著者 : 喜安幸夫
5人の民間人が魚釣島に上陸し、奈良原岳に日章旗を掲げた。中国海警船から執拗な妨害を受けながらも決死の覚悟で抵抗していた。一方、日本政府は彼らの行動に奮い立ち、入れ替わるかたちで海上保安庁特殊警備隊を送り込むことを決定する。そんな中、那覇基地より空母『いずも』以下護衛艦9隻の出航準備が完了。さらに小笠原諸島沖では空母『かが』がF-35BによるJSM零型ミサイル運用訓練を成功させる。両国の睨み合いが続く尖閣水域であったが、一発の銃声により事態は急展開。一気に戦いは激しさを増し、ついに海上自衛隊の空母艦隊が出動する!
202X年春、日中外相会議開催の四日前、尖閣諸島水域で石垣島の漁船二隻が、領海侵犯した中国海警船三隻に追い払われる事件が発生。そんな中、米インド太平洋軍司令部から、SLBM搭載可能の原子力潜水艦を含む三隻の中国潜水艦が所在不明との一報が入る。さらに中国艦隊が南沙諸島の太平島領海に急接近しているというのだ。次々と軍事行動を起こす中国。日本国内でも尖閣諸島を護れとの声が高まるのだが、政府は軍事衝突に発展するのを恐れ具体的に対処しなかった。国の対応に業を煮やしたある民間人らが尖閣諸島への上陸を企て、作戦を実行に移した!尖閣をめぐる日中戦争、ついに勃発か!?
202X年、午前零時30分、中国東海艦隊寧波基地から、一隻の潜水艦が出航した。第一報を聞いた防衛省は、すぐに海上自衛隊の対潜哨戒機を放ち、同日午後、日中中間線を日本側に侵入する元級潜水艦を発見する。一方、永田町の首相官邸には、尖閣諸島接続水域に中国海警局の公船と漁船が碇泊中との報せが入る。そんな中、侵入した中国潜水艦が尖閣諸島の沖合で急浮上。近くを航行していた日本の小型漁船を沈没させてしまう。一触即発の尖閣諸島近海。専守防衛の日本は領海侵犯する中国海軍を阻止できるのか!?日中開戦の危機が迫る中、日本はついに行動を起こすのだが…。
鳥居耀蔵の策謀によって、桑名藩に永預けとなった元南町奉行矢部定謙は、抗議の断食で死んだーはずだった。遺体として運ばれた寺で奇跡的に息を吹き返すも、墓だけでなく祠まで建てられ、神として祀られた定謙には、出家して別人として生きるしか道はない。修行の道中、悪政に苦しむ民の姿を見てしまった定謙は、「幽霊」として民を救おうと決意するが…。
米沢町の家具商い・相州屋の娘お夕に、急な縁談が持ち上がる。相手は日本橋の大店・柏木屋の一人息子だというが、条件のよすぎる縁談に、木戸番の杢之助は不審を抱く。相州屋の番頭松吉のお夕への純な思いを知り、杢之助は縁談の背後を探るが、案の定、怪しい男女が米沢町にやって来て、相州屋のことを探り始めた…。奇妙な縁談から、一触即発の危機が訪れる!
将軍家の金塊が移送中に忽然と消えた。探索に乗り出した仁左だが、紛失の責を負わされた者がかつての盟友・親野岩之助であることを知る。岩之助を切腹から救うには、沙汰が下る日までに真相を解明するしかない。一方、子供の拐かし等、仁左の周りで次々と不可解な事件が。金塊紛失との関係は?友の命を救うため、仁左はすべてを捨てて相州屋の仲間と奔走する!
年の瀬を迎え、正月の準備に大忙しの両国米沢町。華やぐ町の雰囲気と裏腹に、町内に住む生真面目な大工・伊之助は、友人の建具師・孝次郎と足に障害を持つ息子の孝太にかんするある秘密を抱え、人知れず怯えていた。木戸番・杢之助は、彼らのためにひと肌脱ぐことにしたのだが、そこに謎の女の魔の手が迫るー。杢之助の強さと人情が魅力の、シリーズ第十弾!
夜の海で船火事が発生した。炎はたちまち広がり、千石船を呑み込んだ。助かった者はなく、相州屋の元寄子・庄造もその船に乗っていた。しかし、火事には不審な点が。庄造と祝言を挙げる予定だったお栄の様子もおかしい。探索に乗り出した忠吾郎らだったが、そこには普請奉行・財津弾之丞の影がちらつき…。驚愕の顛末、そして船火事に絡む大きな陰謀とはー?
今月初めに米沢町一丁目に越してきた経師の三人家族・生駒屋。五年前から同じ町内に住む印判師の寡黙な男・治平。何かを怖がり、外で遊ぼうとしない生駒屋の娘・菜実の口にした謎の言葉に導かれ、木戸番の杢之助は思いもかけない彼らの過去と、不思議な宿命を知ることになるー。己の以前を隠すため、町の安寧を守るため。杢之助が大活躍するシリーズ第九弾!
薬研堀埋立地にある評判の髪結・弥八床と、米沢町で信頼される質屋の市福屋。真面目で堅実な商売以外に、共通点はないはずだった。しかし、二つの商舗を探る怪しい与太が木戸番小屋を訪れ、不可解な行動をとり始める。騒ぎの臭いを嗅ぎ、動き始める杢之助だが、今回の事件はいつもと違っていた…。各々の背負う過去が重なり合い、一触即発の危機へと発展する!
裏長屋のお糸が、震えながら木戸番小屋に持ち込んだ血のついた古着。すわ殺しの手証ではと杢之助が古着の出処を探れば、困る者を救い助けると小伝馬町で評判の一家「稲妻屋」にたどり着く。稲妻屋が殺しにかかわる裏の稼業に手を染めていると見た杢之助。一方その動きを察知した一家の主・吉兵衛は米沢町に目を光らせ始め、一触即発、二人の静かな対決が始まる!
侍に斬り付けられた江戸近在鎌伝村の村役を救ったのは、人宿「相州屋」の寄子、羅宇屋の仁左だった。その少し前、相州屋の主忠吾郎は「狐の徘徊を赦さない」という妙な高札が鎌田村にあると聞く。やがて、村で年貢を搾り取り、逃散する村民を斬り捨てる、残虐で過酷な暴政が明らかに…。怒りを秘め忠吾郎ら“影走り”が立ち上がる。奉行が裁けぬ悪を討つ、第六弾。
「危ない」茶屋の看板娘お沙世が叫んだ。侍の駆る馬に、団扇職人の娘が撥ね飛ばされたのだ。侍は名乗ると、金を投げて立ち去り、娘は看病も虚しく死んだ。憤る札の辻の住人たち。だが、人宿「相州屋」の主忠吾郎は旗本の挙動に不審を覚え、仁左たちに探索を命じる。仇討ちに走ろうとする娘の父親を宥めつつ、策を練る忠吾郎の胸中は…。奉行が裁けぬ悪を討つ、第五弾。
米沢町にある井筒屋の番頭・忠助は、古い知り合いのお米に会う。彼女の夫・友蔵は盗賊に殺されており、口封じのためにお米がさらに襲撃されることを恐れた忠助は、杢之助らと協力し、彼女の救出作戦を決行する!作戦は成功したかに思われたが、両国広小路に現れた、木彫りの鵜の見世物を扱う芸人の一座が、杢之助の守る町内に、怪しい目を光らせ始めて…。
北町奉行所の定町廻り同心・一色帯刀は、誰もが認める硬骨漢。老中から寺社門前の地に無頼の者が闊歩している状況を是正せよとの命を受け、意気軒昂として深川の町廻りに繰り出した。すると門前仲町の女郎屋で客が客を刺したとの一報が入る。だが現場に着くと板前が客を刺殺したという情報に変わっていた。店頭・杉太郎の関与を疑い探索に乗り出すが、やがて事件関係者が七日市藩藩邸に出入りしていることが分かってきて…。
米沢町の相州長屋で、深夜に動物の死骸が置かれる嫌がらせが起きた。杢之助は、近頃様子がおかしい住人の若夫婦・重市、お恵を狙う何者かの存在を疑うが、はっきりしない。そんなとき岡っ引の捨次郎から、近隣に禁制の賭場があるらしいと聞き、探り始める杢之助。夜陰に紛れ町内に入り込む怪しい二人組を尾けといくと、向かったのは…。シリーズ、緊迫の第五弾。
稲穂実る東美濃・岩村の地に、美貌の女性が輿入れした。信長の叔母、おつやの方。武田勢を抑えるための政略結婚であった。「この地に根づきたい」と願うおつやだが、戦国乱世の城に平穏はない。相次ぐ存亡の危機に際し、岩村城を守るための政略を巡らす度に、逆に数奇な運命に巻き込まれていく。大河ドラマで話題の戦国女城主、もうひとりの傑物、おつやの人生を描く。
薬研堀の煙草問屋・肥前屋の番頭、庄助の様子がおかしい。まじめ一本で商売熱心だった店のあるじの壱右衛門が、商売を顧みず柳原堤の女を囲ったことを気に病んでいるという。杢之助は意外な色恋沙汰に驚くが、そんなとき、堀に庄助の溺死体が揚がった。色恋沙汰を利用し肥前屋を狙う一味の魔の手が、米沢町に伸びるのを感じ取る杢之助だがー。シリーズ第四弾。