つ。ある日、両国界隈で神隠しの噂が流れ、八百屋の息子、留吉が消えてしまう。天狗の仕業だと町の面々が怯える中、杢之助は留吉の捜索を買って出るのだが…。己の過去を隠しつつ、町の平穏のために奔走する男、杢之助の新シリーズ始動!
紀州徳川家の藩主が交代した。新藩主綱教の正室は五代将軍綱吉の娘。綱教は将軍の座への野心を抱く。だが、母の身分が低い弟頼方の存在が、妨げになると考え、その暗殺を目論む。一方、頼方警護のため江戸市中に潜む霧生院一林斎は当惑する。頼方への刺客が、味方の薬込役なのだ。頼方や自らの家族を護るため一林斎が下した苦渋の決断は?新たな展開の第四弾!
蝋燭問屋を狙った付け火事件が起き、犯人として捕まったのは問屋のあるじが妾として囲っていた女だった。しかし、献残屋の箕之助たちは女が付け火をせざるを得ないようなあるじの非道な仕打ちを知り、密かに抹殺する(「火付け始末」)。また、街道筋の用心棒・寅治郎を敵として狙う武士の正体がついに判明し、首を差し出す覚悟をしていた寅治郎だが、意外な結末を迎える(「寅治郎蘇生」)など、傑作好評時代小説。好評シリーズ、ついに完結。
箕之助が献残屋「大和屋」を営む芝の近くに新しく寄合茶屋が店開きすることになった。新装開店の挨拶用に扇子などを注文しに大和屋を訪れた若い主人・春治は、役者にしたいような色男で金もあるようだが、応対した箕之助と女房・志江は春治の様子に不審なものを感じる。密かに春治の正体を探る箕之助は彼の過去の許されざる悪行を知り、街道の用心棒・寅治郎とともに成敗する…。書き下ろし好評シリーズ第7弾。
芝三丁目で献残屋を営む箕之助はある日、辻屋という一膳飯屋の嫁姑の諍いが町の噂になっていることを知る。そんな折り、金杉橋の近くの河原に男の死体が転がっているのが発見される。箕之助は辻屋の内情に踏み入るうち、嫁姑の仲違いが世間の目を欺くための芝居であり、その事件があくどい金貸しに義理の息子を殺された辻屋のあるじたちの復讐だと気づく。箕之助は用心棒の日向寅治郎らの協力を得て、町人には許されぬ仇討ちを最後まで密かに成就させるが…。
献残屋を営む箕之助は、好人物で評判の町医者が敵持ちで市井に潜む身の上であることを知る。そして、町医者の身辺を窺う浪人風体が、押込みと辻斬りの犯人でもあることをつきとめる。箕之助は、用心棒日向寅治郎らとその浪人を始末し、老町医者の過去を消そうと奔走する(「秘めた刃」)。また、商家で先妻が後妻に“うわなり打ち”を仕掛ける事件が発生、そこに謀の疑いを持った箕之助たちがみごとに非道を暴く(「女騒動」)など、好評シリーズ第5弾。
献残屋を営む箕之助は、町内でも色っぽいことで評判の小間物屋の家つき娘・おトシが新しい婿を迎えるという話を聞く。しかし過去に一度入った婿は半年もしないうちに亡くなり、不穏な噂がながれてもいた。箕之助はおトシの母親に探りを入れ、裏で悪事を企む男の存在を知る…(「入り婿殺し」)。また、浅野内匠頭切腹事件の後、忠義から事を性急に進めようとする浪士たちを、箕之助らが身を呈して諌めんとする忠臣蔵秘話(「忠臣潰し」)などを収めた好評シリーズ第四弾。
芝三丁目に「よろづ献残 大和屋」という看板を出す箕之助は、女房の志江、街道筋の用心棒・日向寅次郎、大工の留吉などと力を合わせて町の浜辺で起こる事件の数々を密かに解決してきた。折りしも初鰹の季節、一匹三両という高値でそれを競り落とした料理茶屋・浜幸屋の話題で町は持ちきりだった。しかし、その店の倅・幸太郎によからぬ噂が。旗本屋敷で行なわれる賭博にはまり、果ては押し込みまで働いているというのだ。箕之助たちは悪徳旗本を秘密裏に成敗し、浜幸屋を危機から救うために立ち上がる。